今年も国別対抗の団体戦、デビスカップ(以下デ杯と略)の季節がやってきました。金曜日から3日間にわたって開催される今回のデ杯には例年からの変更点があります、開催時期の変更です。昨年までは「全豪の後(1回戦)、マイアミMSの後(準々決勝)、全米の後(準決勝、プレーオフ)」だったのですがこれが「インディアンウェルズMSの前(1回戦)、WBの後(準々決勝)、全米の後(準決勝、プレーオフ)」に変わりました。1か月ずれた一回戦で日本は昨年の一回戦に続いてカナダと激突します。詳しく書きたい日本戦のプレビューのみ対戦カード発表後の明日に譲り、残りの7試合について先に見てみることにします。【カナダVS日本】のように左側に書いた国がホームになります。 【ドイツVSフランス】(会場:インドアハード) 昨年の準々決勝に続く2年連続の普仏対決となりました。前回はホーム開催かつメンバーも充実していたフランスが圧倒的有利とみられていたものの、ドイツの選手たちが奮起して初日2連勝。その後3連敗して敗れたもののフランスを崖っぷちまで追い詰め健闘しました。今年はコールシュライバーやベッカーといった現在のトップランカーを揃え、ホームでフランスを迎え撃ちます。  昨年準優勝のフランスはツォンガが負傷中の上に一旦はメンバーに選ばれたガスケが負傷で辞退しています。残ったメンバーはモンフィス、シモン、マウー。それでもまだ一見フランスが有利に見えますが、実はシモンはシングルス4勝8敗とデ杯が大の苦手。スイス勢二人に相性がよかったにも関わらず昨年の決勝で起用されなかったのは、おそらくこれが理由でしょう。だがけが人続出の状況でそんなことは言ってられません。シモンのプレーがこの試合の勝敗を握ります。 【イギリスVSアメリカ】(会場:インドアハード)  マレー率いるイギリスは前回初戦を突破して準々決勝まで進みました。その初戦の相手が今年も対決するアメリカでした。前回はアメリカがマレーの苦手とするクレーを用意して撃破を狙ったものの、逆にイギリス二番手のワードにクエリーが返り討ちにあってしまいイギリスが3勝1敗で勝利を収める結果になりました。デビスカップは対戦するごとにホーム&アウェーを入れ替える形式を取っているので、今度はイギリスがホーム開催。マレーの出身地域スコットランドの中心都市グラスゴーを用意して準備万端で迎え撃ちます。  今回イギリスチームはフレミングとインゴットのダブルス専に代えてマレー兄を選出しマレー兄弟でダブルスに臨みます、がブライアン兄弟の壁は厚く勝利は困難でしょう。となるとマレーが2勝しても足りません。前回のアメリカ戦同様に2番手のワードが勝敗のカギを握ることになるでしょう。一方のアメリカはイズナー、ヤングとベストメンバーを揃えて臨みます。 【チェコVSオーストラリア】(会場:インドアハード)  12年13年と連覇したチェコはすでにエースのベルディヒが不出場を表明しています。それでもロソルとヴェセリという二人のトップ50選手を抱える選手層の厚さは強み。しかしロソルはエースとしてはあまりに頼りなく、ヴェセリはデッドラバー(決着ついた後の消化試合)でしか試合をしたことがありません。となるとオーストラリアにもチャンスは出てきます。オーストラリアもキリオスが欠場する痛手はありますが、まだヒューイットとトミッチがいます。来年の全豪で引退するヒューイットにとっては最後のデ杯となります。毎年のようにデ杯に執念を燃やしてきた大ベテランに優勝をプレゼントすることができるでしょうか。 【カザフスタンVSイタリア】(会場:インドアハード)  カザフスタンは特筆すべき選手はいないながら毎年しぶとくWGに残っているチームです。ククシュキンやゴルベフをご存じの人は少ないと思いますが、それでも昨年は初戦を突破した上にスイスを土壇場まで追い詰めています。デ杯へのモチベーションが高いのでしょう。  一方昨年ベスト4のイタリアは特にメンバーを落とすことなくフォニーニ、セッピ、ボレリら4人で臨みます。だが彼らはいずれもクレーが得意な選手たちで、最近の成績を見てもハードで開催された試合の多くを落とし逆にクレーでは勝利しています。アウェーでハード開催というハンデを乗り越えられるかがポイントとなるでしょう。 【アルゼンチンVSブラジル】(会場:アウトドアクレー)  まるでサッカーの試合かと勘違いしそうなカードが組まれました。お互い強みははっきりしていて、アルゼンチンはエースのL・マイヤー、ブラジルはメロとソアレスのダブルス強豪コンビでそれぞれ勝ちを稼いでくるはず。問題は残りのシングルス。アルゼンチンの3人とブラジルの二人の力量差はほぼ互角と言ってよいでしょう。昨年のプレーオフでアグートを破って母国をWG復帰に導いたブラジルのエース、ベルッチの奮起が一つポイントになってくると思われます。 【セルビアVSクロアチア】(会場:インドアハード)  クロアチアのエース、チリッチは長引く負傷のためデ杯も欠場します。一方セルビアのエース、ジョコビッチは13年決勝以来となるデ杯参戦です。セルビアはジョコビッチに加えて10年のデ杯優勝に貢献したトロイツキが久しぶりの代表復帰となっており、負けるビジョンが全く思い浮かびません。一つ注目点を挙げるとすれば先週マレーを破ったコリッチがクロアチア代表として出場することでしょう。もしジョコビッチとの対戦が実現すればコリッチは18歳にして4強全員と対戦することになります。 セルビアホームで行われるこの試合、チケットは発売開始わずか15分で完売したようです。 【ベルギーVSスイス】(会場:インドアハード) すべてを成し遂げ燃え尽きたスイスはフェデラーもバブリンカも不出場。前年優勝国がこの体たらくはちょっといただけませんがシングルスに専念したいだろう当人達の事情を考えると仕方がないともいえます。ゴファンとダルシスを擁するベルギーチームの勝利は確定でしょう。