一週目の酷暑とは打って変わって雨のニューヨーク。大会運営は女子シングルスの準決勝を今日に延期とすることを決断しました。「スーパーフライデー」の日程は昼に女子準決勝を2試合、そして夜に男子準決勝を2試合行うという盛り沢山のスケジュールとなっています。今日は日程をこなせそうな天気予報となっている一方で、にわか雨が降る可能性もあるようで選手達の集中力や試合の流れに微妙な影響を与えるかもしれません。そういう点にも注意しながら見ていきたい準決勝です。 #FridayFrenzy will be in full effect as Women's SFs join Men's SFs on the order of play. Who's excited?! #USOpen pic.twitter.com/sYITtCPbGc— ESPNTennis (@ESPNTennis) 2015, 9月 10 【ジョコビッチ×チリッチ】(ナイトマッチ第1試合)  対戦成績ジョコビッチの13勝0敗。これほど大差がついている組み合わせそうはありません。果たしてチリッチに勝ち目はあるのでしょうか。  チリッチのここまでの勝ち上がりは決して盤石ではありません。準々決勝のツォンガ戦を含めてフルセットが2回あります。それでも錦織のいなくなったブロックにおいて第9シードの立場を守り、ジョコビッチ戦までたどり着きました。全仏、ウィンブルドンに続いてシードを守りきったことには拍手を送りたいと思います。欠場した全豪以外すべてのグランドスラムでシードキープに成功したのです。  じゃあこのジョコビッチ戦、対戦成績も悪いしもう燃え尽きてもいいのかというと案外そうでもありません。ジョコビッチの試合を見ている方は、なんからしくないなあと思うことも多いのではないでしょうか。ここ2試合はいずれもセットを取られながらの勝ち上がり。アグート、ロペスのナイスファイトあっての結果とはいえ、挑戦者の攻撃をまともに食らって押し込まれるジョコビッチというのはあまり見ない光景でもあります。今大会の彼は専守防衛・安全第一を心がけてプレーしているように見えます。それは果たして相手を見てそうしているのか、本来のプレーを出せないが故の策なのか。もし本調子でないのなら昨年の錦織戦のように元気なく沈む可能性も考えられます。どちらが上がってきてもこれ以上ない強敵となる決勝へ向け、このチリッチ戦で今一度ギアを上げておきたいところでしょう。 【フェデラー×ワウリンカ】(ナイトマッチ第2試合)  対戦成績フェデラーの16勝3敗という結果だけ見て予想を下すのは愚かというものです。ワウリンカがGSを獲得した14年全豪以降は5度の対決でフェデラー3勝2敗と拮抗しています。ワウリンカは今年の全仏準々決勝などクレーで2勝。一方フェデラーは昨年のWB準々決勝で1勝、そして最終戦では死闘の末、4つのMPをしのいで勝利をつかみとりました。 Federer v Wawrinka - the strangest rivalry in men's tennis explained... #USOpen2015 http://t.co/HFHTPLtFcf pic.twitter.com/tquAPC61Iy— Telegraph Sport (@TelegraphSport) 2015, 9月 10  この対戦、まともにやりあえばワウリンカに分があります。ワウリンカのパワフルなストロークはフェデラーのストロークを押し込み、ストロークのミスを誘うことができるのです。「ミス」と一口に言いますがアウトとならなくても浅くなれば十分。そのときはワウリンカの大砲が炸裂します。  フェデラーは持てるすべての技巧を用いてワウリンカを翻弄し、エラーを誘っていかなければなりません。だが技巧だけで「GSのワウリンカ」に対抗しきるのは限度があるでしょう。だが策はあります。ワウリンカを打ち破るなら、やや確率の低い1stサーブという弱点を突きたい。最終戦ではワウリンカがバックサイドに入れた2ndサーブに対しスライスでしか返球できず、フェデラーはリターンゲームで中々ポイントを取れませんでした。だがその対決から1年近くが経った今、とことん強打のリターンを磨いてきたフェデラーにとってワウリンカの2ndサーブを叩きストローク戦で有利を築くというミッションは不可能ではないはずです。  土曜日の午前中。日本で視聴するにあたっても不自由ない時間帯です。対照的なプレースタイルを持つスイスの英雄達が繰り広げる、ハイレベルな対決を思う存分楽しもうではありませんか。