ATP公式の年末特集は第7弾が発表されました。「2014 BEST UNDER PRESSURE」。タイブレークや1セットダウンなどの追い込まれた状況下でどれだけ力を発揮できたかを特集する記事となっています。本文はこちら。 ★早速見て行きましょう。まずはタイブレーク勝率(規定:10回)。  ビッグサーバーのラオニッチが貫禄の1位を記録!1107本のエースを記録したラオニッチの前にタイブレーク勝てる選手はほとんどいません。同じビッグサーバーのイズナーもいつもどおりの成績を残して5位に入りました。  一方通算成績を見てみると上位にはビッグ4と上記の二人しか入りません。今年度上位のモンフィスやフォニーニは通算でも5割8分台と中々の成績を見せていますがガスケの通算は.525。今年のタイブレーク成績は出来過ぎでしょうか?一方でタイブレーク不振だったのはフェデラー(.643)を除くBIG4の面々。ジョコビッチ(.565),マレー(.520),ナダル(.500)らは今までの通算成績から考えるともう少し勝ちたかったところ。  そんな中でビッグサーバーでもBIG4でもない錦織が今年でも現役通算でも7位に入っています。ラオニッチとのタイブレーク戦績は4勝2敗。中でもマドリッドでは2セット連続のタイブレークを制してラオニッチのお株を奪うような勝利を記録しています。来年以降も錦織のタイブレークには期待してよいのではないでしょうか。 ★続いての指標は第1セット奪取後勝率(規定:10試合)  この指標が何を表しているのか一見わかりませんが、要するに第1セットを奪ってそのまま逃げ切ったか、逆転されたかということになるのでしょう。ジョコビッチの計57回は凄いですね。ジョコビッチは今年69試合戦ったので実に8割の試合で第1セットを奪ったことになります。  一方これを見ると気になるのが逆転負けの内訳。ゴファン唯一の敗戦は全米ディミトロフ戦。ジョコビッチの逆転負け3回は全豪バブリンカ戦、ドバイのフェデラー戦、全仏のナダル戦。5位以下の選手にとってジョコビッチ相手に第1セットを奪われるということはすなわち敗戦を意味したのです。錦織の場合はどうでしょう。錦織の逆転負け内訳はウィンブルドンのラオニッチ戦、マドリッドのナダル戦、ブリズベンのヒューイット戦。特にラオニッチ戦とナダル戦は非常に悔しい敗戦でした。 ★1セット奪取後とくれば次は1セットダウン後勝率(規定:10試合)  BIG4の面々が勢揃い。特に上位3人は1セットダウンしてもなお勝率6割を誇ります。ここにBIG4の強さの一面が現れていると言うべきかもしれません。そしてこの中に錦織がしっかりランクインしたのも流石です。来年はぜひ5割超えを目指してほしい!  BIG3の逆転勝ちの多さはキャリア通算を見てもらうとより一層わかると思います。ナダルの4位を筆頭に4強全員がトップ10に入っているのです。 ★どれだけ強敵に勝ったかの目安にはこちらVSトップ10戦績(規定:5試合)  5割以上なのは6位のグルビス(5勝5敗)までのわずか6人。世界ランクトップ10の中でもマレー(5勝11敗)、ラオニッチ(3勝10敗)、フェレール(2勝10敗)など低い選手は多くいます。その中で錦織の11勝7敗はとても素晴らしい数字ではないでしょうか?トップ10を相手にしてなお6割以上の勝率を記録したのです。  2位フェデラーの復活の象徴がこの対トップ10戦績かもしれません。昨年は4勝10敗と不振を極めました、特に対BIG4はナダルへの4連敗など0勝7敗と全く通用しなかったのです。それが今年は一転して17勝5敗と劇的復活、BIG4に対しても6勝3敗と見事な戦績を収めました。 ★最後に錦織ファンの皆さんお待ちかね!最終セット勝率(規定:10試合)  惜しかった…錦織はジョコビッチとわずかの差でこのランキング1位を逃してしまいました。ツアーファイナルズ準決勝は第3セットを制したほうがこのランキング1位になる「最終セット王者決定戦」だったわけです。あの第3セットの戦いぶりには錦織とジョコビッチの現在の実力差が表れていました。あの悔しさをバネにジョコビッチ、フェデラー、ナダルを越えていけるか、錦織の2015年に期待しようではありませんか。  通算では錦織が堂々の1位。ジョコビッチとナダルを抑えての1位は文句なしで素晴らしい。ましてや衰えきる前にあっさり引退したボルグより勝率系の指標で上位に来る選手が出てくるとは信じられないことです。