全豪もいよいよ後半戦。終わってみればフェデラー以外はほとんど番狂わせのない序盤戦となりました。しかもフェデラーのブロックを勝ち上がったのは地元オーストラリアの若きスター、キリオスとほぼ完璧なメンツの揃ったベスト8になったのではないでしょうか。準々決勝の組み合わせは以下の通りです。 ジョコビッチ[1]×ラオニッチ[8] バブリンカ[4]×錦織圭[5] ベルディヒ[7]×ナダル[3] マレー[6]×キリオス 今日はボトムハーフの準々決勝が行われます。 【ベルディヒ×ナダル】  共に4回戦をストレートで勝ち上がった二人が22度目の対決に臨みます。対戦成績はナダルの18勝3敗、そしてなんと現在17連勝中というとんでもない対戦成績を叩きだしています。一方的な対戦成績というとフェデラーの対フェレール16勝0敗が有名ですがそれをも上回ってしまう連勝記録を記録しています。そしてオープン化以降対戦成績18連勝を叩きだした選手は一人もいません。前人未到の大記録が間近に迫っているのですが、逆にベルディヒにとってはこれほど不名誉な記録もありません。 ベルディヒはよくも悪くも素直な選手です。これといった弱点もない総合力の高いプレイヤーですが、そのオーソドックスなスタイルが逆にナダルの餌食となってきました。ベルディヒの勝機は自分から先にミスせず、武器であるフラット気味のストロークを深く集めてナダルの返球を弱くすることか。ナダルのショットが押し込まれて弱弱しくなれば、そこを突いて攻め込むことができます。近年でベルディヒが最もナダルに対して善戦した3年前の全豪準々決勝では、第2セットのタイブレークでSPを握るまでベルディヒがほぼ最高のプレーを見せていました。そのプレーをもう一度出すことができるでしょうか。 Did you know? Rafael Nadal is on a 17-match winning streak against Tomas Berdych, tying the longest in the Open Era. pic.twitter.com/Xe9Xe4anVk— ESPNTennis (@ESPNTennis) 2015, 1月 26 【マレー×キリオス】  この二人は実は対戦経験があります。昨年のトロントマスターズ2回戦です。このときはマレーが快勝、先輩の意地を見せつけました。半年ぶりの対決は大舞台で迎えます。  マレーの4回戦はディミトロフを4セットで下しての勝ち上がり。第2セットのサービング・フォー・ザ・マッチさえ落とさなければストレート勝ちもできただろうというマレー優勢な試合運びでした。非常に優秀なコートカバー力、あの手この手で常に変化をつけてくるラリー戦、そして代名詞のカウンターショット、マレーのプレーはほとんどの時間帯でディミトロフを封じ込めていました。まだまだ全盛期マレーには及ばないかなあというのが正直な感想ですが、だがキリオスに比べればそれでもかなり上でしょう。  一方のキリオスは2セットダウンからセッピに大逆転勝ちしてのベスト8進出。怖いものなしの勢いがあったウィンブルドンや全米に比べると正直プレーレベルは高くありません。ラリーは打ち勝っているはずなのにセッピに簡単に逆襲を食らいイライラを溜め込んでしまったとこを見るとまさにその遥か上位互換なマレーは天敵という気がします。しかし接戦を勝ち切ったのはウィンブルドン二回戦ガスケ戦の大逆転劇のおかげだと本人が試合後語ったようにまだ19歳、ツアー通算12勝しかしていないキリオスにとっては1試合1試合が大きな経験です。セッピ戦の教訓を力に変え、更なる番狂わせを起こそうと狙ってくるはずです。  キリオスには地元オーストラリアの観衆による大応援が後押しします。ウィンブルドンがあるマレーにとって声援がどれだけ力になるかは十二分に理解しているはず。盛り上がる場面を作らせないように最後まで油断なく仕留めに行くことでしょう。