その1からの続き。 その2の原文はこちらから、また動画もどうぞ。一部その1で用いた原文ソースも使っています。 ★ツアー初優勝  今年は5名の選手がツアー初優勝を達成しました。L・マイヤーやアグーなどは今年に入ってからブレイクした遅咲きの選手達。一方若手の初優勝はデルボニスとゴファンでした。アグー、クエバス、ゴファンの3名は今年のうちに2勝目も挙げています。一度壁を乗り越えたら2度目は案外あっさり行けたりするのでしょうか? ★ワイルドカードからの優勝  ワイルドカード(WC)というのは日本語で言えば主催者推薦ですが、与えられるパターンには様々なものがあります。たとえば楽天OPでは伊藤竜馬ら日本人3名がWCで出場しました。自国のランキング低い選手を推薦して本戦に出場させる、WCはこのパターンが最も多いでしょう。またランキングを落としている有力選手(有望若手、かつての一流選手、怪我明け等)にWCを与えるパターンもあります。おそらく来年はデルポトロも何大会かでWCを与えられることになるはずです。  もう一つWCには役割があります。一流選手の「レイトエントリー」に使われるのです。エントリー期限の過ぎてしまった大会に出たい選手がいたとします。その選手は大会主催者と交渉してWCを発行してもらうようにお願いするのです。このケースの場合WCとはいえシードもきちんとつきます。なお2番目や3番目のパターンを悪用されると困るのでWCには回数制限(確か8回)がついています。  今年WC選手が優勝したケースはなんと8大会に上りました(昨年は6回、一昨年は3回)。実は錦織のメンフィスもWCからの優勝でした。優勝回数が押し上げられた原因は主にマレーにあります。マレーは本来後半戦の出場予定がほとんどありませんでした。上海・パリの両MS以外の予定はがら空きだったのです。それが全米後だけで4大会もWCを貰って参戦する異例の事態となり、そのうち3大会を制し大逆転で最終戦出場に間に合わました。そのうちの一つ、ウィーンではマレーとフェレールというWC同士の決勝となっています。04年のスヘルトーヘンボス大会以来、なんと11年ぶりのことでした。 ★マッチポイントをしのいだ後優勝  これほど劇的な展開が他にあるでしょうか?さすがに滅多にあるものではなく今年度もわずか7回なのですが、そのうち4回をBIG4が占めます。彼らは絶対最後まで諦めないのです。ナダルのアンドゥハル戦、フェデラーのL・マイヤー戦、マレーのロブレド戦2回目はATPの年末特集で既に入っています。中でもフェデラー、マレー(2回とも)は計5つのMPをしのいで勝っています、その執念と精神力には脱帽です。 ★ストレート優勝  1セットも失わずに優勝したケースは今年度8回。その中で複数回達成しているのはジョコビッチのみでなんと3大会でオールストレート勝ちを記録しているのです。内訳はマイアミMS,北京,パリMSの3大会。マイアミでは準決勝で錦織が試合前に棄権するなど2回の不戦勝で4試合しか戦っていないのですが、北京とパリでは文句なしの全試合ストレート勝利でした。また残りの5人にもバブリンカ、チリッチ、フェレール、ディミトロフ、ラオニッチとトッププレイヤーが並びます。トップ選手の強さの証の一つみたいなものかもしれませんね。 ★連勝記録  最多連勝14を記録したのはフェデラーでした。上海MS優勝、バーゼル優勝、そしてパリでベスト8に入っての達成。トップ選手がずらりと並ぶ中で目を引くのがクエバス。バスタード(ツアー初優勝)とボゴタで2週連続優勝を達成したのです。  なおジョコビッチが年をまたいでの20連勝を達成しています。北京→上海→パリ→最終戦と昨年全米後無敗を誇ったジョコビッチの連勝記録は全豪準々決勝でバブリンカに止められました。 ★その他、小ネタ ・ティエムは今年だけで7回もツアーの予選を突破しています。 ・世界1位VS2位という決勝戦は計4回。ナダルvsジョコビッチが3回、ジョコビッチvsフェデラーが1回。 ・1~4シードが全員準決勝に進出したケースが今年1回だけありました。錦織が第4シードだったツアーファイナルズです。 ・ダブルスのタイトル数1位は今年もブライアン兄弟。36歳のシーズンも10個のタイトルを獲得。 ・グシュタード大会ではノーシード同士による決勝が行われました。アンドゥハルがモナコを下して優勝。 ・ヒューイットはニューポートで単複優勝を達成。惜しかったのがハレ大会のフェデラーで単優勝複準優勝。 ・今年4月、30歳以上の選手がなんと36人もトップ100入り。史上初めて。