第1~4シードまで全員が勝ち上がったブリズベンは250大会とは思えない充実したベスト4となりました。第1シードフェデラーに挑む次世代トリオの錦織、ラオニッチ、ディミトロフという最高の構図です。まずフェデラーに挑んだのはディミトロフでしたが、この試合はやや期待外れな結果に。ウィナーの倍以上となる23の凡ミスを積み上げたディミトロフはフェデラーに4度のブレイクを許してわずか53分で敗退し、通算1000勝をかけて決勝に臨むフェデラーを止める役割は錦織との死闘を制したラオニッチに託されました。  だが立ち上がりラオニッチは1stサーブを続けてフェデラーに返されあっという間にブレイクを許してしまいます。フェデラーはラオニッチを上回る8本のエースを積み上げあっという間に第1セットを先取すると第2セットもすぐさまブレイクを奪いました。これはフェデラー快勝か?  しかしラオニッチの本領発揮はここからでした。フェデラーの1stサーブが決まらなくなった隙を逃さずストロークで攻め込んでブレイクバックに成功すると試合は一気にタイブレークへ。タイブレークではまずフェデラーが最初のポイントをミニブレイクしてリードしましたが、そこからラオニッチが見事な巻き返しで7ポイント連取!まずネットプレーを決めて追いつき、そして見事なストロークを連発して一気に逆転。フォアハンドの強打が次々と突き刺さりフェデラーを打ち破りました。1セットオールです。  第3セットは文字通りの死闘となりました。強打で押し切りたいラオニッチとなんとか食い止めたいフェデラーの間で1ゲーム毎に激しい戦いが繰り広げられます。ラオニッチのフォアハンドは依然好調で、フェデラーがそれに押し込まれて甘いストロークになった瞬間を見逃しません。だが後一歩が遠い、5度のBPからフェデラーを紙一重の差で救ったのはピンチでことごとく決まった1stサーブでした。  逆にラオニッチのサービスゲームではフェデラーも逆襲、普段ならスライスで返すバックハンドのリターンで強打し、パッシングショットも決め、計4度のBPを握ります。だがラオニッチも220キロ台のサーブを連発して凌ぎました。228キロ出されては流石のフェデラーも返球できません。お互いがギリギリのところで凌いでは次のゲームで逆襲する、非常にスリリングな試合でした。  試合は第10ゲームのラオニッチサーブへ。ラオニッチは30-15としましたが、ここでフェデラーの絶妙なトップスピンロブが決まりました。一気にラオニッチにプレッシャーがかかります。30-30から痛恨のダブルフォルト!フェデラーのチャンピオンシップ・ポイントです。ここでラオニッチのセカンドサーブはフェデラー攻略の定石通りにバックハンドへ、だがフェデラーはこれを狙いすまして打ち返し、その後のラリーに打ち勝って勝利を収めました。 It's #Roger1000 after @rogerfederer d @milosraonic 64 67 64 in the @BrisbaneTennis final http://t.co/b7SxAIlJPL #ATP pic.twitter.com/b7aBtSt7ct— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2015, 1月 11  フェデラー史上3人目の通算1000勝。エマーソンやロッド・レーバーといった過去の大選手が見守る中で達成された快挙でした。900勝を達成したのは2013年の全仏。そこからの100勝は決して楽な道ではなかったでしょう、自分も正直当時は限界説を支持する側でした。だが現在はこうして33歳として4つ目のタイトルを手中にしているのです、驚きです。この先どこまでその数字を積み上げるのでしょうか? THE 1000 CLUB: Jimmy Connors 1253-278 Ivan Lendl 1071-239 ROGER FEDERER 1000-227 pic.twitter.com/BV04gXB4Du— Tennis (@tennis_photos) 2015, 1月 11  通算1000勝の快挙の影に隠れてしまいますが、ラオニッチの奮戦は素晴らしかったです。錦織戦の時にも言えたことですが、とにかくフォアハンドの強打がこれだけ洗練されてきてるとは!回りこみを実現させるフットワークの改善も顕著で、ストローク戦でも着実に力をつけつつあります。また果敢なネットダッシュもフェデラーを苦しめました。だが、もう少しだけ、ファーストサーブの確率が欲しかった…昨年のスタッツ特集でも触れたのですが、ラオニッチはビッグサーバーにしては1stサーブの確率が低いのが欠点で、これは要改善。だがこれだけのストロークが打てれば錦織始め他の上位陣にとっても脅威となるでしょう。おそらく第8シードとして臨む全豪での躍進に期待です。