ATP公式サイト年末特集第2段は、「2014年ベストマッチ」。グランドスラムとATPツアーそれぞれに対して1位から5位まで名勝負を選出するというものです。まず最初にグランドスラムのベストマッチが選出されました(5~3位、2~1位)。当サイトでも取り上げることにします。先の記事と同様にブログでレビューを書いた試合に関してはリンクをつけておきますので参考にしていただければと思います。 5位:全仏3回戦 マレーVSコールシュライバー スコア(3-6, 6-3, 6-3, 4-6, 12-10)  マレーはクレーコートが苦手な選手です。コートにあまり左右されない他の3強と異なるマレー最大の弱点がここで、マレーが全盛期でも世界1位に全く手が届かなかった原因の一つでもあります。毎年クレーの出場は最低限に抑えており、今年も全仏以外は2つのMSのみ。マドリッドでは3回戦敗退、ローマは準々決勝でナダルに敗退でした。  迎えた全仏、昨年は不出場、2012年はベスト8でした。調子の上がらない今のマレーが果たしてどこまで勝ち進めるのか?1回戦2回戦は危なげなく勝ち上がりました。しかし3回戦の相手は当時世界ランク25位のコールシュライバー。フォアハンドと片手バックから繰り出す矢のようなショットを武器に積極的に攻撃を繰り出し、守りを固めるマレーと一進一退の攻防となり、試合は最終セットへ。このセットだけで2度づつブレイクを奪い合いあった両者の死闘は7-7となり日没サスペンデッド、翌日に持ち越しとなりました。  翌日すぐにマレーがMPを握ります。ついに試合終了か?しかしコールシュライバーも耐えてブレイクを許しません。死闘の終わりは第22ゲームでした。マレーが15-40と大チャンスを作ると最後はリターンエースを叩き込んでようやく試合終了。4時間7分の激闘でした。  これで勢いに乗ったマレーはベルダスコ、モンフィスといった難敵を撃破して準決勝まで勝ち上がり最高の結果を残しました。3回戦で負けていればわずか90Pだったのが720Pで大会を終えたのです。この勝利がなければ、マレーの後半戦怒涛の追い上げもなかったでしょう。 4位:全米準々決勝 フェデラーVSモンフィス スコア(4-6, 3-6, 6-4, 7-5, 6-2)  この二人はグランドスラムでは過去全仏で3度の対戦(準々決勝2回、準決勝1回)があったのですが、3度の試合は全てフェデラーが危なげなく勝利。モンフィスの夢はフェデラーに阻まれ続けてきたと言っても過言ではなかったのです。  この全米ではガスケやディミトロフといった強敵をストレートで下す快進撃で準々決勝進出、だがそこにまたしてもフェデラーが立ちはだかりました。今度こそ負けられないモンフィスはフェデラーの弱点を的確について攻め立てあっさり2セットを奪います。だが33歳の元王者はここから死に物狂いで反撃を繰り出してきました、どんどんネットに詰めてモンフィスに圧力をかけ1セット取り返します。  試合を決めたのは第4セットでした。最初はフェデラーが攻めましたがモンフィスが要所要所で1stサーブを叩き込んで粘ります。するとフェデラーが一瞬崩れて15-40とモンフィスに2つのMPが来たのです!しかしモンフィスに勝ちが訪れることはありませんでした。フェデラーはフォアハンドを炸裂させてこのピンチを凌ぐと、大チャンスを逃したモンフィスが連続DFでブレイクを許してしまいこのセットがフェデラーへ。最後はモンフィスが力尽き、フェデラーが通算9度目となる全米ベスト4を決めました(レビュー)。フェデラーの勝利への執念を見た試合でした。 3位:全米準々決勝 錦織VSバブリンカ スコア(3-6, 7-5, 7-6(7), 6-7(5), 6-4)  3位に錦織がランクイン!あの全米バブリンカ戦が選ばれたのです。しかし今思い出しても凄い試合でした。特に第3セットの両者のプレーは一瞬たりとも目が離せない素晴らしいものでした。それを見事制した錦織、一方第4セット以降のバブリンカの盛り返しも見事で、錦織は押され気味の試合でした。耐えて、耐えて、最後に来たチャンスをものにしたのです(レビュー)。  今思い返してもラオニッチ、バブリンカ、ジョコビッチと激闘を戦い見事撃破したあの1週間は夢のようにしか思えません。特に大会開始前、怪我からぶっつけ本番だった錦織はラオニッチまで行ければそれでオッケー、最悪初戦だけでもとか言われてたことを思い出すと尚更あの偉業が信じられないものに思えてきます。しかしその後2大会を制し最終戦でも堂々のベスト4に入った錦織にとって、もう全米準優勝は奇跡でもなんでもありません。来年からは世界5位として、どの大会でも優勝を期待されることになるでしょう。再びグランドスラムの決勝に進出できる日もそう遠くないに違いないでしょう。 HIGHLIGHTS: Was this 5-set epic between Nishikori-Wawrinka your match of the #USOpen so far? http://t.co/sIhZkDSsLE pic.twitter.com/CRZ76nVbrP— Sky Sports Tennis (@SkySportsTennis) 2014, 9月 8  2位以降はこちらの記事に続きます。