今年もこの時期がやってきました。インディアンウェルズMSとこの後に続くマイアミMSはドロー数が96と非常に大きく開催期間も2週間近くに及びます。グランドスラムのドローは128ありますが、この128ドローの上位32シードを1回戦免除にしたものが96ドローの大会です。この大規模さから第5のグランドスラムとも言われる、テニス界の1年間の中でも大きなウェイトを占める1か月が始まります。 インディアンウェルズはアメリカ・カリフォルニア州(大陸の西側にあたります)の小さな町。周りは砂漠とゴルフ場しかありません。この砂漠というのがポイントで、昼夜の寒暖差や独特な風が選手たちを苦しめます。同じアメリカなのに、2週間後のマイアミとは何もかもが対照的です。  歴代優勝者を見るだけでBIG4の強さを思い知らされる大会の一つでもあります。04年以降の11年中10年でフェデラー、ナダル、ジョコビッチが優勝を独占。02,03年連覇したヒューイットを含めても4人しか現役の優勝者がいません。唯一2010年に優勝したのが現在ラオニッチのコーチを務めるリュビチッチ。このときはジョコビッチとナダルを破っての快挙でした。  ジョコビッチを破って決勝に進んだイズナー(2012年)や、ジョコビッチとマレーを連破したデルポトロ(2013年)など近年惜しいケースはあるのですが、二人目三人目のBIG4が立ちはだかり彼らの優勝を阻んでいます。12年フェデラー、13年ナダル、14年ジョコビッチ。綺麗に3強が優勝を分け合っているここ3年のIWです。  打倒BIG4が本格的に実現するのか注目の今年2015年。昨年グランドスラムでは2大会で彼らを打ち破ることができたものの、マスターズでは逆に9大会中7回を彼らにもっていかれました。中でも4大会優勝したジョコビッチの勢いは今年も全く衰えを見せていません。どう彼らと戦っていくのか、錦織を始めとする次世代組の実力が問われる2大会となるはずです。  とはいったものの今朝発表されたドローは次世代組に痛いドローとなってしまいました。ディミトロフとラオニッチが同じ山に入ってしまったのです。 【トップハーフ】 ジョコビッチvsアンダーソン フェレールvsチリッチ マレーvsグルビス 錦織vsF・ロペス 【ボトムハーフ】 ラオニッチvsディミトロフ ナダルvsシモン バブリンカvsベルディヒ フェデラーvsアグート  ジョコビッチの行く手を阻む選手は今回もいなそうに思えますが、12年準決勝で敗れ昨年もフルセットを戦ったイズナーがアンダーソンのブロックにいます。今年イズナーは不調ですがアメリカ勢唯一のトップ20選手として相応の覚悟で参戦してくるはずです。ジョコビッチといえども油断はできません。 またこのブロックではチリッチの復帰も注目です。チリッチにとっては昨年の最終戦以来となる公式戦となります。  問題はマレーと錦織のブロックで、ここを誰が上がってくるか本当に読めません。二人とも例年IWの成績が芳しくないからです。春のマレーは不安定というのはもう恒例行事のような感じですし、錦織はいつも2月に頑張った後ここで一休みしてからマイアミで再び頑張るというペース配分をしていることが多いです。マレーブロックの残りシード選手は、コールシュライバー、フォニーニ、グルビスといますが全員が現在不振で、マレーが敗退するようなことになると大荒れの予感がしてきます。  錦織の初戦はおそらくアカプルコでベスト4に入ったハリソンとのメンフィスに続く再戦になるでしょう。ハリソンは初戦でこの大会がシングルスの復帰戦となるマーディ・フィッシュと対戦します。元世界7位のフィッシュは13年ウィンストンセーラム以来1年半ぶり、待望のシングルス復帰となります。続く3回戦ではベルダスコかティエムとの対戦が予想されます。錦織はベルダスコに過去0勝2敗ですがうち1つは棄権負けで、それほど心配するようなことはなさそうです。順調に勝ち上がればその次の4回戦でF・ロペスとの対戦(過去3勝2敗)となります。  ジョコビッチを食い止められる可能性のある選手は現状フェデラーただ一人と言ってよいでしょう。ジョコビッチを上回る通算4度の優勝経験があり、昨年の決勝でもジョコビッチに対して最終セットタイブレークまで食らいついているのです。だがフェデラーのドローは茨の道となっています。3回戦に全豪で敗れたセッピ。デ杯最長試合を戦ったばかりのL・マイヤーが回避した4回戦は一息つけそうですが、何より厳しいのが準々決勝のバブリンカもしくはベルディヒとなります。昨年フェデラーVSバブリンカはフェデラーの2勝1敗ですが3戦いずれも接戦、そしてベルディヒは要所要所で何度もフェデラーを葬ってきたフェデラーキラーとして知られています。  順当ならフェデラーと準決勝で当たることになるナダルのブロックもなかなかの粒ぞろいで、ようやく復活優勝を遂げたばかりのナダルにはなかなか酷なドローとなっています。4回戦では現在好調のシモンと当たる可能性があり、そしてベスト8ではラオニッチvsディミトロフの勝者との対戦が濃厚です。果たして今のナダルはハードコートでも戦えるのか、このIWは一つの目安になるのではないでしょうか。 The @BNPPARIBASOPEN draws are out! Will we see a rematch of last year's final? Read preview: http://t.co/MfeNgtPz0F pic.twitter.com/dN7sINQ4h8— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2015, 3月 11 伊藤竜馬らが登場する1回戦は3/12から、錦織らシード勢の登場する2回戦は3/14から始まる予定です。初戦を楽しみに待ちましょう。