ついに全仏オープンのドローが決まりました。各選手はおそらく目の前の一戦に集中しているので先のことはまだ考えていないかもしれませんが、見る側としてはドローを見ながら先を考える(特に2週目)のは非常に楽しい作業ですので、しっかり見ていきましょう。 その展望の前に、まずは残念なニュース。去年ベスト8に残ったラオニッチが全仏不参加となりました。やはり手術からの回復が間に合わなかったということです。そして、ラオニッチが抜けたことによりバブリンカが第8シードに滑り込みました。 そして、日本人にとっては嬉しいニュースも。予選から出場していたダニエル太郎と西岡の2名が見事予選を勝ち抜き本選出場を決めました。二人ともプレースタイル的にクレーコートが得意なので本選での番狂わせを期待しましょう。(二人とも対戦相手によっては3回戦くらいまではチャンスあると思います) ではドロー展望の方へ。ドロー数が多いので、1~8シードのゾーンごとに上から見ていきたいと思います。 第1シードゾーン(ジョコビッチ) このゾーンはおそらくジョコビッチが楽々抜けてくると思います。4回戦でガスケが勝ち残ってきた場合(シード順で言えばアンダーソン)、フランスの応援を味方に付けたガスケがもつれた試合を演じる可能性はありますが、それでも今のジョコビッチならあっさり勝ち上がる可能性の方が圧倒的に高いです。 個人的な注目は、ジョコビッチがどれくらい体力を温存して勝ち上がれるか、それとオーストラリアの若手注目株コキナキスですかね。コキナキスは先週チャレンジャーとはいえクレーの大会で優勝していますし、1回戦は予選勝者、2回戦はトミッチ(トミッチはクレーコート全然ダメ)ということを考えれば、ジョコビッチとの3回戦進出までは十分チャンスはあります。 4回戦予想 ジョコビッチ対ガスケ ジョコビッチ勝利 第6シードゾーン(ナダル) 手首の怪我や虫垂炎の手術からの復帰が上手くいかず、今回のナダルは第6シードとなってしまいました。 このゾーンに関しては正直ナダルの調子次第という気がします。 現在のナダルを一言で表せば「不安定」と言う言葉がピッタリです。それが顕著に表れた試合が、バルセロナのフォニーニ戦、マドリードのマレー戦、ローマのバブリンカ戦です。これらの試合に共通しているのがミスをし始めたら止まらないということ。 特にマレー、バブリンカとの試合では第2セットでいきなり4ゲームを連取されてしまってます。良い頃のナダルであれば、仮に第1セットを落としたとしても全くメンタルダウンすることなく、逆に次のセットで更にプレーレベルを上げてくるのですが、今年のナダルに関してはセットを取られた後崩れてしまう傾向にあります。 もし、全仏でもこのような不安定な状態のナダルが見られるようならば早期敗退も覚悟しなければなりません。 そんなナダルの組み合わせですが、2回戦でドルゴポロフorアルマグロ、3回戦はマナリノ、4回戦でディミトロフとなっています。曲者ぞろいといった印象を非常に受けます。 ドルゴポロフやマナリノは相手のペースを崩すのが非常に上手い選手ですし、アルマグロはローマのジョコビッチ戦でも見せ付けたように非常にパワーのある選手。ディミトロフは今シーズンあまりパッとした成績は出してませんが、大舞台に強い選手だと個人的に思ってます。(去年のWBマレー戦、ジョコビッチ戦、今年の全豪マレー戦etc) このようにナダルにとっては一筋縄ではいかないドローです。おそらく、苦戦する試合もあると思います。 ですが逆に言えば、これらの試合をクリアしていけば自信が戻ってくるということです。ナダル本人も言っていますが、今ナダルに一番足りないものは「自信」です。それを身に付けるにはある意味良いドローになったとも言えるでしょう。 ナダル以外の注目選手は若手のコリッチです。今週行われている大会でも活躍していますし、この勢いを全仏に繋げられれば面白い存在になるかもしれません。ちなみにコリッチは1回戦クエリー、2回戦ロブレド、3回戦ディミトロフの組み合わせ。 4回戦予想 ナダル対ディミトロフ ナダル勝利 第3シードゾーン(マレー) 個人的に全仏で一番注目なのがマレーです。(錦織除く) というのも、あまりにもマドリードの時のマレーが良かったからです。特にメンタルの充実は過去最高だったと思います。ブレークポイント握られた時の落ち着き、ブレークポイント握った時のプレッシャーのかけ方、UEをした後の表情・仕草。どれを取っても今までのマレーからでは考えられないほど素晴らしかったです。このマレーが全仏でも見れるならば、十分優勝を狙えると思います。 そのマレーの組み合わせは、1回戦予選勝者、2回戦ポスピショルorソウザ、3回戦キリオス、4回戦イズナーorゴフィンとなっております。 本来なら3回戦のキリオスとの試合が注目カードなのでしょうが、キリオスが今週の大会で右肘の怪我でリタイアしていますから、マレーにとっては問題ないと思います。4回戦でイズナーが来た場合が少し大変かもしれませんが、5セットマッチということを考えればマレー有利は揺るがないと思います。 マレー以外の注目選手は、怪我の状態次第ですがキリオスでしょう。