BIG4特集も第4回(第3回はこちら)。今回からはいよいよ、BIG4が全盛期を謳歌した3年間を振り返ってみることにします。まずは2011年。   【衝撃の全豪オープン】  グランドスラム4連続優勝を狙ったナダルは調子が上がることなくあっさりと敗退。だが残りの3人は順調に勝ち上がりました。そして準決勝でフェデラーとジョコビッチが激突します。この試合が世界に衝撃を与えました。ジョコビッチのプレーは神がかっていました。とにかくストロークが素晴らしかった。スピードもコースも申し分ないショットを次々と突き刺さしてフェデラーとのストローク戦を尽く制し、5回のブレイクを奪って見事なストレート勝ち。第2セットを奪ったのはジョコビッチのウィニングショット、バックハンドのDTLでした。これを打ち込んでウィナーを奪った後ガッツポーズして吠えるのが絵になるのです。  元々の高い実力に加えて攻撃力までも身につけさらにスタミナ面の不安もなくなったジョコビッチを倒せるものは誰もいませんでした。決勝のマレーもストレートで粉砕。3年前初めてグランドスラムを取った場所でようやく2度目の栄冠を獲得したのです。 【ジョコビッチ43連勝(2010デビスカップ決勝~2011全仏)】  ジョコビッチの快進撃はこれで終わりではありません。ドバイ、インディアンウェルズMS、マイアミMS、ベオグラード、マドリッドMS、ローマMSとなんと7大会連続優勝を果たしたのです。インディアンウェルズ決勝では全豪敗退から立ち直ったナダルとの決戦になりましたがこれを倒して優勝しフェデラーを抜いて世界2位に。続くマイアミでもナダルとの決勝となりましたがこれを最終セットタイブレークの末に振り切って対ナダル2連勝。もうジョコビッチは止まりませんでした。ナダルの牙城クレーに乗り込むとマドリッド、ローマとナダルを粉砕してクレーMSでも敵なしの大活躍。ナダルの牙城全仏がついに対ナダル4連勝のジョコビッチによって崩されるのか?  ジョコビッチにはもうひとつ大記録がかかっていました。マッケンローの同一年度42連勝(史上1位)、レンドルの44連勝(史上2位)まであとわずかに迫っていたのです。順当なら準々決勝で並び、準決勝で抜き去る予定でした。 【ナダルへの誕生日プレゼント】  ジョコビッチVSナダル一色に染まる全仏が開幕する中で一人闘志を燃やす男がいました。世界ランク3位に落ちていたフェデラーです。全試合をストレートで勝ち上がる圧巻のプレーで準決勝まで辿り着きます。一方のジョコビッチもデルポトロに1セット取られた以外はストレートで準々決勝へ。だがここでちょっとした誤算が起きました。モンタネス対フォニーニの一戦が最終セット11-9の死闘となり、手負いの状態で執念の勝利を収めたフォニーニが準々決勝を棄権したのです。ジョコビッチの連勝記録はひとつ持ち越しとなり、フェデラー戦に年間42連勝と通算44連勝を懸けることになりました。  フェデラーはまるで全盛期かと思わせるような高速の攻めでジョコビッチに襲いかかりました。ジョコビッチも一歩も引かずに試合はタイブレークへ。このタイブレークをフェデラーが制すると気落ちするジョコビッチを攻め立てあっという間に2セットアップ。ここからジョコビッチが反撃すると第3セットを奪い返し第4セットもサービング・フォー・ザセット。だがここでフェデラーの執念が一枚勝りました、土壇場でブレイクを奪い返し、自身のサービスゲームではSPを握って追い詰めるジョコビッチに対して渾身のサーブを打ち込んで振り切ります。薄闇の中、最後のポイントで18本目のエースを突き刺してフェデラー勝利。ジョコビッチの連勝がついに止まった瞬間でした。  この日はナダルの誕生日でした。最高の誕生日プレゼントを手にしたナダルはフェデラーを破って見事6度目の優勝を手にしました。 後半に続きます。