スコアは7-6(7)、6-4でした。 なかなか見ごたえのある戦いで、良い試合だったと個人的には思います。 終始一貫して変えることのない表情に、いく分硬さの見られた杉田選手。 第一シードとしての責任感からか、気持ち的に受けに回ってしまっていたのでしょうか? ラリーのコース取りが単調な部分に、プレー内容に「手堅さ」というものが強く感じられました。 それでもしっかりラリーを支配している場面も多かったのですが、「オープンを作ってあと一打」というところで惜しいサイドアウトやバックアウト、ネットに掛けるなど、肝心な場面で痛い攻めミスを繰り返していました。 一方の江原選手。 ありとあらゆるショットを用い、チェンジオブペースがしっかり使われて、杉田選手に対しより難しい対応を強いていました。 全体的に実によく杉田選手の猛攻をしのいでいたと思います。 ある時はスライスでいなし、またある時は強いカウンターを放ち、合いにはループスピンで時間を稼ぐなど、杉田選手の攻めミスをうまく引き出していたとも言えるでしょうか。 また、ネットに出るタイミングが実に良く、出球もこれまた絶妙で、おまけにパスのコースの読みもボレーのタッチも素晴らしかった。 やはり、この試合に限って言えば、試合中の自由な発想力と決断力という点で、杉田選手よりもはるかに優っていたように思いました。 そのへんは、第一シードの硬さ(堅さ)と、失うものがない者の捨て身で向かっていける強味という違いなのかな、と試合中に何度も感じさせられました。 現在、世界ランク500位台の江原選手には、サーブの威力を除けば世界に出て行ってもけっこうやれるんじゃないかと思わせる強さを見た気がします。110位台の杉田選手に勝ったのだから、当たり前ではありますが。 さすがに世界の100位以内に入るためには、サーブの強化は避けられないとは思いました。 それでも、各セットの終盤に見せた集中力と溢れる闘志、初のビッグタイトルがかかった局面でもブレずにプレーし切った精神力といい、キラリと光るものを感じました。 世界を見据える人間の、「ここ(日本)で負けてられっかよ!」みたいなものですね。 しかし、自分自身もそうでしたが、有明の会場に詰めかけたテニスファンの目も、かなり肥えてしまったんでしょうかね?比較的静かな雰囲気でした。 錦織選手の試合を見た後では、仕方ないことではありますが。(そういえば観衆の数も、かなり違ってはいました。)