錦織がフェレールを下した時点では、まだ錦織の勝ちあがりは決定していませんでした。フェデラーがマレーに対して1セット取った時点で錦織の勝ちあがりが決まる状態で始まったのが「BIG4」同士の一戦、フェデラー対マレーの試合だったのです。両者はここまで11勝11敗の関係。フェデラーが今年2勝して追いつくまで常にマレーが優位な関係を保ってきたのですが…  RR突破のためにはストレートで勝つしかないマレーは立ち上がりのフェデラーサーブでいきなり0-30とチャンスを作ります。だがマレーの見せ場はここで終わってしまいました。35本続いたロングラリーでマレーは徹底的にフェデラーのバックハンドを攻めましたがフェデラーに全て跳ね返されてしまったのです。  結局最初のゲームをフェデラーがキープするとここからマレーにとって地獄のような1時間が始まりました。マレーのストロークはことごとくミスとなり、逆にフェデラーは軽快なライジングでマレーのストロークををいなしながら、同時に素早い攻めを繰り出しポイントを奪い完全に試合の主導権を握りました。ネットプレーも18/23という素晴らしい確率で決まっていきます。マレーが緩いラリーでミス待ちをするとフォアハンドの回りこみが炸裂します。フェデラーは14連続ポイントでマレーを圧倒し5-0とリードを奪い、さらに最後のゲームでもマレーからブレイクを奪って6-0で第1セットを先取。第1セットのフェデラーのUE(凡ミス)はわずか3本でした。 Bit of a disastrous start for #Murray. #Federer breaks at the first opportunity. 2-0. #tennis pic.twitter.com/qjKL3nSiW2— TennisTV (@TennisTV) 2014, 11月 13  第2セットに入るとフェデラーもやや失速、第2セットのファーストサーブ確率27%というものすごい不調に苦しみます。しかしそれでもマレーがブレイクポイントを迎えることが一度もなく、逆にどんどんフェデラーにポイントが加わっていきます。マレーのストロークが全く精細を欠くようになってしまったのです、これではフェデラーに対抗できるはずもありません。マレーは第2セット最初のサービスゲームでもフェデラーにセカンドサーブを思い切り叩かれてブレイクされ0-2。マレーのプレーはもう痛々しいレベルにまで落ちてしまいました、正直見ているのが辛かったです。  フェデラーの9連続ゲーム奪取でマレー2度目のサービスゲーム。マレーはなんとか40-30、そしてデュースでアドバンテージとチャンスを作りますがあと1本が取れません。チャンスを逃したマレーはまたしてもサービスゲームを破られてしまいました。フェデラーが続くゲームをあっさりキープして5-0…あと1つでダブルベーグル…  第6ゲームもフェデラーがあっさり2ポイント連取して0-30、そしてネットに詰めてフォアハンドボレー、トドメを刺したかに見えましたがなんとこれがアウト。続くポイントではセカンドサーブを強打しようと待ち構えたフェデラーの逆をついたサーブが決まってエース。さらに2ポイント連取したマレーは12ゲーム目にして初めてゲームを奪ったのです。しかし反撃はここまで。フェデラーが6-0、6-1でマレーを圧倒して準決勝進出を決めました。  今シーズン最後の試合で惨敗に終わってしまったマレー。記者会見でも非常に落ち込んだ姿を見せていました。無理もないでしょう。 Sorry about tonight, roger was incredible and I had no answers, support this week has been so good and wish I could have done better— Andy Murray (@andy_murray) 2014, 11月 14 I will work as hard as I can through the off season and get back to my best level for the beginning of the new year...sorry— Andy Murray (@andy_murray) 2014, 11月 14  必ず来シーズン以降、強かったマレーが戻ってくると信じて。まず今年後半戦の見事な活躍で最終戦へのカムバックは果たしました。さらにもう一段階、かつてフェデラー・ナダル・ジョコビッチと互角に渡り合った唯一の選手として活躍したアンディ・マレーへ、カムバックするための挑戦を見守ることにしましょう。