以前も述べたがマスターズ1000で何度優勝しようがグランドスラムで結果を残せていない選手をグランドスラム優勝候補に祭り上げることには慎重になラなければならない! USオープンテニスの2回戦で世界6位、第4シードのアレクサンダー(サーシャ) ズヴェレフがライヴァルの同世代ボルナ チョリッチにセットカウント1-3で敗れ去った。 チョリッチの才能を考えれば決して驚きの結果ではない。ただ、多くのテニスメディアがズヴェレフを優勝候補として注目していたのでそれらの人々は落胆したかもしれない。 確かにズヴェレフは数年前から将来のNo.1選手として注目され、事実No.1にいつかは辿り着くことになる可能性は低くない。197cmの長身から確率の高い1stサーヴをコーナーに叩きつけるので対戦相手にとっては相当な圧力である。更に欠点がほぼない万能系なのでメンタルさえビッグ4のレヴェルに到達すればGS優勝も世界No.1も見えてくるだろう。 ただし、今の時点でそこまで大騒ぎして次世代のスーパースターがグランドスラムで初優勝するぞ!的な扱いはどうだろうかと常々感じていた。 確かにマスターズ1000を2度制した。しかし、今年のATPは上位選手が軒並み故障で苦しみ数名が欠場するパターンが続いており、この2度の優勝は立派であるものの本当に世界でNo.1クラスの力量があることに直結はしないと思っている。 GS以外の大会で優勝候補として扱うことは正しいと思う。それらの大会に関しては精神的にも技術的にも優勝する術も身につけていると感じる。ただし、GSは全くの別物である。GSは5セットマッチである。優勝まで戦う為には心身ともに相当なタフさが求められる。まだ20歳の若い選手にとっては勝ち抜くことは容易ではない。 AズヴェレフのこれまでのGSでの成績はとても優勝候補にふさわしいものとは言えない。今回が10回目の出場。最高が今年のウィンブルドン4回戦。他は3回戦が2度、2回戦が3度、1回戦敗退が3度である。 錦織圭はワシントンSFでズヴェレフと対戦し完敗。対戦前からコンディションの差がハッキリしており当然の結果であった。しかし、今年のサーシャの圧巻の結果とこの試合の両者を見てサーシャが錦織より素晴らしい選手であると勘違いしていないか? 錦織はGS準優勝、準決勝にも進んでおりQFは常連といえる選手。GSで4回戦に1度進出した選手とは大舞台での実績という面では大きな差がある。 5セットマッチでプレッシャーもマスターズ1000とは比較にならない程重いグランドスラム。ここで結果を残して初めてAズヴェレフがGS優勝候補として語られるべきだと考える。専門家達もプロであるならそうであってもらいたい。 日比野奈緒がついにGS初勝利!これは本当に嬉しい。これまで1回戦でシード選手とばかり戦って惜しくも負け続けてきた。シード以外の対戦相手もランキングが上の選手だったし、今回のべリスもアメリカ期待の18歳でランキングは30位台。それでもこれまでの敗戦を無駄にすることなくしっかりと勝ち切った。 尾崎里紗も予選上がりのラオ相手に第2セットのタイブレイクを落としながら第3セットのタイブレイクを7-5で制しギリギリの勝利!逞しいメンタルを見せてくれた。尾崎もGS初勝利であった。GSでの勝利はテニス選手にとっての勲章。今後更に勝利数を上積みする姿が楽しみだ。奈良くるみも初戦を突破。最大の注目は上位進出を狙う大坂なおみだが、他の日本人選手達も好調。 杉田祐一の2回戦の対戦相手が第26シードのガスケを下したメイヤーに決まった。メイヤーとは2011年に予選ラウンドで1度対戦しセットカウント1-2で敗れているが、当時と今の杉田では別人。ランキング50位台のメイヤーを倒せば自身初となる30位台に突入する。おそらく37位前後は確保。 USオープンの日本人選手の戦いぶりは大いに期待が持てる!また大きな番狂わせが起こるのかにも注目したい。