時間が経つのは早いものです。楽天と北京はあっという間に準々決勝まで来ました。ここまで大荒れの楽天と盤石の北京とドロー表は対照的な状況になってはいますがフェレールを除く最終戦争いのメンバーが勝ち残っている点は同じです。500大会ともなれば準々決勝に楽な相手はいません。果たして彼らは勝ち残ることができるのか。 【楽天】錦織×シャルディ、ラオニッチ×イストミン、シモン×ジョンソン、ベッカー×ソック  錦織対シャルディは錦織が1勝2敗と負け越している関係。しかし2敗はいずれもクレーであり、お互いの力関係から言えばおそらく錦織有利と見ていいでしょう。しかしここ2週間でシングルス7戦目の錦織には当然疲れもあるはずです。ダブルスを棄権せざるを得なかった状況からしても、それほど余裕のある状況ではないと思われます。  決勝までの残り3試合、そして来週の上海も考えればできればストレートで決着をつけたいところです。2回戦までの錦織を見ると好調なサーブを軸に安定した試合運びを披露していましたが、一方で中々攻撃的なショットを決めることができず、フラストレーションをためる場面が多く見られました。もう少し調子が上がって、ウィナー級のストロークでポイントさくっと取れる展開が増えるとよいのですが。  一方最終戦を争うラオニッチはイストミンと戦います。本来ならここでツォンガが上がってくるはずだったのですがツォンガは初戦で負傷し、最後はフルセット、タイブレーク9-11の激戦の末敗退しています。ラオニッチはこのチャンスを逃さずにしっかり勝ち上がりたいところではないでしょうか。ラオニッチはこの試合に勝利するとレースランキングでフェレールを上回ります。  残る2カードの中で唯一のトップ10経験者がシモンになります。相手を泥試合に持ち込むことには定評のあるシモン。1回戦では5回のマッチポイントをしのぎセットを取り返すと第6シードのアグートが力尽きて棄権、2回戦でも先に1セット取られてからの逆転勝ちで準々決勝に進出してきました。シモンが上がってくるとラオニッチにとっては厄介になります。過去2勝0敗ながら2戦ともフルセット勝負に持ち込まれおり今年の全仏では3時間以上の死闘。シモンの勝ち上がりが大会の鍵を握っているのかもしれません。 【北京】ジョコビッチ×ディミトロフ、チリッチ×マレー、ベルディヒ×イズナー、ナダル×クリザン  復帰戦で勝ち進むナダル以外の3カードはいずれも好カードとなりました。最終戦争いの3人にとっては絶対に越えなければいけない相手です。しかしその中でもベルディヒは比較的楽でしょう。この大会でダブルスペアを組んだイズナーとの対戦ですが、ベルディヒはイズナーのビッグサーブを苦にしておらず、過去5勝2敗(3連勝中)と相性のよい相手です。5年連続最終戦出場のためにこの試合は絶対落とせません。  ディミトロフがジョコビッチに挑む注目の一戦は第1試合に行われます。ジョコビッチが3-1で勝利した全英準決勝以来の対戦です。最終戦出場レースでは一番後ろに後退してしまったディミトロフはどこかで大きなポイントがほしいところ。北京21戦無敗のジョコビッチに土をつけることはできるでしょうか?  全米優勝後のチリッチが戦う初めての強敵はマレーとなりました。先週15か月ぶりの優勝を飾ったマレーはこの大会でもしっかり2勝を挙げてポイントを追加しています。ここでさらに1勝を加えて準決勝に進出すればマレーもフェレールを上回る状況です。今年のロッテルダムで敗れるまでチリッチには6連勝中だったマレーですが、今の別人となったチリッチに対して再び勝利を挙げることができるのか、両者の今後を占ううえでも注目の一戦となります。