月曜日の日本時間24時に最終戦の組み合わせが発表になりました。テニスのツアー最終戦は8人が2つのグループに分かれて総当たり対戦を行い、上位二人が準決勝に進出する仕組みになっています。  皆さん既に目にしているとは思いますが、組み分けは以下の通り。 グループA:ジョコビッチ、バブリンカ、ベルディヒ、チリッチ グループB:フェデラー、錦織、マレー、ラオニッチ  錦織としては利点も不安要素もあるグループ分けになりました。しかし錦織にとっては何より「グループB」という場所に入ったことが重要で、この時点で大きな有利を得ています。まずジョコビッチではなくフェデラーを引き当てたこと、両者とも非常に強い相手とはいえ今の錦織にとって勝率が高いのは間違いなくフェデラーでしょう。そしてさらに今年はグループBの選手は連戦を避けることができるという特に錦織にとって非常に大きなアドバンテージがつきました。発表された今年の日程ではRR期間中、常にグループBが先に先に試合を行うことになっており、したがってグループBだけ最後の試合と準決勝の間が1日空きます。  しかし残りの対戦相手を見ると中々厳しい組み合わせです。まず錦織自身が5位に入ってしまったことが実はこの組み合わせを招いています。5位になったことで4位のバブリンカと対になってグループを振り分けられた錦織は、まず現在絶不調のバブリンカと同組に入ることができません。  そしてその下の二人、マレーとベルディヒが抽選で振り分けられたのですが、ここでグループBに入ったのは過去3勝1敗のベルディヒではなく過去0勝3敗のマレーとなってしまいました、これが非常に痛い・・・。ラオニッチとチリッチに関してはチリッチを低評価してラオニッチ厳しいと強調する向きもあるようですがこれは正直チリッチの初戦を見てみないとわからないと思います。ラオニッチが厳しい相手なのはもちろん変わりないのですが。 次はグループごとに少し詳しく見てみましょう。  まずグループAを見るとジョコビッチの圧倒的な対戦成績が目につきます。世界ナンバーワンジョコビッチに死角は見当たりません。最終戦自体との相性も非常によく現在2連覇中と実績十分。ジョコビッチが1位で通過するのを前提で考えると、グループBの選手達も当然グループ1位を取って準決勝ジョコビッチ戦を回避したいところでしょう。  問題は2位争いですがこれが非常に読めません。なぜならバブリンカやチリッチという選手は爆発力はあるものの早期敗退も多く大会始まってみるまでどうなるかわからないのです。対戦成績通りならバブリンカが有利ですが現在のバブリンカの不調ぶりを考えるとベルディヒが勝ち上がるかもしれません。ジョコビッチ3勝で残り3人が1勝2敗で並ぶ可能性もありますね。  次にグループBを見てみましょう。錦織対フェデラーは2勝2敗。今年はマイアミで勝利しハレで敗戦しています、今年68勝と全選手中ダントツの勝利数を稼いでいる世界ランク2位のフェデラー。フェデラーもまた最終戦は非常に相性のよい選手でありなんと通算5度の優勝を飾っています。しかし今年ハードのマイアミで勝利している錦織にも十分チャンスはあるでしょう。対戦成績が4勝1敗ながらいずれも激戦を戦っているラオニッチのほうがむしろ不気味かもしれません。最終戦と同じ種類のコートを用いているパリで準優勝し勢いに乗ってやってくるだろう点も警戒ポイントになりそう。  問題は赤字で書いた対マレーの対戦成績、錦織の0勝3敗です。1度目の対戦は11年上海準決勝でした。錦織はツォンガを破るなどして初めてマスターズのベスト4に入りましたがそこでマレーに格の違いを見せつけられました。2度目の対戦は翌年の全豪準々決勝、ここでも錦織はあっさりとマレーに破られ、マレーが続く準決勝でジョコビッチと死闘を繰り広げるのを見てBIG4の強さを改めて思い知ったものです。3度目の対戦は昨年の全豪前哨戦、ブリズベン。これは錦織の負傷で棄権負けに終わっています。  しかし状況は変わりました。マレーが腰の手術で離脱し戻っても本来のフォームを取り戻せずにいる間に錦織は成長し、マレーの順位を上回りました。今年の対トップ10対戦成績も錦織の9勝5敗、マレーの4勝9敗と正反対となっています。今こそマレーに対して初勝利を挙げるチャンスでしょう!錦織の攻撃的なストロークが6週間23試合を戦い抜いたマレーの驚異的なスタミナ・守備力を打ち破ることができるか、プレースタイル的にも注目の一戦となるでしょう。このカードは初日に組まれており、勝者は一気に勢いづいて勝ち進むかもしれません。  明日は最終戦にまつわるあれこれや細かいルールについて書く予定です。