20140827_usopen_k0 photo:US OPEN


6日に行われた全米オープンテニス男子シングルス準決勝で、世界ランク11位で大会第10シードの錦織圭は、同ランク1位で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に、6-4,1-6,7-6(4),6-3で勝利。日本人選手として史上初となる、四大大会シングルスで決勝進出を果たしました。

13歳から単身留学して修行を積んだ、第2の故郷ともいえるアメリカの地で、錦織は大きく躍動。歴史的快挙を成し遂げました。

相手は世界一のテニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチ。四大大会通算7度の優勝を誇り、まるで壁のようにどんな強打も跳ね返す、圧倒的な守備力が武器です。

そんな世界一の壁を、錦織は見事に打ち抜いてみせました。いつもよりリスクを負った、一見強引にも見える攻めは、試合が進むにつれてどんどん精度を増していきました。

早いタイミングで左右に打ち分け、時にあのジョコビッチがついていけないほどの展開力を見せる錦織。第3セット以降は、まさにありえないスーパープレーを連発していました。

勝利した錦織は決勝で、世界ランク3位のロジャー・フェデラー(スイス)と、同ランク16位のマリン・チリッチ(クロアチア)の勝者と対戦します。

第1セット:積極性を見せた錦織が先取

お互いに硬さの見える立ち上がり。安定したストロークが武器の両者ですが、珍しく簡単なミスが増え、序盤でブレイクを分け合いました。

試合は、ジョコビッチサーブの第7ゲームで動きます。錦織は積極的にジョコビッチのセカンドサーブを叩き、3本のリターンエースを奪って、ブレイクに成功しました。

このワンブレイクを活かして、錦織が王者から第1セットを奪いました。

第2セット:ジョコビッチが錦織に適合

錦織の攻撃のテンポに慣れてきたジョコビッチは、ラリー戦で徐々に攻めに転じ始めます。

一方錦織は、相手が世界屈指の守備力を誇るジョコビッチということもあり、いつも以上にリスクを犯して攻撃せざるを得ないのでしょう。結果、ミスが増えてしまいました。

第2セットは、ジョコビッチが一方的な展開で取り返しました。

第1セットはウイナーの数が9本対8本で、1本上回った錦織ですが、このセットは3本対10本と、ジョコビッチに完全にラリーを支配されたことが、数字にもはっきりと現れています。

第3セット:激しいラリー戦を制した錦織

今大会の錦織は、苦しみながらも数少ないチャンスを活かしています。そしてこのセットでも、自身のサービスゲームは計4度もブレイクポイントを握られますが、全てセーブ。

逆にこのセット唯一のブレイクポイントを活かして、第9ゲームをブレイクしました。

しかしここでジョコビッチが意地を見せて、第10ゲームでブレイクバック。その後は互いにキープしてタイブレークに突入します。

タイブレークで先行したのは錦織。怒濤の攻めで、4-0までリードを広げました。ジョコビッチも追い上げを見せますが、錦織が逃げ切って第3セットを取り、決勝進出に王手をかけました。

第4セット:錦織がワンランク上のプレーを披露

錦織が試合序盤からトライし続けてきた、一見無謀にも思える速いテンポでの攻めは、第3セットから徐々に形となり始めていました。そして第4セットでは、更に精度が高まりました。

ジョコビッチを左右に振り回してラリー戦を制圧。第1ゲームでいきなりブレイクに成功すると、その後も攻撃の姿勢を貫き通した錦織が、第9ゲームでもブレイクに成功してそのまま勝利。歴史的快挙を成し遂げました。