ラオニッチのサーブの威力は確かに過去2戦に比べてやや落ちていたかもしれません。ですがそれにしたってビッグサーブであることには変わりないはずなのですが、ジョコビッチには通用しませんでした。ジョコビッチはいとも簡単にラオニッチのファーストを返し、安定感のあるストロークでラオニッチの強打もあっさりといなしてしまいます。  それでもラオニッチは粘りました。1ブレイクを許しながらもさらに0-40と迫るジョコビッチから逃げ切ってキープすると、直後のゲームで強打を炸裂させ逆に0-40と大チャンスを作ります。だがラオニッチはこのチャンスを生かせず、結局ジョコビッチがキープ。  粘りながらもジョコビッチの壁を崩せないラオニッチに徐々にほころびが見えてきます。第8ゲームでスマッシュミスとダブルフォルトで2度目のブレイクを許し第1セットを失うと、第2セットも最初のサービスゲームであっさりとブレイクを許してしまいます。こうなると最早ジョコビッチのワンマンショーでした。第2セットはサーブも安定しラオニッチに付け入る隙を与えません。マレー戦や錦織戦で見られた第2セットのサービスゲームでもたつく姿もなく最後までしっかりキープを続け、1時間24分で勝利を収めました。「荒れるマスターズ」パリでシングルス連覇という出来事が起こったのは史上初めてのことでした。 Quel sourire pour @DjokerNole! Au #BNPPM, le tenant a tenu son Paris. pic.twitter.com/KA66QGDCgY— BNP PARIBAS MASTERS (@bnppmasters) 2014, 11月 2  父親として迎えた最初の大会で見事優勝を飾ったジョコビッチはこれで史上23人目となる通算600勝を達成。そしてナダルとフェデラーに次ぐ史上3人目のマスターズ20勝目も達成しました。ランキングでもフェデラーに1310P差をつけて年末1位を確実にしています。  夏の北米シーズンではMS2連戦で元気なく敗れ、全米でも本来のプレーを取り戻せないまま錦織の猛攻の前に敗れたジョコビッチ。しかし数週間の充電を経て戻ってきたジョコビッチは本来の姿を取り戻しています。北京、上海、パリの3大会で13勝1敗。フェデラーにこそ敗れましたが、錦織、マレー(2回)、ベルディヒ、ラオニッチ、フェレール、ディミトロフをなぎ倒し世界ナンバーワンの強さを見せつけました。まだ攻撃力が戻っておらず守備に頼ってる分だけ良いときのジョコビッチとは差がありますが、それでも普通の選手では届かない高みにいるのですからすごいとしか言いようがないでしょう。 .@DjokerNole claims 600th match win, 62 63 over #Raonic to retain @bnppmasters crown. Tribute: http://t.co/vJJKSnsPnf pic.twitter.com/SlV0eU5rJF— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2014, 11月 2  さてテニス界の長いシーズンもひとまず終わりを迎えました。あとは最終戦とデビスカップ決勝を控えるのみです。「RACE TO LONDON」の役目も終わり、明日からはランキングが統一されることになります。錦織はそのランキングで5番目の位置を確保することになるでしょう、もちろん自己最高位です。2週間後この順位はどうなっているでしょうか。僅差に迫るライバルたちに抜かれてしまうのか、それともさらに1つ順位を上げトップ4として2014年を終えることができるのか、錦織の今年最後の戦いを見守りましょう。