まずは錦織の決勝進出を祝いましょう!錦織はニエミネンにフルセットの末6-3,4-6,6-2で勝利を収めて決勝進出。この大会で150P以上を獲得することが確定し、レースランキングのポイントをまず70P増やすことになりました。決勝に勝てばさらに100P上積みとなります。  決勝の対戦相手は第2シードグルビスを6-4,6-4のストレートで破った第4シードのベネトー。このベネトーという選手は大変稀な記録の持ち主です。まずキャリアハイ26位と中々実績のある選手ながら32歳にしてシングルスタイトルがありません。しかしテニス界にはタイトルのないまま引退する選手も沢山います。問題なのは、ベネトーは決勝進出だけなら今回が10回目という事実です。今まで9回の決勝で全て敗れていることになります。そして最新の決勝進出はなんと去年のこの大会、マレーシアオープンでした。昨年はソウザに対して第1セットを奪いながら逆転負けするという悔やんでも悔やみきれない敗戦でした。今回は相当な覚悟で向かってくるでしょう。それを錦織が跳ね返すことができるか、注目の決勝になります。過去の対戦成績は錦織の2勝1敗。しかもこの1敗というのが錦織がまだ17歳のときの話だということを考えれば実力、相性ともに錦織有利な予想となりますが…  一方、深圳大会ではフェレールがまさかの初戦敗退を喫したもののマレーは順調に決勝まで勝ち上がりました。決勝の相手は直近3連勝中のロブレド。マレーが優勝すればなんとあのウィンブルドン以来のツアー優勝となります。  さあ今週を簡単に振り返ったところで来週のATPツアーを見てみましょう。いよいよ日本で楽天オープンが行われ、そしてもうひとつ北京でも大会が開催されます。フェデラーを除く全てのトップ10選手がどちらかの大会に勢揃いし、1週間の熾烈な戦いに臨みます。    東京・有明で行われる楽天オープンのドローはこちら。トップハーフには第1シードバブリンカと第4シード錦織が入りました。錦織の対抗シードは世界ランク19位のアンダーソンです。ちなみにトップ20同士ながらこの二人はまだ対戦経験がありません(追記:2010年のワシントン予選では一度対戦して錦織が勝っているようです)。そしてトップハーフには伊藤と添田もそれぞれWCで入っています。錦織の初戦はドティグ、伊藤は初戦でいきなりバブリンカ、添田は本戦出場者の中では下位選手にあたるヤングとの対戦となりました。下位選手と書きましたが今年復調しているヤングは錦織と同年代の世界ランク50位です。このように誰一人として楽な選手がいないのが500大会の特徴でもあります。  トップハーフでまず注目したいのはアンダーソンと初戦で激突する世界ランク41位のティエムでしょうか。全米ではグルビスやF・ロペスを破って16強まで進出した21歳の若武者です。これから何年も活躍するだろう選手の有明初参戦、非常に楽しみです。バブリンカのブロックに入った第8シードのドルゴポロフの勝ち上がりも気になりますね。今年は好調なシーズンを送っていたものの7月のハンブルクを最後にツアーから離脱しており、この楽天オープンが復帰戦となっています。  続いてボトムハーフを見てみましょう。こちらには第2シードフェレール、第3シードラオニッチが入りました。どのブロックに入るかが注目されていた第5シードのツォンガはラオニッチの山に入りました。そしてこのツォンガのブロックにはダニエル太朗がWCを貰って参戦し、1回戦では世界ランク59位のイストミンと対戦します。イストミンはアジア大会に参戦していましたが、ATPからの警告により個人戦参戦を回避し、予定通り楽天オープンに参戦してた選手です。  ボトムハーフの1回戦ではいきなり第6シードのアグートがシモンと激突します。おそらくこのカードが1回戦最大の好カードとなるのではないでしょうか。対戦成績はシモンの2勝1敗です。  最終戦争いのメンバーはほぼ確定しているバブリンカを除くと、錦織、フェレール、ラオニッチがこちらを選んで参戦してきています。今週ポイントの入らなかったフェレールは気合入れて楽天取りにくるでしょう。タフなドローとなったラオニッチはツォンガ、フェレールという壁を越えて決勝まで来れるでしょうか。そして錦織は地元凱旋でどんな姿を見せてくれるでしょうか。錦織の大活躍のお陰でかつてない大きな期待の中で迎える楽天オープンです、果たして今年はどんな大会になるでしょう?  優勝候補は断然錦織!と言いたいところですが全米後イベント続きからのマレーシア決勝進出、疲れがないと言えば嘘になる状況でしょう。しっかり勝ち上がれるかは不透明です。また先週初戦敗退に終わったフェレールの状態も気になります。ラオニッチは同格以上の相手に対する戦績に難があり、他のシード陣に対して勝利を収められるかが鍵となるでしょう。  上位陣の不安要素を考えると、先々週のメス大会を回避し怪我の治療と休養に充てたバブリンカが第1シードの貫禄を見せてくれるのではないでしょうか?バブリンカはなんと25日朝から東京入りしており、万全の体制で楽天オープンに臨みます。