さあ、全豪オープンも残すところあとわずか3試合。ベスト4が出揃いました!勝ち残ったのはこの4人。世界No.1のジョコビッチ、ディフェンディングチャンピオンのワウリンカ、2年連続ベスト4のベルディヒ、そして3回の準優勝、4度目の正直を狙うマレーです。全員が準々決勝ではストレート勝ちを収め、体力を温存して勝ち上がることに成功しました。 また、勝ち残ったのは全員27歳以上。young guns(錦織、ラオニッチ世代)から下の世代はベスト4まで勝ち残れませんでした。最近の流れに反して前からツアーを引っ張っている選手たちが世代交代を阻んでいます。 それではプレビューいきましょう。 ①ジョコビッチvsワウリンカ 待ちに待ったこの対戦。昨年の全豪準々決勝と同じ組み合わせです。対戦成績はジョコビッチの16勝3敗。昨年は2回の対戦があり、ツアーファイナルズではジョコビッチのストレート勝ち、そして全豪ではワウリンカがフルセットの末に勝利しています。 しかし、ワウリンカのランキングが上がってきた、2012年以降のGSでは、必ずフルセットまでもつれる展開になっています。この対戦でも激戦必至でしょう。 第1シードのジョコビッチはまさに安定そのもの。ドロー運にも恵まれ、全てストレート勝ちで上がってきており、大会前にカルロビッチに負けたことなど全く連想させません。ラオニッチすら全く寄せ付けず、あの強烈な高速サーブを物ともせず11度ものブレークチャンスを得て、3度をブレークに結び付けています。また、今日の試合でブレークどころか、ブレークポイントすら与えませんでした。 昨年負けているという嫌なイメージはあるかもしれませんが、今のジョコビッチには関係ないでしょう。圧倒的に優位に立ちます。 一方、ディフェンディングチャンピオンのワウリンカも充実しています。 4回戦までのプレーレベルから、今日の錦織戦は一気に上げ、錦織には第3セット以外ほとんどチャンスが来ませんでした。ジョコビッチにとってもあの片手バックはとてつもない脅威か。しかし、今日の錦織戦ではかなり決まっていたサーブですが、ジョコビッチはワウリンカよりサーブでは上のラオニッチと今日対戦し、そして圧倒しています。ラオニッチは自分から攻めてかなりミスしていました。ワウリンカも今日のようにウィナーが多くても、ミスが多めではジョコビッチは倒せません。 ジョコビッチ相手にはほぼ完璧が求められるわけです。 ジョコビッチが圧倒的に優位なのは明らかです。ある程度好調なラオニッチを全く寄せ付けていませんし、ワウリンカも錦織に勝ったとはいえ、錦織は本調子には見えませんでした。 昨シーズン、錦織に全米で負けてから今シーズン開幕戦はコンディションの問題もありましたが、それを抜きにするとずっと好調をキープしているのがこのジョコビッチなんです。 ワウリンカの調子云々よりジョコビッチが今、強過ぎる訳です。 しかし、ここは昨年も奇跡が起きた場所。全豪オープンです。昨年もワウリンカが優勝すると思っていた人がどれだけいたでしょうか? また、ワウリンカにだってプラスの面があります。コートサーフェスが少し早くなったことです。今年の全豪は例年とはコートが少し違うようです。ワウリンカはストローク、サーブともにパワーで押すタイプ。ワウリンカにとってはこれは有利となりそう。 ジョコビッチが1強時代を築く足がかりとなるのか、はたまたディフェンディングチャンピオンが意地を見せ、今シーズンも混沌とした激動のシーズンとなるのか、今シーズンを占う上でも重要な、昨シーズンと同じ組み合わせ。とても楽しみです。 ②マレーvsベルディヒ 7度目の対戦。対戦成績はベルディヒの6勝4敗ですが、昨年は対戦がありませんでした。最後に戦ったのは2013年8月シンシナティMS。6-3,6-4でベルディヒが勝利しています。