こんばんは!さて今回からTOP10選手の総括記事に入りたいと思います。私が記事を書くのが遅くなった影響で、この時期にまた2015年のことを話すことになるので、もうシーズン開幕しちゃってるし今更良いよという方は読み飛ばして頂いて構いません。 後ろの方にシーズン最初の大会について少しだけ話をしていますので、もし良ければそちらだけご覧ください。 全3回に分けて、今回はまずジョコビッチ、マレー、フェデラーについて、2015年シーズンを振り返ってみましょう。 ☆ジョコビッチ ”自己最多11勝!王者の貫禄見せた最高のシーズン 一方で全仏は・・” ※大会のランク別に色分けしてあります。250=オレンジ、500=緑、MS=青、GS=黄色、WTF=紫となっています。またW=優勝、F=準優勝、SF=ベスト4、QF=ベスト8 R○○=ラウンド○○を表し、Wは赤太字、Fは黒太字、SFとQFは赤字、それ以外は黒字で表しています。 2015年のジョコビッチの成績になります。こうやって見ると改めてジョコビッチが凄いことを成し遂げたとわかりますね。初戦のドーハでカルロビッチに敗れて以降、15大会連続で決勝進出(今シーズンのドーハでの決勝進出で16に更新)しました。 ドーハでは不覚を取ったジョコビッチでしたが、全豪ではきっちり優勝を果たすと、ドバイを挟んでMS4大会連続優勝を飾りました。(マドリードは欠場) クレーのMSで2つ優勝し、いよいよ今年こそ全仏で優勝する可能性が高いと思われましたが・・・ その後全英で芝の王者フェデラーを破って優勝、北米MSではいずれも準優勝、途中のガルビスやドルゴポロフに危うく敗れそうになるどやや精彩を欠いた時期でしたが、全米では見事に優勝。GSにしっかり照準を合わせ王者としての意地を見せました。全米で優勝して以降、負けた試合は僅かにツアーファイナルのRRでのフェデラー戦1試合のみ。シーズン後半をほぼ完璧な流れで終えました。特に北京に関しては隙なしという勝ち上がり方で、最大でも5ゲームしか落としませんでした。 そんな最高の1年間を送ったジョコビッチでしたが、あえて厳しい言い方をすれば「本当にほしいものが獲れなかった」シーズンであるとも言えます。これだけのタイトルを総なめにしたジョコビッチでも獲れなかったものがありました。それはジョコビッチが未だかつて優勝したことのない、全仏とシンシナティです。 全仏ではワウリンカに、シンシナティはフェデラーに優勝を阻まれました。全仏はドローにもあまり恵まれなかった部分も大きかったでしょうね。準々決勝でナダル、準決勝でマレー、そして決勝でワウリンカという厳しい道のりでした。当時ナダルは調子が中々上がらず苦悩していた時期でしたが、それでも全仏では1敗しかしたことのないという無類の強さを見せるナダルとの試合に、かなり照準を合わせていた部分もあったと思います。無事ストレートで突破しましたが、続くマレーに2-0とリードしたところから追い上げられ、2日がかりの試合に。心身共に疲労が残った状態で決勝の相手は好調ワウリンカ。さすがのジョコビッチもここで力尽きました。 シンシナティはジョコビッチの体調があまり優れなかったこともあり、シンシナティと相性の良いフェデラーに決勝で敗れました。 11個のトロフィーを手にしながらも獲れなかった2つ。しかしこの2つの存在は、ジョコビッチのモチベーションを高い状態にさせるはずです。 2016年こそはという気持ちでまた更にパワーアップする可能性もあるかもしれませんね。もちろん他の選手も黙ってはないと思いますが・・笑 ただ全仏やシンシナティが獲れなかったとはいえジョコビッチが素晴らしい1年を過ごしたのには間違いありません。1年を通してここまで安定して勝ち続けるのは本当に凄いことです。今年は遂に全仏のトロフィーを掲げるジョコビッチが見られるでしょうか。楽しみです。 ☆マレー ”クレーでも強さ見せたマレー 安定したシーズンで自身初の70勝と最終順位2位達成” 2015年シーズン、ジョコビッチに次ぐ安定感を見せたのがマレーです。ローマの棄権負けを除く、全てのMSでベスト4に進出。GSでは全米で4回戦負けを喫し連続ベスト8記録は途切れたものの、他の3大会でベスト4以上に残りました。 そんなマレーの印象に残ったこととしてまず1つ挙げられるのがクレーの初タイトルです。もう今となっては信じられない部分もあるかもしれませんが、マレーは一昨年までクレーの大会で優勝したことが1度もなく、クレーが苦手とされていました。 そんなマレーでしたが、ミュンヘンでダブルヘッダーなどを乗り切り、コールシュライバーを接戦の末に破って初めてのクレータイトルを手にすると、マドリードではクレーの王者ナダルをストレートで下して優勝。「もうクレーを苦手とは言わせない」とでも言っているようなマレーの大きな大きな勝利でした。最終的には18戦17勝で、クレー勝率はジョコビッチを抜いて堂々の1位を飾り、もはやクレーは得意といっても良いのではないでしょうか。この1年でマレーのクレーに対するイメージが大きく変わったことでしょう。 