5/31 現地15:00~(日本時間22:00~) Grand slam French Open 4R [5]Kei Nishikori 6-3 6-4 6-2 Teymuraz Gabashvili いとも簡単にやってのけました。 表題通り錦織圭は2014全米→2015全豪→2015全仏と3大会連続GS8強以上。ミドルサンデーと日没サスペンデッドの影響で2014ウィンブルドンも第2週目の火曜日まで試合をしているので2週目進出は実に4大会連続です。 いとも簡単にやってのけたというこの表現はいかに4回戦が本来難しいラウンドかということを意味しています。 これを説明するのにちょうどいい結果ですがベルディヒがツォンガに敗れました。こういったことが起こってくるのが4回戦くらいからです。普通にやや下のランクの実力者が上位選手を食う。こういったシーンです。ナダルが全仏で負けたのも4回戦、昨年フェデラーがガルビスに負けたのも4回戦です。 まずこの試合の前のガバシビリの錦織に対するコメントに驚きました。 「彼(錦織)の最高のプレーは1時間か1時間半で、長くは続かない。長い試合が僕の望みだ。」 これを聞いたとき正直「???」と思いました。むしろこういう戦略をもっていては錦織には勝てないように感じました。 今シーズンの錦織の取りこぼしの少なさは明らかに「最低のプレー」が高くなってきたからだと思っています。 ガバシビリの言いたいことを行間から読み取ると「確かにいいプレーをすれば錦織は誰にでも勝てる。しかし粘って落ち込んだ時間帯を突けばチャンスはある」と言っているということです。 私個人の見解ですが、これはトップ10の選手なら中だるみの多い錦織に対して突破していくポイントになると思いますが、ガバシビリのようなランキング帯の選手ではそれだけを待っていてもだめだと思います。 地力の差があるトップ10選手とトップ50以下の選手の試合で番狂わせを起こすには相当な何かが必要です。そして対錦織として私が考えるゲームプランは「攻め続ける、それでだめなら仕方ない」です。 ラリー戦にお付き合いしてしまえば錦織の多彩な攻めの餌食にあってしまいます。フェデラーがファイナルでやったようにとにかく勝負させない。その前に決める。こういった戦略が最も妥当だと思っています。 もちろん錦織ほどの実力でなければ粘っていればそのうち崩れてくると思いますが、錦織はあの高い攻撃性を維持しながらウィナーがUEを上回るような精度の高いテニスができるのが持ち味。今日も結果的にはそのテニスが出た形になりました。試合後の錦織のウィナー―UEは40-34。ガバシビリにウィナーの2倍以上のミスを強いているのでこれだけでもいいスタッツです。 第1セット、流れの中でいきなり第2ゲームをすんなりブレーク。これで一気に楽になりました。明らかに総合力で錦織が上回っていることがプレーを見てわかり、落ち着きながら観戦を始めました。 第1セットに関してはあと1つブレークできてもおかしくはないと思っていましたが、リターンが合っていない時間があったのと、ガバシビリもストレートに仕掛ける時はしっかりと打ち込み、錦織を崩せていました。 私が思ったのは、もう少しこのようなプレーをガバシビリが積極的に使っていればもう少しもつれたのではと思いました。ガバシビリの攻撃自体は好調なだけあって錦織にもしっかり効いていましたし。 錦織のサービスゲームの安定感は素晴らしく、第1セットはBPなし。クレーコートでこのテニスはなかなかできません。センターへのサーブが効果的に決まっていた印象を感じました。 最後もそのセンターへのエースを決めて第1セット先取。ここで少し雨足が強くなりました。 センターコートで同時に行われていたベルディヒ×ツォンガもいったん中断へ。スザンヌ=ランランコートのこの試合も中断しかけましたが、やや長いセット間ブレークになっただけで試合再開。それにしても試合を見たいばかりに中断かどうかを協議する審判団にブーイングに近い歓声を浴びせた観客は本当にテニスが好きなんだなあと思いました。 第2セットに入る前、錦織は「え、やるの?」という表情を見せました。 雨脚というよりはぬかるんだクレーコートでのテニスを嫌った形だと思います。 打球やボールも重くなりショットのフィーリングが変わるし、何よりもスライディングした時の滑り方が変わってきます。こういった状況でやるとけがしやすくなるので嫌だったのではという推測です。 序盤やや微妙な時間帯もありましたが、苦しいゲームが続く中第1~3ゲームで20分を超えるような長いゲームを制し、錦織が2-1と先にブレークして先行します。 こうなるとガバシビリも途端に崩れだし、第3ゲームでの2本のDFを皮切りにテニスの内容が悪くなり5-1に。 ここで一気に決めたかったところですが今大会3度目のSFS落としをやってしまい6-4で第2セットを取ります。ブレークされたゲームはDF2本にガバシビリのスーパーショットもありどうしようもないという感じです。 5-4からの第10ゲームはそこまでの3ゲームで総ポイント4-13と嫌な流れでしたが、すべて1stサーブを決めサーブが助けてくれた印象。このSPでもサービスエースで決めました。 第3セットは一方的。錦織がやりたいテニスを披露し、すべてのリターンゲームでBPを獲得。全部とれるのが理想ですが内容が充実していたのでまあ大目に見ても大丈夫だと思います。終わってみれば完勝でした。GSの4回戦ですが。 第3セットが雑なのはベルディヒ×ツォンガ戦を並行して見てたからです。その頃にはベルディヒ2セットダウンという情報は耳にしていましたし。錦織の方に関しては正直第2セットを取った瞬間にもう勝つから見なくてもいいかなと思ったのですが、一応何があるかわからないので念のため横目に見てました。ベスト8のかかった試合でこの安心感というのは驚きですが。 さて戦前の頃以来の8強ということで注目されている今回の勝利ですが、簡単でいて大きなものだったと思います。 大会プレビューでも解説した通りあくまで8強以降は未踏の地。この勝利は大きな意味を持っています。 GSで毎大会コンスタントに勝っていけるという証明にもなりましたし、全大会での8強到達にもリーチです(ウィンブルドンは行けるかなあ…今年でもまだ懐疑的です)。 8強は「strong 9」とのファイナル争いに向けてもある種最低限のラインです。ここからが本番ですが、しかしここまででこけてしまうこともあるわけですし、3勝しかしてないですがいいアーリーラウンドでした。 もちろんこの試合でもいろいろ問題点は見つかっていますが、3試合の中では一番内容もよかったですし、QFに向けていい勝ち方だったと思います。ツォンガは3時間かかりましたし。 そして次戦はツォンガが上がってきました。これに関しては試合を見ていてよかったと思います。2000p程度しか持っていないツォンガ、しかもそのうちの1000pはカナダMS優勝での獲得なので平均値はかなり低いので正直トップ10内弁慶のベルディヒにとっては何の問題もないと思っていました。試合前は。 しかし今週のツォンガはどうやら違うようです。カナダMS優勝の時のツォンガが来てしまったようです。正直ベルディヒより危険だと思います。ベルディヒは4位の割に当ブログではいろいろネタにしてしまっていますが過小評価はしていません。レース3位ですから。 カナダMS優勝時のツォンガはジョコビッチ、マレー、ディミトロフ、フェデラーに勝って優勝しています。もうこれ以上の説明はいいですね。 観客も含め、錦織にとっては今大会今のところでは最大の脅威が迫っているといっていいでしょう。対策は次回に。