いよいよ明日から全豪オープン。今日はプレビューの3回目、挑戦者達を迎え撃つトップ4シードの選手達について見てみます。 【第1シード:ノバク・ジョコビッチ】  今大会も不動の優勝候補。世界ランク1位、全豪は3連覇を含む過去4度の優勝。なんといっても30位以下の相手に負けたのがこの4年間でただ1度(バーゼルの錦織戦)。25位以下の選手に敗れたことも4年間でわずか3回だけ。今年もまずベスト8までは確実と見ていいでしょう。  ただしジョコビッチも今年で28歳。世代交代の荒波に晒される時期が近づきつつあります。準々決勝では順当ならラオニッチの挑戦を受けることになるでしょうし、準決勝では全米に続いて錦織が勝ち上がってくるかもしれません。そういった敵をNo.1が退けることができるかが世代交代の進行には大きく関わってきます。2008年WBと2009年全豪のナダルVSフェデラー、2011年全豪全米のジョコビッチVSフェデラーのような象徴的な世代交代が起こるのか、それともジョコビッチがそれを食い止めるのか、興味深い1年の始まりです。  昨年終盤の戦いぶりから考えて一度エンジンかかればたとえトップ10クラスでも簡単に撃退してしまうでしょうが、一つだけ懸念材料を上げるとすればここ数日の体調不良が心配。2週間前行われたエキシビジョンでも決勝を風邪で棄権しており、体調を整えられないと終盤の強敵を撃退できるか怪しくなってきます。昨日今日とスケジュールを変更しながらも練習自体はこなせており、慎重に調整を行い来るべき本番に備えているようです。 【第2シード:ロジャー・フェデラー】  日本語の特集で「元王者」という呼ばれ方をされて久しくなったフェデラー。グランドスラムの優勝からも2年半遠ざかっていますが、それでも今なお優勝候補の一角であることに変わりありません。全豪は優勝4度と全仏に続いて優勝回数の少ないグランドスラムである代わりに、逆に安定感はピカイチで2004年以降11年連続でベスト4に入っています。ここ2年間も決して弱い相手と戦ったわけではありません。13年はラオニッチとツォンガを倒した後準決勝でマレーと死闘を繰り広げ、昨年はツォンガとマレーを倒しています。  だがこの全豪フェデラーで気になるのは後半戦の体力面。13年は最終セットに力尽き、昨年はナダルを相手にした段階で既に既に負けていたような状態でした、第1セットタイブレークを落とした後は一方的な敗戦。暑い全豪は体力も奪われます、いかに省エネで勝ち上がるかがフェデラーの鍵を握るでしょう。順当なら3回戦ヤノビッツ、4回戦は混戦状態を抜けだし勢いに乗った誰かが、そしてベスト8ではマレーとの3年連続対決が待っている組合せ。これらを全てストレートで撃退できれば、フェデラーの優勝もありえるかもしれません。 【第3シード:ラファエル・ナダル】  全豪前哨戦のドーハ初戦で35歳かつ今はトップ100にも入っていないベレールという選手に倒されてしまったナダル。前哨戦なので結果は基本的に度外視でよいのですが、負けたラウンドと相手が悪すぎます。ダブルスは優勝して調整はこなせたものの、インタビューでは弱気な発言も飛び出しているようでその状態が心配されます。  とはいってもいざ本番に入ると嘘のように勝ち上がるのがナダルです。過去に病み上がりハードコートのGSというと09年全米であるとか、10年全豪だとかが思い出されるのですが、その時も着実にベスト8や4までは勝ち上がっています。優勝はないよね?と言われそうですが、今回はベスト8まで勝ち上がってしまったら、そのナダルを止める相手がいなくなってしまいます。ベルディヒもフェデラーもナダルに対する苦手意識が完全に染み付いており、おそらくナダルを止めるのは無理です。怪我明けの場合、ナダルの牙城であるクレーコートを踏みしめてから一気に調子を上げて…ということになるのが規定路線なのですが、序盤さえ乗り切れば一気に決勝進出もあるかもしれません。鍵は早速初日に行われる初戦のユーズニー戦か。 Rafa Nadal Roger Federer And Novak Djokovic-Autralian Open - 19th Jan to 1st Feb 2015. May the best man win. pic.twitter.com/ZhPnlIf70j— Irma Kenton (@ikenton3000) 2015, 1月 18   【第4シード:スタン・バブリンカ(前年優勝者)】  昨年死闘の末にジョコビッチを下し、その勢いのままに優勝を遂げたバブリンカ。その後モンテカルロを取ってMS制覇も成し遂げ、年末にはデビスカップも制したバブリンカの最大の懸念は「燃え尽き」。この1年間で全てを成し遂げた男が再び長く苦しいシーズンに向かっていけるのか個人的には心配でしたが、前哨戦のチェンナイでは1セットも失わない完璧な勝ち上がりで連覇してみせました。ドローもかなり楽なドローで、ウィンブルドン、全米に続く3大会連続ベスト8はほぼ確実でしょう。準々決勝は相手が錦織なら全米のリターンマッチ、相手がフェレールなら昨年モンテカルロ準決勝で勝利して以来の対戦となります。共に対戦成績は拮抗しており実力的にも差はないでしょう。バブリンカブロックの準々決勝は錦織が絡んでいるということを抜きにしても、非常に楽しみなカードです。  バブリンカの話題になる度に触れていますが、敵は自滅。錦織戦も第2セットを自滅で落として追いつかれたことで、その後の激戦に持ち込まれました。全仏の初戦敗退の原因も完全にバブリンカが暴発してしまったからです。代名詞であるフォアバック双方から繰り出されるパワフルなストロークでミスが目立ち始めた時、一つ深呼吸して耐えられるかがポイントとなってくるでしょう。 Our champions have arrived. Welcome back #LiNa & @stanwawrinka Are you ready for the #ausopen draw? pic.twitter.com/5Bximw6Aoh— Australian Open (@AustralianOpen) 2015, 1月 15  (画像はドロー発表の日に、女子の昨年優勝者リーナとツーショットに収まるバブリンカです。)