当時はマレーが前年に全米を制し、このわずか数週間前にはウィンブルドンも制している絶頂期でした。しかし、マレーは目標のウィンブルドンタイトルを獲得し、モチベーションが下がっていたとも言われていて、この対戦はあまりアテにはならないと思います。 しかし、ベルディヒの深くて強烈なストロークが突き刺さればいくらマレーでも、そう簡単にカウンターで一発逆転とはいかないでしょう。 逆にマレーからしても、昨年は対戦がなかったわけで、何のイメージも持っていないような気がします。 両者フラットな精神状態で試合に臨めるような気がします。こういう時が一番良い試合になるんですね^_^ ベルディヒは今大会、とても安定した勝ち上がり。未だに1セットも失わずにここまでやってきました。 タイブレークになってもその安定感は健在で、ナダル相手でもしっかりと振り切りました。そして、ストロークがすごく安定していて、常にベースライン際に入っています。フォアもバックも充実している、と言えるでしょう。 しかしその一方、不安もあります。準々決勝のナダルも太ももを負傷していて本調子とは言い難く、序盤で当たった選手でいえば、トロイツキは好調だったとはいえ、トップ選手ではないので、未だに健康なトップ選手との対戦がありません。今大会初めての健康なトップ選手となるのがこのマレーなのです。 これがどう転ぶのか、消耗していない体力を生かすのか、はたまたこれまでの勝利は本物ではなかったのか… 戦ってみるまでわかりません。 一方のマレーは今大会、ディミトロフ戦で手こずった以外は順調に進んできました。昨日のキリオス戦でも完全アウェイの中、貫禄のストレート勝ちといった印象です。マレーがBIG4から脱落気味になった要因として、腰の手術によるサーブの弱体化が挙げられると思うのですが、今大会はサーブがすごく充実していて、昨日のキリオス戦でもスピード、コース、球種など様々のサーブを使い分けてエース、フリーポイントを決めていました。 しかし、昨日も第3セットで先にブレークしたのにすぐにブレークバックされてしまうなど、どこか隙があります。ディミトロフ戦でも、第4セットは2-5まで行きました。結果的にはどちらの試合でもそのセットを落としてはおらず、勝利をたぐりよせているので結果オーライとも言えますが、今回の相手はベルディヒ。その隙を突かれると痛いです。マレーはメンタル的な隙をなくすことができるかでしょうか? この試合、恐らくベルディヒが攻め、マレーが守りながらカウンターを狙う、という形になると思います。両者ともサーブは良いので、この流れをより多く制したほうが勝つでしょう。 圧倒的に優位というわけではありませんが、昨日の試合の好調ぶり、そしてGSでの経験からしてマレーが少し有利な気がします。 しかし、ここはGSのSF。これまでにも数々の名勝負、番狂わせが起こってきました。最近では全米での錦織とチリッチが記憶に新しいです。ベルディヒにも十分勝つチャンスはあります。久々の決勝目指して頑張ってほしいですし、昨シーズンは足踏み気味だったマレーの復活も見たいです。 最後に予想。 ジョコビッチ3-0ワウリンカ マレー3-2ベルディヒ で終わるとしておきます。 久しぶりにジョコビッチとマレーの全豪決勝が見たい!っていうのもありますけど笑 追記 準決勝第一試合のベルディヒvsマレーは明日のナイトセッションに組み込まれました。 この試合、マレーが勝つと暫定ランキングでは錦織を抜いて4位に。ワウリンカの優勝がなければ、来週のランキングでも4位となり、久々にBIG4が1〜4位を独占することになります。 また、ベルディヒが勝ってジョコビッチが優勝した場合、錦織は4位。自己最高を更新することになります。 ワウリンカの優勝さえないと仮定すると、明日の試合はかなり重要な意味を持つ一戦になりそうです。