そしてもう1つ挙げると、デ杯(イギリス)の優勝でしょう。マレーは1回戦から決勝戦まで全てに出場し、シングルスはもちろんダブルスも兄ジェイミーと組んで勝利を収めるなど、イギリスの優勝に非常に大きく貢献しました。ジョコビッチやフェデラー、ナダル、ベルディヒ、フェレールといった上位陣がデ杯のタイトルを既に手にしている中、マレーはまだデ杯の優勝というのを経験したことがありませんでした。 昨年はツアーファイナルよりもデ杯を優先するなど、デ杯にかなり力を入れていました。その念願が見事叶った形となりました。最終的にはこのデ杯決勝の勝利で、自身初の70勝達成、またシーズン最後の順位も2位で終えるのはマレーにとって初めてのことで、良い形で2015年を終えることができたのではないかなと思います。 さて今年ですが、2013年から遠ざかっているGS制覇が出来るかどうかが1つ注目したいと思います。現状マレーにとってもジョコビッチの壁はかなり高いものになっているかもしれません。去年もジョコビッチの壁に何度も跳ね返されました。しかし、マレーは現在2位なので、シード的にジョコビッチと決勝まで当たらなくて済むということになります。マレーの勝ち上がりがスムーズにいけば十分チャンスは出てくるでしょう。今シーズンもマレーの活躍に期待です。 ☆フェデラー “進化し続ける34歳 王者を苦しめたフェデラー” 昨季圧倒的な強さを見せた王者ジョコビッチを苦しめたのが、34歳のフェデラーでした。フェデラーはドバイで圧巻のプレーでストレート勝ち、得意のシンシナティでもストレートで勝ち、さらにツアーファイナルのRRでもストレート勝ち、ジョコビッチに3回も土をつけたのはフェデラーただ1人です。 一方で全英、全米と決勝に辿り着いたフェデラーでしたが、いずれもジョコビッチに屈し準優勝と悔しさが残りました。特に過去7回制覇している全英では優勝したいという気持ちも大きかったと思います。5セットマッチとなるGSではやはり体力的に厳しくなっている部分もあり、それまでの勝ち上がり方がかなり重要になりそうです。(全米に関しては決勝までは1セットも落とさなかったのですが、ジョコビッチの体力がある程度削られていないと難しい試合を強いられてしまいますね・・) そして進化の話ですが、昨年フェデラーが見せた進化といえば「SABR」でしょう。今やすっかり有名になったと思います。ペールとの練習中に生み出されたというSABRは「sneak attack by Roger」の略で、サービスラインの近くまで出てきて、相手のサービスをリターンしそのままネットプレーに繋げるという攻撃的な戦術です。この新戦術を実際に試合で披露したときには大変話題になりました。 もともと非常に多彩なショットを持つフェデラーですが、こうして更に引き出しを増やすことで、年齢を重ねた今でもトップで戦い続けることがきるのでしょう。実際昨年はツアー6勝、ジョコビッチに続いて2番目の優勝数となりました。一方でMS以上のタイトルは1に留まりました。マレーはMSで2つ優勝してますので、今年は大きな大会でどれだけ優勝できるかがフェデラーのポイントとなりそうです。 さて、上位3人の2015年の振り返りでした。ここからは少しだけ今シーズンのこと(先週の大会について)を話していきたいと思います。 ドーハではフェレールが初戦敗退する番狂わせがありましたが、ジョコビッチ、ナダル、ベルディヒの3人が順当に準決勝進出。決勝でジョコビッチはナダル相手に完璧なプレーを見せ、今季初優勝。最高のスタートを切っています。敗れたナダルもしっかり決勝までは勝ち上がっており、今後が期待されますね。ベルディヒもジョコビッチ相手に2セット目は惜しいところもあって、調子自体は良いと思いました。初戦でフェレールを退けたマルチェンコは堂々のベスト4入りでした。 ブリスベンはフェデラーに加えて若手がベスト4に3人残りました。トミッチ、ティエム、ラオニッチ。決勝は昨年と同カードのフェデラーとラオニッチになり、ラオニッチがフェデラーを破って優勝を飾りました。フェデラーが体調が万全ではなかったのもありますが、ラオニッチにとっては大きな優勝になったのではないかなと思います。途中ラオニッチはMTOを取る場面があり、まだ体が少し心配ですが、体の支障が出なければ良いシーズンが期待できそうですね。 チェンナイベスト4は3連覇がかかるワウリンカ、ペール、そして昨年準優勝のベデネにコリッチでした。ワウリンカがペールとの親友対決を制し、コリッチがベデネとの死闘を制して初めてツアー決勝に進出しました。決勝ではそれまでの疲労もあった影響で、ワウリンカが貫禄のストレート勝ちで優勝しましたが、コリッチも今後が期待される選手ですね。 BIG4やワウリンカ、ベルディヒといった上位陣が良いスタートを切っていますが、トミッチ、ティエム、ラオニッチ、コリッチ、といった若手~中堅の選手も活躍したシーズン最初の大会だったなという印象もありますね。今年は若手の奮闘はあるのか?まず全豪で1つわかるでしょう。 次回はワウリンカ、ナダル、ベルディヒの1年について振り返りたいと思います。