土日は男子準決勝終わった後忙しく、決勝を前にして何の記事も書けず申し訳ありませんでした。何も書かないのもアレなので、決勝を前に雑感を少々書いておきたいと思います。中身のある記事ではなくてメモのようなものなので、適当に読み飛ばしてくれれば幸いです。 【ジョコビッチ×フェデラー】  フェデラーの21勝20敗。うちグランドスラムではジョコビッチの7勝6敗で、全米のみに絞るとフェデラーの3勝2敗。今年は既に5度も対戦していてジョコビッチの3勝2敗。この二人の勝負のたびに書いてますが、接戦です。  かつてこの全米では07から11年まで5年連続で激突した仲。最初の3年はフェデラーがジョコビッチを圧倒しました。フェデラーの華麗なテクニックを象徴するようなビッグプレー2つ、「股抜きウィナー」(09年準決勝)と「スマッシュロブ」(08年準決勝)はこの全米ジョコビッチ戦で出たものです。だが後の2年は様相が一転、一気に成長してきたジョコビッチがフェデラーの牙城を崩さんと挑む決戦の場となり、2年連続フルセットの末ジョコビッチが2連勝。特に11年全米フェデラーのMPで飛び出した伝説のリターンエースは未だに語り継がれています。 #Federer #Djokovic H2H couldn't be closer. 21-20 career, 3-2 #USOpen. Will Roger widen the gap or Djokovic level? pic.twitter.com/j06LCS1O0T— US Open Tennis (@usopen) 2015, 9月 13  二人とも準決勝は完璧でした。ジョコビッチは足に故障を抱えたチリッチを相手にせず完璧なリターンゲーム。チリッチにわずか3ゲームしか取らせない完璧なプレーを見せ、わずか1時間25分での勝利。あの13年全豪準決勝フェレール戦をも越える完勝を披露しました。  負けじと素晴らしいプレーを見せたのがフェデラー。強敵ワウリンカを迎えた一戦は苦戦が予想されましたが、ワンチャンスを生かして第1セットを奪うと、第2セット中盤で均衡を破り一気にケリをつけました。こちらも終わってみれば1時間32分での快勝。男子全米準決勝は2試合合わせても3時間未満で終了し、男子テニス界のトップに立つ二人の強さを改めて見せつけたのでした。  ジョコビッチの完勝ぶりは置いておいて、フェデラーのワウリンカ戦を復習してみます。あの試合フェデラーは第1セットワウリンカのわずかなほころびを突いて奪ったわけです。30-0からセカンドに突進したフェデラーはあの「セイバー」で見事1ポイント取ってみせます。ですがこれだけでは何も起こりません。続く3ポイントフェデラーはバックハンドで強いリターンを叩き込み、ストローク戦で有利に立ってブレイクを奪ったのです。ここにこの夏通してのフェデラーの狙いが見えます。  昨年のツアーファイナルズを思い出してみましょう。今回の試合前プレビューでも書きましたが、フェデラーはワウリンカのセカンドサーブをスライスでしか返せず、リターンでプレッシャーをかけることができませんでした。そこをしっかり修正してきたのです。そしてセイバーは相手のセカンドサーブにプレッシャーをかけ、配球をバック側に限定する効果があったものと思われます。いくらバック側とはいえ、読めるボールならフェデラーもミスせず強打することができます。セイバーをブレイクを奪っていくための囮に使ったのです。  セイバーの影に隠れがちですが、フェデラーはこのリターンの強打に磨きをかけています。準々決勝のガスケ戦でも、思い起こせばWBのマレー戦でも幾度と無くバックハンドの強打が炸裂し相手のサーブを破っているのです。タイブレークにすらほとんど持ち込ませず短時間でセットを奪って勝ち上がれたのはこのリターン力の向上が何より大きいものと考えられます。  結果的にフェデラーは1セットも落とさず6年ぶりとなる全米決勝にたどり着きました。シンシナティから28セット連続奪取。彼を止める権利を持っているのは、最早絶対王者だけとなりました。まさに頂上決戦と言ってよい決勝となりました。 "I practised for years in front of nobody, I'm not going to throw away moments like this." http://t.co/V7skcUJ5Tq pic.twitter.com/0u0u5UaXQr— BBC Sport (@BBCSport) 2015, 9月 12  この二人の対戦、ショートポイントならフェデラー、ロングラリーならジョコビッチに分があるというのはもう自明の事実です。だからこそ、勝負はお互いのサービスとリターンに集中するでしょう。フェデラーが前述のような積極的なリターンゲームを仕掛けられるのは自身の盤石のキープあってこそのもの。ワウリンカ戦でも0-40から完璧なキープを見せるなど1度もブレイクを許しませんでした。ここをジョコビッチがあのリターン力で破れるかどうかがまずポイント。そしてフェデラーの積極的リターンにジョコビッチがどのような対策を見出してくるかがもう一つのポイントになるのです。  お互いのサービスゲームで繰り広げられる駆け引き、工夫。ここに注目しつつ、両者のビッグプレーを堪能したいと思います。しかし勝敗となるとやはりジョコビッチがに分がある思います。体力面という要素を考えなかったとしても、昨年のWBがまさにそうだったように、次第にフェデラーのサーブに慣れ、より正確なリターンを繰り出すことができるようになる点でジョコビッチにはアドバンテージがあります。そしてやはり重くのしかかかってくる体力面。ジョコビッチが7:3ぐらいで有利と見ます。  ですが、だからこそ第1セットから3セット連取する覚悟で攻撃を繰り出してくるフェデラーの全力プレーを見られるという楽しみもあるのです。悪いことばかりではありません。元王者の繰り出す華麗な攻撃と、現王者の繰り出す完璧な反撃の競演が、今日も素晴らしい試合になることを祈っています。