20150411_chang_k0
[sns]

小さなレジェンド、マイケル・チャン

20150411_chang_k3 身長180センチ以上は当たり前、190センチを超える選手も少なくないテニス界で、ひときわ小さな175センチの身体をもって、世界ランク2位にまで駆け上がったレジェンド、マイケル・チャン。 現在は錦織圭のコーチとして、日本でも有名ですね。 どんなボールにも食らいつく、粘り強いスタイルで世界と戦ったチャンは、これまでに数多くの名勝負を残しました。今回は、そんなチャンのキャリアの中でも特に伝説となっている、1989年の全仏オープンについてご紹介します。

伝説となった1989年の全仏オープン

当時、チャンは17歳。1年前にプロ入りしたばかりの新人でしたが、全仏オープンでは快進撃を演じて4回戦にまで勝ち進み、 世界ランク1位の、イワン・レンドルとの試合を迎えました。 20150411_lendl_k1 試合が始まると、コートを支配したのはやはり王者レンドル。圧倒的な強さを見せ、2セットを先取しましたが、 ここからチャンも反撃。 ひたすらボールに食らいついて、2セットを取り返し、なんと試合をイーブンにまで戻しました! しかし、17歳の肉体には限界が迫っていました。勝負の最終セットで、チャンの足は痙攣を起こしてしまいます。 20150411_chang_k1 満足に走ったり打つことができないチャン。一瞬、棄権も考えたそうですが、踏みとどまって、プレーし続けることを選びます。 あらゆる戦術を駆使して、レンドルを崩そうとするチャン。必死に食らいついて、ついに4-3とリードを奪います。 そして15-30となった場面で、その伝説のショットは生まれました。 レンドルの意表をついた、アンダーサーブを放ったのです! 20150411_chang_k2 予期していない攻撃に、中途半端な対応をしてしまったレンドル。チャンはすかさず、パッシングショットで仕留めました。 続くレンドルのサービスゲームで迎えたマッチポイントでも、チャンはレンドルのセカンドサーブに対して、サービスラインぎりぎりに立って、プレッシャーをかける戦法をとります。 28歳の世界王者を相手に、痙攣しながらも貪欲に勝ちをもぎ取ろうとしているこの男は、引退試合となったベテラン選手でも、レンドルと肩を並べるトップ選手でもなく、デビューしたての17歳の青年。 たとえ棄権していたとしても、世界中から健闘をたたえられたでしょう。本当に、その精神力は想像もつきません...。 プレッシャーを感じたのか、最後はレンドルがダブルフォルト。ついにチャンは、テニス史に残る大勝利を収めたのでした。 20150411_chang_k0 その後もトーナメントを勝ち進み、見事優勝を果たしたチャン。17歳3ヶ月という、男子シングルスの四大大会優勝最年少記録を打ち立てました。 この試合を振り返る映像がこちら。

Original:The New York Times

現在は、自身と同じくテニス界では小柄ながら、世界のトップ選手として戦う錦織のコーチを努めるチャン。 チャンの見てきた世界、考え方、そして精神力は、錦織にとって必ずや大きな財産となるはずです。 [sns]