上海MSの準々決勝ではトップハーフのジョコビッチとフェデラーがそれぞれストレート勝ち。ジョコビッチはフェレール相手にブレイクを許さず撃退、フェデラーはベネトーを相手に第2セットを6-0で奪う快勝で準決勝に駒を進めてきました。  一方で本命不在のボトムハーフで唯一残っていたシード選手、ベルディヒは過去3勝5敗と苦手にしているシモンに今日も大苦戦。第3セットは0-6で失ってしまいベルディヒは先週に続いてまたもベーグルで敗退することになってしまいました。 My new job is a baker collector - I am collecting ,,bagels,,— Tomáš Berdych (@tomasberdych) 2014, 10月 10日  準決勝でシモンはユーズニーを破ったF・ロペスと対戦します。シモンは勝てば08年マドリッドMS以来二度目、F・ロペスが勝てば初のマスターズ決勝進出となります。  さあここからは「事実上の決勝戦」ジョコビッチVSフェデラーを見ていくことにしましょう。   ジョコビッチ 17 - 18 フェデラー (日本時間21時~)  両者はATP史上2位タイ(1位はナダルVSジョコビッチ)という36度目の対決。対戦成績は拮抗しており今年に限定しても対戦成績は2勝2敗と全くの五分、そしてジョコビッチが負傷していたモンテカルロの準決勝以外は全てフルセットの接戦です。  元々この二人はフェデラーが圧倒的に強い相性でした。2010年までの対戦成績はフェデラーの13勝6敗。特に07~09年の全米が圧巻でジョコビッチにはフェデラーを止めるすべが全くありませんでした。しかし2011年全豪でジョコビッチがストレート勝ちを収めると一気にジョコビッチが3連勝します、この年の全仏と全米でテニス史に語りづがれるであろう2度の死闘を戦った両者は、2012年以降拮抗しながらもジョコビッチがやや有利という関係に落ち着きました。  今年は両者ともに充実したシーズンを送っています。ナダルから再び世界1位を奪い返したジョコビッチは全英制覇以降苦しみましたがアジアシーズンに入って本来のプレーを取り戻したように見えます。ディミトロフ、マレー、ベルディヒ、フェレールらを相手に全く苦戦することなく勝ち星を重ねて来ました。上海では現在2連覇中と相性が良く、さらに北京と合わせればアジアシーズン28連勝中という驚きの戦績。3年連続のアジアシーズン2週連続優勝は目の前です。  一方のフェデラーも今年はずっと好調をキープ。特にトップ10との対戦成績が12勝4敗と素晴らしく、シーズンの試合勝利数59勝は断トツのトップ。昨年負傷と衰えに悩まされた弱々しいフェデラーは消え失せ、すっかり強さを取り戻しています。この上海では3週間ぶりの実戦となった初戦こそ苦しみましたが3回戦と準々決勝は盤石の勝ちあがり。1st確率が3回戦70%、準々決勝77%と恐ろしい数字をたたき出しており完璧なサービスゲームを展開しています。  この二人はプレースタイルが高次元で噛み合うことで有名な組み合わせ。総合力ではジョコビッチが上回りますが、フェデラーも対ナダル戦とは違い自らの武器をフルに生かしてジョコビッチの牙城を崩していくことが出来ます。ファーストサーブやスライスが機能するとジョコビッチもそう簡単にポイントを取れません。ジョコビッチのストロークはナダルのようにバウンドが高いわけではなく、フェデラーがミスを連発するような展開になりづらいのも両者が拮抗する原因でしょう。  フェデラーの高い攻撃力が邪魔されることなく炸裂するとなるとそれに耐えられる選手はいないように思えてきますがそこはジョコビッチ、リカバリー力はテニス界最強です。球足の速い全英でさえネットに出たフェデラーは何度となくジョコビッチのパッシングショットの餌食になりました。フェデラーのネットプレーの成功率がひとつの鍵を握ることになります。  通常この二人の試合はIW決勝や全英決勝がそうだったようにフェデラーがトップギアで試合に入ってまずポイントを奪い、それに対しジョコビッチが徐々にギアを上げていくという展開になります。しかし今年のドバイはやや試合展開が異なりました。ジョコビッチがあっさり第1セットを先取しながら、第2セットで押しきれず粘るフェデラーに逆襲を許してしまったのです。32度目の対戦にして初めて、フェデラーの逆転勝利という結果になりました。  今年のフェデラーは粘り強さが増しています。プレーのレベルはもちろん全盛期からは落ちていますが、勝敗に対する執着心は今も最強時代と全く変わりません。IW決勝では負けはしたのもの第3セットの4-5という土壇場でジョコビッチからブレイクを奪い返し、全英決勝でも第4セット2-5からフルセットまで持ち込みました。最後の最後まで一瞬も目が離せない展開が期待できそうです。