ATP公式サイトの年末特集第6弾は「Biggest Comebacks Of 2014」。カムバック、いわゆる逆転試合の特集になります。今日もTOP5をお送りしたいと思います。原文記事と動画もどうぞ。 5位:北京準々決勝 クリザンVSナダル スコア(6-7(7),6-4,6-3)  北京に予選から参戦した当時世界56位のクリザン、ところが彼は予選1回戦で世界927位を相手に4-6,1-5まで追い詰められてしまったのです、ですが最終的には4-6.7-6(7),6-1の大逆転勝ち。この劇的勝利で勢いに乗ったのか、予選を突破するとL・マイヤーやグルビスといった強敵を連破し準々決勝まで勝ち上がったのです。準々決勝の相手はこの大会が復帰戦となったナダル。これまでは危なげない勝ち上がりで、クリザン戦もまずは順当に第1セットを先取すると第2セットも先にブレイクを奪い有利に。  だがここからクリザンが次々とナダルのサーブを破っていきます。第2、第3セットともに2度づつブレイクを奪ったクリザンが見事に逆転勝ち。クリザンは12年全米で当時6位のツォンガに勝利していたのが最高で、初めてのトップ5からの勝利となりました(試合当時の当ブログ)。 4位:ブカレスト準々決勝 モンフィスVSマチュー スコア(3-6,7-6(8),6-2)  錦織がバルセロナで輝いていたその週、ブカレストでは自国の名選手ナスターゼの名を冠したATP250大会が行われていました。第3シードで参戦したモンフィスの準々決勝対戦相手は同じフランス勢のマチュー。この一戦はマチューが有利に試合を進め第1セットをあっさり奪うと第2セットのタイブレークを6-2とし4本のMPを握りました。しかしここからモンフィスが大逆転、6つのMPをしのいで第2セットを奪い返し第3セットを圧倒して勝利を収めたのです。  試合後のモンフィスは勝ったにもかかわらず反省の弁ばかり。「今日のプレーは酷かった、守備的過ぎたね。なんとか勝てただけ良かったよ。今年最悪の試合の一つだった。」 3位:上海MS2回戦 フェデラーVSレオナルド・マイヤー スコア(7-5,3-6,7-6(7))  全米以来の復帰戦となったフェデラーはストロークの不調に苦しみます。なんとか第1セットを先取したものの第2セット以降はL・マイヤーにほとんど一方的に押される苦しい展開となりました。迎えた最終セットタイブレークでも先行したのはマイヤーでしたが最後の1ポイントが取れません。最終的には5度のMPをしのいだフェデラーが完璧なバックハンドロブを打ち上げ試合が決しました。最後の最後で届かなかったマイヤー、試合後彼の目には涙が浮かんでいました(レビュー)。  死地から生還したフェデラーは勢いに乗りました。3回戦以降は一つのセットも落とすことなく安定した戦いを続け、準決勝でジョコビッチをを撃破するなどして優勝。翌週のランキングで世界ランク2位に復帰したのです。 We reveal our Top 5 @ATPWorldTour comebacks of 2014, including a @rogerfederer epic. Watch: http://t.co/EVte6o11NG pic.twitter.com/NlGSF6t7Li— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2014, 12月 10 2位:ザグレブ1回戦 ベッカーVSガルング スコア(6-7(4),6-3,7-6(6))  どこにでもある普通のATP250大会の1回戦。テレビカメラすら入らないこの試合で何があったのでしょうか?  試合は1セットづつを取り合い第3セットへ。当時世界96位のガルングがリードを奪い5-2のベッカーサーブで15-40とまず2つMP。しかしここは当時32歳、ベテランのベッカーがしのぎます。続いてガルングのSFM、40-0。この3本のMPもベッカーがしのいで土壇場のブレイクを奪うと試合はタイブレークへ。ところがタイブレークでもガルングが5-1とリードしその後6-4と2つMP。ここから4連続でポイントを奪ったベッカーが計7つのMPをしのいで勝利を収めたのです。試合後のベッカーは「今までプレーした中で一番不思議な試合だった」とのこと。 1位:バレンシア決勝 マレーVSロブレド スコア(3-6,7-6(7),7-6(8))  スコアを見ただけでこの試合がどれだけの死闘であったか伝わってくるというものです。この二人は約1か月前に深セン大会の決勝でも死闘を繰り広げたばかり。その時も第2セットでマレーが5つのMPを跳ね返して逆転優勝を果たしています。その時のリベンジに燃えるロブレドがマレーを追い詰め、1か月前と同じように第2セットのタイブレークでMPを握りました。しかしロブレドのストロークは無情にもネットに嫌われまたしてもマレーが第2セットを奪い返したのです。  今度こそは負けられないロブレド。第3セットのタイブレークでも3本のMPを握ってマレーを追い詰めましたが流石はマレー、5週連続参戦計20試合目、そして3時間以上の死闘という極限の状態下でも最後まで集中力を切らすことはありませんでした。最後はバックハンドのDTLでウィナーを奪いマレー勝利。疲れ切った両者が健闘をたたえ合う様子が、戦いの激しさを物語っていました(レビュー)。ATP公式サイトは「Rivalries Of 2014」にもこの二人を選んでその激闘を称えています。 Who can stop Andy Murray qualifying for the ATP World Tour Finals after his Valencia Open win? http://t.co/SVkDezRK1n pic.twitter.com/APEsttkCVd— BBC Sport (@BBCSport) 2014, 10月 26