Best of 2014もほぼ終わりました。ATP公式サイトでは現在コート外での出来事特集や引退選手特集(ダビデンコ等)を行っています。興味のある方はニュースの一覧から”Best off court”や”Player Farewells”と題された記事を読んでみてください。 当サイトでは最後にATP Matchfactsの特集を行いたいと思います。ここではサーブとリターンに関する数々のスタッツを見ることができます。2014年の記録を覗いてみましょう。 ★ファーストサーブ確率  1stサーブ確率が一番高いのはナダル。全試合の平均が7割というのは非常高いレベルでの安定感が伺えます。ジョコビッチにも同じ傾向が伺えます。かつてナダルやジョコビッチのサーブというのは本当にヘロヘロサーブだったのですが、のちに改善されて確率とコントロールを兼ね備えた素晴らしいものになりました。ナダルが全米制覇して生涯グランドスラムを達成できた要因の一つとしてサーブの強化があると言われているほどです。サーブに難がある錦織も彼ら2人の素晴らしい手本を追うべきでしょう。  一方ビッグサーバー勢もきちんと確率部門でランクインしています。カルロビッチ、イズナー、アンダーソンらです。彼らは上背を活かしてフラットサーブをこのような高い確率で入れることが可能なのです。ですがこの表にラオニッチがいないのが個人的には気になるところ。61%(22位)はビッグサーバーとしては低すぎます。これをイズナークラスまで上げられればラオニッチはより脅威を増すはずです。 ★サーブ時ポイント獲得率  当然ながら1stサーブ部門にはずらりとビッグサーバー達が並びます。しかしこの中にも2種類の選手がいて、本当にサーブ中心のタイプと強力サーブとストローカーを両立しているタイプがいます。後者はビッグサーバーとは言わないことも多いです。またコートの低速化などで最近はサーブだけでは勝てない事例が多く、前者と言えどもある程度のストローク力は身につけていることが多くなっています。そんな中旧時代のビッグサーバー像を貫くカルロビッチ35歳が未だに元気なのは異例とも言えるかもしれません。  2ndサーブ部門の1位はフェデラー。フェデラーのセカンドサーブは恐ろしい脅威です。ツアーファイナルズの錦織フェデラー戦を見た方は錦織がセカンドサーブを攻略できず敗退したのを覚えているでしょうか?セカンドサーブでもコースを変え球種を変え自由自在に打ち込んでくるとこれだけの脅威となるのです。 ★リターン時ポイント獲得率  ジョコビッチ、ナダル、マレー、フェレール。この4人をリターン四天王と呼んでもよいかもしれません。世界屈指のストローカー達はリターンでもその能力を存分に発揮します。この4人に食い込もうとしている錦織もセカンドサーブのリターンにおいて第6位と高い確率を記録しました。錦織のリターンも十分驚異的でしょう。1stサーブのリターンがそれ程よくない(キャリア通算でも31%)のは錦織のリーチの短さに原因がありますが、これはもう仕方がないことだと思っています。リーチが届いたときには素晴らしいリターンを見せてくれているので、それで良いのです。 ★ブレイクポイント時成績  左の表にはビッグサーバーが、右の表にはストローカーが綺麗に並んでいるランキング。この表で錦織が欄外なのが非常に残念です。10位とほとんど差がない13位というのは決して悪い数字ではないですが、錦織なら先のリターン四天王にも劣らないリターン力を持っているだけにもう少し数字を上げてほしいところ。   ★サービス&リターンゲーム獲得率  サービスゲーム上位4人の90%越え、リターンゲーム上位4人の30%越えは流石の数字。リターンゲームの上位4人はリターンに関する全ての指標でトップ5入りを果たしており、この表では5位以下に圧倒的な差をつけています。錦織は4位のマレーに4%差をつけられての6位。来年の錦織はこの数字をもう少し上げていきたいところでしょう。  実はサービスキープ率84%のほうが、順位は下ですが実は錦織にとっては素晴らしい数字です。なんと錦織のキャリア通算は78%。かつてトップ選手最弱サーブと言われていた頃の錦織のサービスゲームの弱さが伺えます。今年はクレーシーズンを中心に素晴らしいサービスゲームを見せてくれました。来年以降にも大いに期待が持てます。  そんな中でジョコビッチとフェデラーはサービスリターン両方でトップ10入りを果たしています。今年の勝率85%以上を記録している世界ランキング上位2名らしい成績でした。