プレースタイル的にクレーは苦手かと思ってましたが、今シーズンのクレーの戦いを見る限り十分やれる能力を持っています。キリオスの組み合わせは1回戦イスタミン、2回戦予選勝者、3回戦マレーです。 4回戦予想 マレー対ゴフィン マレー勝利 第7シードゾーン(フェレール) このゾーンはおそらく圧倒的にフェレール有利でしょう。対抗シードのチリッチは今シーズン全くダメですし、他のシード勢も上位を破る力を持った選手ではありません。ローマでのテニスを見る限りフェレールで間違いないと思います。 他の注目は、錦織がローマの初戦で対戦したベセリでしょう。全仏はクレーコートとしては球足も速く、良く弾むコートなので、ベセリのようなタイプの選手は有利だと思います。 4回戦予想 フェレール対ベセリ フェレール勝利 第5シードゾーン(錦織) このゾーンは当然錦織が最注目です。去年と違いフィジカルも良い状態で臨めますから、上位進出が十分期待できます。全仏の速いコートも錦織の攻撃テニスを手助けしてくれるでしょう。 そんな錦織の組み合わせは1回戦マチュー、2回戦ベルッチ、3回戦ベルダスコ、4回戦バウティスタ・アグートorモナコorロペスとなります。 1回戦マチューは地元フランスのベテラン選手です。一般的なストローカーですから、初戦の緊張感に注意すれば問題ないでしょう。 2回戦ベルッチは現在調子の良い選手なので要注意です。ローマでジョコビッチとフルセット、今週の大会でも決勝進出と非常に勢いがあります。プレースタイル的にはサウスポーでフォアを軸に戦う選手です。 3回戦ベルダスコは今年インディアンウェルズで対戦しており、その時は2-1で錦織が勝っています。ベテランですがサウスポーから繰り出されるサーブとフォアは非常にパワーのある選手ですから、調子に乗らせると危険な相手です。 4回戦アグート、モナコ、ロペスはそこまで問題ないと思います。アグートはバルセロナとマドリードで錦織がしっかり勝ってます。モナコは普通のストローカータイプで錦織が一番得意とするタイプです。ロペスはインディアンウェルズで負けてはいますが、正直クレーだと怖くない選手です。 ということで、上位進出のカギになりそうなのは2回戦と3回戦だと思います。ここをしっかり乗り切れば全仏初のベスト8、さらにはその上も見えてくると思います。 4回戦予想 錦織対バウティスタ・アグート 錦織勝利 第4シードゾーン(ベルディヒ) 今シーズントップ10以下には負けていない安定感抜群のベルディヒがここでも当然最有力でしょう。対抗シードは今シーズン調子の上がらないツォンガですし、唯一ベルディヒに勝てる可能性がありそうなのがローマで接戦を演じたフォニーニあたりでしょうか。ですが、地元ローマでも勝てなかったフォニーニが全仏で勝てるかとなると疑問符です。 ちなみにこのゾーンには添田と伊藤が入っており、添田はコールシュライバー、伊藤はフォニーニとお互い初戦からシード選手と厳しい戦いが予想されますが、初戦はシード選手を倒す一番のチャンスでもあるので頑張ってほしいです。 4回戦予想 ベルディヒ対コールシュライバー ベルディヒ勝利 第8シードゾーン(バブリンカ) とにかく波の激しいバブリンカ。クレーコートシーズンに入ってからも、早期敗退が続くかと思えばローマでいきなりナダルを破ったりとなかなか読めない選手です。 ドロー的にも3回戦ガルシア・ロペス、4回戦シモンと曲者との対戦予定で正直このゾーンは読めないです。 ただ、シモンはローマで棄権、今週の大海でも棄権とそもそも全仏に出場できるか分からないくらいの状態らしいので、本当に分からないです。ちなみにシモンの対抗シードは今季絶不調のグルビス・・・もう訳わかりません(笑) 4回戦予想 ガルシア・ロペス対クーリザン ガルシア・ロペス勝利 第2シードゾーン(フェデラー) フェデラーはローマでの出来を見る限り3回戦までは楽々突破するでしょう。3回戦のカルロビッチもクレーなら全く問題ないです。 4回戦で当たる相手がモンフィスかクエバスかティエムになりそうなのですが、モンフィスが来た場合は相当苦戦するでしょう。というより、個人的にはモンフィスの方が勝つ確率は高いと思います。去年の全米ではフェデラーが勝利したものの2セットダウンからの逆転勝ち、デビスカップではフェデラーの背中の怪我があったとはいえモンフィスのストレート勝ち、今年のモンテカルロでもモンフィスのストレート勝ち。 モンフィスの強烈なスピンの効いたフォアでバックを狙われて、なかなか攻め込めないのが原因だと思います。 フェデラーとしては今年から全仏とWBの間が1週間多くなったため、全仏にもしっかりピークを合わせて臨んでくると思いますが、どうなるでしょう。 4回戦予想 フェデラー対モンフィス モンフィス勝利 めっちゃ長くなりましたが、とりあえずベスト8をまとめると ジョコビッチ対ナダル マレー対フェレール 錦織対ベルディヒ ガルシア・ロペス対モンフィス という予想です。 今回は非常に長くなったのでここまでとさせてください。また明日別記事でベスト8以降の戦いを予想したいと思います。