いよいよ今シーズン最後のビッグイベント、国別対抗戦(団体戦)、デビスカップの決勝が始まります。対決するのはフランスVSスイス。2001年以来13年ぶりの優勝を狙うフランスと悲願の初優勝を狙うスイスの激突です。まずはお互いのデビスカップの歴史をちょっと覗いてみましょう。 【フランス】(過去優勝9回、最後の決勝進出2010年)  ツォンガ、モンフィス、ガスケ、シモンのいわゆる「四銃士」を揃え彼ら4人をベネトーやロドラといったベテラン陣が支える分厚い選手層で毎年のように優勝候補の一角として挙げられるフランス。しかし毎回あと一歩及ばず敗退の連続。昨年一昨年は2-3の接戦で涙をのみ、2011年準決勝はナダル、2010年決勝はジョコビッチというBIG3の壁にも阻まれました。今年は3連覇を目指すチェコを全仏の舞台、ローランギャロスに向かえ撃ちこれを見事撃破。4年ぶりの決勝に駒を進めました。  4年前の決勝セルビア戦ではエースのツォンガを欠いたことが響き最終戦でトロウィッキを崩せず2-2で迎えた最終戦を落としてしまったフランス。今回はツォンガもきっちりメンバー入りを果たしています。楽天OPで負傷し一時離脱、この決勝に向けて状態が心配されましたが地元パリMSでは復帰し錦織と激戦を繰り広げました。それから3週間、準備は万端でしょう。  ツォンガに次ぐシングルス2番手には今回のメンバーの中からモンフィスが起用されました。モンフィスは初戦で負傷明けのフェデラーと対するという大切なミッションを背負っています。モンフィスの初日の出来がフランスの命運を握っていると言っても過言ではないでしょう。 【スイス】(最高成績:1992年準優勝)  大エースのロジャー・フェデラーを抱えながらこれまで優勝に縁のなかったスイス。フェデラーのデ杯についてはこの記事で既にふれているので多くは触れませんが、とにかくめぐり合わせが悪かったことは確かです。近年はプレーオフと1回戦を往復することが多い、ワールドグループ(以下WGと略)の窓際族でした。WGから降格してしまったことも2度あります。  最後にスイスがWG1回戦を突破したのが2004年といえばどれだけスイスが表舞台から遠ざかっていたかわかるのではないでしょうか。2003年2004年と孤軍奮闘するも2番手以降に恵まれなかったスイスとフェデラーは無念の敗退に終わったのです。  今年10年ぶりに初戦を突破したスイスは2枚看板を擁して順調に勝ち上がり、準決勝も危なげなく突破しました。悲願の優勝は目の前です。しかし決勝を控えたスイスはツアー最終戦でやらかしてしまいました。内紛は起きるわフェデラーは負傷するわと危機的状況です。この危機に対し再びチーム一丸となって乗り越えることができるのか、運命は負傷を抱えるフェデラーの状態にかかっています。  それでは対戦カードを見ていきましょう。初日はシングルス2試合が行われます。 【ラバー1(第1試合)】ツォンガVSバブリンカ  スイス対策としてリールに特設インドアクレーを用意したフランス。クレーはフェデラーにとって確かに苦手なコートですがこのバブリンカにとってはむしろ得意なコートとすら言えます。過去の対戦成績はツォンガの3勝2敗ですが同い年の二人とは思えないほど対戦が少なく、今年は一度も対戦がありません。直近の対戦である昨年のマドリッド(クレー)ではフルセットの末にバブリンカが勝利を収めています。  どちらも持ち味は強打、であるからには強打の打ち合いとなることが予想されますが、同時にミスも多いこの二人はどれだけミスを減らせるかがカギとなりそうです。いい場面では得意のフォアハンドを叩き込みつつも、我慢するべきところは粘り強くラリーできるかに勝利の行方がかかっています。ホーム・フランスの大歓声が二人にどう影響を与えるかも注目です。 【ラバー2(第2試合)】モンフィスVSフェデラー  全米準々決勝で死闘を演じた二人が最後の最後で再び激突することになりました。対戦成績自体はフェデラーの8勝2敗で、クレーでも難なくモンフィスを撃退しているのですが、それを背中を痛めて状態が危ぶまれる今のフェデラーに当てはめることはできません。  フェデラーの練習再開は二日前。昨日の練習は無難にこなし状態は悪くなさそうな旨を前日会見でも語ったフェデラー。しかし本番、しかも5セットマッチとあってはどのタイミングで再び悪化してもおかしくないでしょう。フェデラーとしては試合を早く、モンフィスとしては試合を引き延ばしたいところ。モンフィス得意の守備的ラリーを前に手負いのフェデラーがどう攻めていくか、決勝戦の行方を左右する注目の一戦となります。