2/27 現地18:00~(日本時間翌日9:00~) ATP500 Abierto Mexicano telcel SF [1]Kei Nishikori 6-2 3-6 6-3 [4]Kevin Anderson 時々一つ上の順位の相手の失効によってランキングが勝手に上がってしまうことがあるATPランキングシステムですが、錦織の場合は違います。 結果論にすぎませんがトップ10に初めて入ったマドリードはマスターズ初の決勝進出で9位に。 その後8位はあの全米OPのあと、7位はクアラルンプール優勝後、6位は楽天OP優勝後、5位はパリマスターズで4強に入ってファイナルを決めた後とまさに「結果が出たからランキングが上がる」という相関関係になっています。 今回もマレーの敗退があったとはいえ自分でこの大会初の決勝進出を決めての4位。喜びも格別でしょう。もちろん通過点にしてほしいですが。 かずゴリさんのところで話題になっていたので現役選手のキャリアハイランキングについてです。 参考にしたのはウィキペディア英語版の記事です。 http://en.wikipedia.org/wiki/ATP_Rankings#Players_with_highest_career_rank_2.E2.80.935 これによると、1973年から始まったランキングシステムで キャリアハイ1位…25人 キャリアハイ2位…11人 キャリアハイ3位…13人 キャリアハイ4位…23人 キャリアハイ5位…15人 だそうです。もちろんこれは昨日までの数字で、錦織の今日の結果で24人目、それ以上を含めると73人目の4位到達者になりました。 現役では 1位…ヒューイット、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ 2位…ハース、マレー 3位…フェレール、バブリンカ 4位…デルポトロ、ソダーリン、錦織 5位…ロブレド、ツォンガ、ベルディヒ となっています。 試合冒頭は錦織のストロークが炸裂。アンダーソンの1stが悪いこともあって実力差通りの試合展開となり6-2で先取しました。しかしここからアンダーソンの逆襲が始まります。 アンダーソンは私の選手評ではメンタルが外せなくなっていますが、その分技術面は高く評価しています。本来トップ10に入れてもおかしくない力を持っていると思っています。そうでなければ10位台を長くキープすることはできません。 逆に言えば上位を突き破る力、勝ちきれるようになれれば一気に殻を破れると思っていて、足元をすくわれてもおかしくない相手ではあります。 アンダーソンは攻めるしかなくなりました。第1セットは錦織の先行する攻めになすすべなくやられてしまったため、第2セットでは先にハードヒットして主導権を握る展開を作りました。 バックハンドを攻めるとミスするような展開もメンフィスでは多かったのですが、さすがに今週きっちり3勝してきているアンダーソン、今日はしっかりとラリーを続け簡単に崩れません。 1stサーブの確率も帰ってきて、ここで一気に試合を流れを引き戻します。 錦織のキープは安定していましたが、第6ゲームで初めて迎えたピンチをあっさり落としてしまうとこのセットはノーチャンス。簡単に崩れず強打も決まりまくるアンダーソンに完全に流れが移り、試合はファイナルセットに入ります。 このまま強打が決まり続ければアンダーソン。正直負けは十分にあり得る展開でした。 その予想は的中、いきなりオープニングゲームをアンダーソンはブレークに成功。やはり4位は簡単ではない。一つ越えるための最後の壁を感じました。 しかしここからが5位(いや、4位)と10位台の選手の差でした。ここで勝敗を分けたのはメンタルです。 次のゲームアンダーソンのサーブ、いきなりアンダーソンは崩れ出します。 ただこの気持ちはよくわかります。自分の攻撃的テニスがはまり、2-6という厳しいスコアからついにリードする展開に。どうしても受けに入ってしまいます。 もちろんトップ10の選手だっておそらくこのシチュエーションになればこういう気持ちはあります。ところが結局ここでしなければいけないのはそれまでと同じテニスしかないんです。それまでのプレーでポイントを取れているのだから、本来変える必要はないんです。守備的なプレーが持ち味のテニスなら別としても、こういった攻撃性のある選手は結局勝つための最短距離は攻撃するしかありません。 アンダーソンのショットにわずかに勢いがなくなったのを錦織は逃しませんでした。ペースを取り戻し、さらにアンダーソンの平易なミスにも助けられてブレークバック。これで試合は振り出しどころか一気に錦織ペースに。 続くブレーク成功の第4ゲームではアンダーソンが0-30からチャンスボールを逃し0-40に。結果論ですがそのあとサーブ2本で止めていただけに15-30にしていたら分からなかったゲームでした。 こういうところです。アンダーソン特有かもしれませんがこういったタイトな場面で結局実力差が出ることが多いです。 第5ゲームは錦織に2つのブレークポイントのピンチが。しかしここはロングラリーを制すと30-40からはアンダーソンがミス。最後のピンチをしのぎ切った錦織がそのまま逃げ切り、アカプルコ初の決勝進出を果たしました。 勝負どころの勘を分かっています、さすがのプレーでした。 4位という数字はもちろん嬉しいです、多くの方が喜んでいることでしょうし、テニスファンとしても20代中盤でトップ4に入ったのはあのデルポトロ、ソダーリンの2010年以来。高まる期待が先行してしまいそうです。 3位に関してはナダルが優勝しそうなので考えません。マイアミの失効もありますしじきにその時はやってくると思います。もちろんマレー、ラオニッチとの争いも続きますが。 決勝の相手はこの後決まります。ハリソンでもフェレールでもタイトな試合になりそうです。あとで追記します。 ちなみにレースランキングは現在暫定で6位。といっても2位のバブリンカまで500pしかありません。シーズン後半戦の貯金に助けられている錦織ですが、2015年年末ランキングでもさらなるアップが望めそうです。 現在京都チャレンジャーに向けて移動中です。楽しんで来ようと思います。それでは。