試合が終わって丸一日近く経って、まだなんとなく言葉を見つけられないでいる。テニス全米オープン男子シングルス決勝、錦織圭対マリン・チリッチ。  残念だ、としか言いようがない。負けたことではなく、グランドスラムの男子シングルス決勝が近年希に見る凡戦だったこと、よりにもよってそれが同胞の試合だったことが。  見事な勝ち上がりっぷりで決勝まで進んだことはほんとうに素晴らしかった。でもこれを以てよしとするのは、優れた才能に対してむしろ失礼な話だと思う。だから、乾杯はしない。ああ悔しい。いまはそれしか言えない。