ジョコビッチが勝ちました。  今回のフェデラーは、体力、パワー、戦略性、確実性等、殆どの要素が充実しており、相手を圧倒して来ました。何と言っても、テクニックの高さが群を抜いていたと思います。準決勝(SF)マレーとのハイレベルな接戦においても、大事なポイントでの攻撃、確実性で勝りました。また、この試合を3-0でモノにし、体力を温存できた事も良かったはずです。こういったフェデラーの状況は、ジョコビッチに対してどれくらい通用するのか?いや、今回は上回っているのではないかと、期待していました。一見、体力面に強みを感じないフェデラーですが、体力面においても今までトッププロで長くやって来たキャリアがその強さを物語っています。大会1回戦、2回戦、3回戦で姿を消す選手達と違い、いつも決勝、準決勝あたりまで勝ち進む為、大会数以上にこなして来た試合数が違います。これがフェデラーの強靭な体力を物語っています。さらに今回は「まだ、フレッシュな状態。」と本人が言っていました。また、今年34才を迎えるフェデラーにとって、今回得意のウィンブルドンがラストチャンスという思いもあったと思います。近年の中でも、体調面、精神面共にここまで充実し、思い入れについても、今迄にないほど強い思いで臨んできた筈です。  それでもジョコビッチは勝ちました。何処まで強いのでしょう。このジョコビッチがフレンチOPで、勝てなかった。余りにも思い入れが強かったせいなのか?本当にテニスは分からない。奥の深いスポーツです。  ゲーム内容を振り返って見ます。  第1セット、フェデラー(F)のサービスからスタート、サービスも含めFは調子がいいです。F6-5からジョコビッチ(D)のサービスゲーム、お互いに初めてのジュースになり、Fが右サイドのサービスライン付近へ厳しいボールを打ち込むと、Dもこれに対応し、更に厳しいコースへ打って来ますが、Fこれをボレー!凄い!ブレーク(セットポイント)チャンスもありましたが、Dが踏ん張り6-6、タイブレーク(TB)。今大会、準決勝フェデラー・マレー戦が最高レベルと感じましたが、やはりそれ以上です。TBはなんとDの7-1、でも一方的な感じはしません。Fは、攻めるのですがそれがミスになります。  第2セットに入ると、更に厳しい打ち合いになり、ジュースあり、Dのブレークチャンスもありますが、TBに突入、Fが12-10で2セット目を取り返し、セットカウント1-1。Fが前に出て、Dに準備する時間を与えず、優位に進められたという事だったのでしょう。 第3セット、Fは技術が高いが、難しいプレーをしてミスするケースが多いように感じます。全仏が始まる頃、Fは「ビデオで錦織の素晴らしいプレーを見るんだ」という様な事を言っていました。元々こういうプレーは得意なFですが、錦織選手のプレーも参考にしたのでしょうか?前に出てプレーをし、ライジングというよりは、ショートバウンド、若しくはノーバンで返す事もあり、技術の高さを見せますが、やはりミスが出てしまいます。それでも敢えてDに勝つため選んだ戦略なのでしょう。この戦略を成功させなければ、今迄と同じでは勝てないという判断だったのだと思いました。しかし、Dは先にミスをせず、プレッシャーをかけ続けます。また、Dのセカンドサーブポイント獲得率が高い!速いサーブとスピンサーブの打ち分けによるモノですが、特にスピンサーブが有効で、Fは何度もフレームショットになっていました。さらにFのサーブが入らなくなって来ました。Dの凄いドロップショットもありました。Dがこのセットを6-4で取り、2-1。  第4セットは、Dも前に出て応戦します。そのDの技術も、対応力も凄い! 結果、Dがチャンピオンシップポイントをパッシングショットで決め。ガッツポーズ!長い、長い、ガッツポーズでした。本当に苦しい試合だったのでしょう。又、全仏での失意の淵からカムバックした喜びと相まって、爆発したのでしょうか。兎に角、強かった。  フェデラーにしてみれば、これだけ対策をし、準備して、心身も共に万全な状態で臨んだのに、それでも勝てなかった。ショックだったでしょうね。出来れば、GS最年長優勝記録、WB8勝を成し遂げて欲しかった。普通なら十分それが実現出来るだけの状況でした。今のジョコビッチがいなければ。  今期、ジョコビッチGS2勝、全仏優勝のワウリンカ、2名がツアーファイナル当確、マレー、フェデラーもほぼ決まりそうな状況になってきたと思います。 残る4人は、ポイントの高い順にベルディヒ(3,480pt)、錦織(2,975pt)、フェレール(2,915pt)、ナダル(2,855pt)。その後に続くのが、WBベスト4のガスケ(1,770pt)、ラオニッチ(1,720pt)シモン(1,690pt)、レースポイントを19位上げて22位になったチリッチ、しかしまだポイントは965pt、何処まで盛り返せるか、USオープン2,000ptの失効も迫っています。ナダルもどこまで復調して来るか?楽しみ!  また、錦織選手の元気なニュースも出ていますので、今後のアメリカハードコートシーズンも楽しみです!このまま十分に休養を取って、回復し、フレッシュな体で臨んでほしいです。特に、USオープンまでのゲームで無理しないで欲しいものです。