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松岡修造に学ぶ、子どもたちに自信を与える指導法

20150221_matsuoka_k1 photo:angelicalbite

現在、バラエティ番組やCMなどに引っ張りだこ、TVでは見ない日がない松岡修造。今となっては「ウィンブルドンでベスト8に入ったテニス選手」というより「タレント」、はたまた「芸人」というイメージが強いかもしれません。 しかし、松岡はテニス選手を引退したあと、定期的に国内のトップジュニアを集めたキャンプを開催。TBSの「炎の体育会TV」という番組の企画でも「松岡修造熱血テニス合宿」という企画を実施するなど、次世代のトップ選手の育成に力を入れています。 私は大学でスポーツを専攻して、ジュニア選手の育成について学び、今も現場で子どもにスポーツを教えています。 今回は、そんな私から見ても非常に参考になった、松岡修造の【子どもに自信を与える指導法】を3ステップでお伝えします。

1. できること、できないことを把握する

20150221_matsuoka_k2 photo:Don Voaklander

子どもたちを指導する上で最初に大切なのは、子どもたちが「何をどれくらいできるのか」を、指導者がしっかりと把握しておくことです。 前述の番組で松岡は、1球で特定のエリアにボールを入れるテストを用いて、まずこのステップを行いました。 このステップは、 1.子どもたちのレベルに合った指導をするため 2.子どもたちに「できるようになったね!」とフィードバックするため にとても重要なもの。 子どもたちにとって課された課題が、簡単すぎても、難しすぎても、適切な自信は培えません。また、できていたことを「できるようになったね!」と言われても、子どもたちは「元からできるよ」と白けてしまいます。

2. 飽きさせずに基礎練習を繰り返す

150112kids2-yusuke photo:chomster.fr

できないことが分かれば、そこに対して練習を積んでいくわけですが、子どもたちにとって、単調な練習を地道に繰り返すことはそう簡単ではありません。 そこで松岡は、ラケットをうちわ状にしたストローク練習や、太鼓を用いたボレーの練習など、非常にユニークなメニューを用いました。 もちろんTV向けに、興味を引きやすいメニューを考えてはいるのでしょうが、視聴者と同じく、子どもたちにとっても大切なのは飽きさせないこと。 決して機械的にならず、毎回楽しみながら取り組めるよう、練習のバリエーションや、アイデアの一捻りは非常に重要です。

3. 少し難しめのチャレンジをおこなう

20150221_matsuoka_k3 photo:Singapore Sports Council

基礎を積み重ねた後は、最後の仕上げ。 どんなに素晴らしい練習でも、ただこなすだけでは子どもたちは自信を培えません。前述の通り、子どもたち自身が、 「できるようになった!」 と気づくことが、自信に繋がります。 松岡は、ある程度の技術力がついたところで、少し難しい"チャレンジ"を行います。 このチャレンジも、きっちりとしたテストのような形ではなく、気軽に挑戦できる形が望ましいでしょう。番組内では「動く的当て」や、大ヒット映画にかけた「穴行きサーブ」(壁に空いた穴にサーブを通す)などの、ユニークなチャレンジが行われました。 的に当てることができた、数字をクリアできた、というように具体的な目標・対象をクリアすることで、子どもたち自身が「難しいと思っていたことが出来た!」と気づきやすく、自信にも繋がりやすいのです。 そしてこの時、指導者から子どもたちへ、 「○○ができるようになったね!」 「練習したからできるようになったよ!」 「すごいよ!」 などの言葉がけを、必ず行うことが大切です。 自分自身で「できるようになった!」と気づける子もいますが、子どもたちの中には「できたことはすごいこと」と気づきにくい子もいます。 そこで、指導者がすかさずフィードバックすることで、子どもたちは、自分がすごいことをやったのだということに、気づきやすくなります。

まとめ

150112nishikori-yusukephoto:Marc

今や世界ランク5位に位置する錦織圭も、全米オープンを勝ち上がっていくことで「勝てない相手はもういない」という、自信を持った発言が生まれました。 試合にしろ練習にしろ、自信を持つためには、具体的な成功体験が必要です。 漠然と技術を教えていくだけでなく、こうしたステップを繰り返すことで、子どもたちは自信を深め、本番でも本来の力を発揮できるようになります。 一見、ただ奇抜なことを行っているだけのように見える松岡修造の練習ですが、実は子どもたちへの指導法において、非常に重要なステップを押さえているのです。 [sns]