〔BEST of 2014〕今年の「大番狂わせ」5試合を紹介(GS編)
本日は「Grand Slam Upsets Of 2014」。大番狂わせ試合のGS編をお送りします。原文はこちら。
5位:全豪2回戦 アグーVSデルポトロ
スコア(4-6, 6-3, 5-7, 6-4, 7-5)
アグーの2013年GS成績は全て2回戦止まり。全豪も2回戦でデルポトロとの対戦となり3回戦に進むのは非常に難しく思えました。実際28本のエースと53本のウィナーで攻め立て先に2セットを奪ったのはデルポトロでした。だがアグーはそれを上回る72本ものウィナーで応戦し、デルポトロの17回ものBPのうち13回をしのぎ逆に自らはBP8回のうち5回をものにしてみせたのです。3時間53分の死闘が終わったとき、現地時間は午前1時20分になっていました。
初めてGS4回戦まで進んだアグー、その後の大会でも次々と好成績を上げていきます。ツアー2勝、マドリッドMSベスト4、そして全米でも全豪に続いて4回戦まで進み、年末ランキングを15位まで上げて2014年を終えました。ATPは”Most Improved Player of the Year”にアグーを選び今年の快進撃を称えたのです。その全てはこのデルポトロ戦から始まったのでした。
4位:全仏1回戦 ガルシアロペスVSバブリンカ
スコア(6-4, 5-7, 6-2, 6-0)
モンテカルロMSでベスト8に入りジョコビッチから1セットを奪う大健闘を見せたガルシアロペスは世界ランク41位で全仏に乗り込みました。だが1回戦の相手はそのモンテカルロで優勝しているバブリンカ。厳しい勝負が予想されましたが蓋を開けてみればバブリンカが62個ものUE(凡ミス)を犯して自滅。ガルシアロペスは8回ものブレイクを奪い第3シードを1回戦で敗退させました。その後ガルシアロペスは4回戦まで進出しています。これは彼の39回のGS出場において初めてのことでした。
3位:ウィンブルドン2回戦 クズネツォフVSフェレール
スコア(6-7(5), 6-0, 3-6, 6-3, 6-2)
フェレールは今年の全仏においてこれまでたった6人しかいないグランドスラム10大会連続準々決勝進出者の一人となりました。しかしその1か月後ウィンブルドンでその記録は途切れることになります。フェレールを2回戦で止める大波乱を起こしたのは当時118位だったロシアのクズネツォフ。23歳の若者が快挙をやってのけたのです。クズネツォフはこの後全米でもベルダスコを破るなどして3回戦へ進出。不思議なことに他の大会ではCHでの優勝1回以外あまり目立った成績を残せなかったのですが、引退したダビデンコや32歳のユーズニーに代わってロシアを背負う存在になってくれることに期待がかかります。
2位:全仏4回戦 グルビスVSフェデラー
スコア(6-7(5), 7-6(3), 6-2, 4-6, 6-3)
グルビスは当時世界ランク17位。個人的にはこれが番狂わせの2位に来るというのは逆にグルビスに失礼な気がするのですが、それだけフェデラーの敗退というのはショックが大きいものだったのかもしれません。この敗戦で全仏連続ベスト8記録が9年でストップすることになったのです。
フェデラーはグルビスのパワーに押し込まれながらもタイブレークに持ち込んで第1セットを先取し第2セットでもSPを握りました、だが2セットアップを逃してしまったフェデラーに容赦なくグルビスの反撃が始まります。グルビスが2セット連続で取りリードを奪うと、逆に失速したグルビスに対してフェデラーが第4セットを取り返す文字通りの死闘に。最後は序盤でリードを奪ったグルビスがキープを続けて3時間42分の戦いを制しています。
“Sorry I had to win. I know how everyone likes Roger. It was a tough match but this is sport.” 現在の男子テニス界では珍しくヒールな発言の目立つグルビスらしいコメントでした。グルビスはこの後ベルディヒも破ってベスト4入りの快挙。大会後にはキャリアハイとなる世界ランク10位を記録しました。
#Gulbis' Grand Slam upset of @rogerfederer was one of the biggest of 2014. Which ranked No. 1? http://t.co/NNLTJkSs9T pic.twitter.com/HvOmPfmdfi— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2014, 12月 9
1位:ウィンブルドン4回戦 キリオスVSナダル
スコア(7-6(5), 5-7, 7-6(5), 6-3)
19歳のキリオスが世界に驚きをもたらした瞬間でした。ATP公式サイトはこの試合を「2001年ウィンブルドンでサンプラスに勝利した19歳フェデラー」,「2005年全仏準決勝でフェデラーに勝利した19歳ナダル」に次ぐ新しいスターの登場だったと絶賛しています。実際キリオスにはナンバーワンになる可能性を感じさせるものがありました。19歳にして既にトップ選手と十分渡り合えるストローク、強力なファーストサーブ、そして何より魅力的なのが要所要所での驚異的な集中力。ナダル相手に2度のタイブレークを制して勝利しているところからもその強さがうかがえます。全米でもその魅力を存分に発揮して3回戦へ進出、実力を改めて証明しました。キリオスが2015年果たしてどんな戦いぶりを見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。