バブリンカが伊藤竜馬に負けた!?ツォンガも初戦敗退?ナダルは復帰戦勝利!などなどアジアシーズン真っ最中のこの時期ですが、ヨーロッパやアメリカからもテニスニュースが届いてくるのをご存知でしょうか?  例えば9月22日には、フランス・オルレアンで世界ランク24位のコールシュライバーが初戦で敗れたというニュースが入ってきました。しかし先週にATPの大会はフランスで行われていません。また9月26日には元トップ20のクエリーがアメリカ・ナパで優勝を飾ったというニュースが入ってきました。しかしやはりATPの大会はアメリカで行われていません。なんとトッププレイヤーである彼らが下部大会、チャレンジャー(以下CHと略)に出場していたのです。    欧米の選手達にとって遠い異国で行われるアジアシーズンは違う雰囲気を持っています。移動は長距離、人種も違えば時差も違いますし雰囲気や環境も彼らの慣れ親しんだものとは全く違うものが存在しています。それ故に、このシーズンをアジア行きを避けて地元で過ごそうと考える選手達も多いのです。  アジアシーズンは3週間しかありません。最初の週(先週)は28ドローの250大会が2つ、次の週(今週)が32ドローの500大会2つ、そして来週の上海マスターズが56ドローとなっています。500大会2つとマスターズはいずれも上位陣が勢ぞろいする激戦週です。下位選手はそこにわざわざ参戦しても勝ち上がれる見込みがほとんどありませんし60位以下の選手は大体予選からになってしまいます。そして250大会1つのためにアジアに来るのも非常に面倒なものがあります。  となると毎年この時期の下位選手の動向は二通りに分かれます。アジアシーズンに参戦し、後半2週間は厳しい戦いになるのを覚悟の上で挑戦するパターン。そしてもう一つが、欧米に残ってチャレンジャーに参戦し3週間後のインドアシーズンに移動なしで臨むというパターンなのです。  欧米選手で前者を選んだのは楽天参戦選手だとヤング、ドティグ、ベッカーなどがこれに当たります。そして後者を選んだ選手は、ゴフィン、クエリー、そして70~90位台の多くの選手がこれに当たります。ここを見ると各選手の今週の参戦大会がわかります。するとCHに参戦するトップ100が多くいる一方で、100位台の欧米選手でも果敢に北京や日本に予選から挑んでいるケースもあるのがわかると思います。どちらを選んで参戦するのも完全に選手の自由なのですが、下位大会に参戦してまでアジアに来てくれないのはちょっと寂しいですよね。  参考までに先週のCH優勝者をチェックしてみましょう(CH大会一覧はここから)。コールシュライバーが敗れたオルレアンではスタコフスキーが優勝し、今週のランキングを18ランクアップさせて72位となりました。オルレアンでは準優勝も先のデビスカップで大活躍したベルッチでした(11ランクアップして68位)。最初に触れたようにアメリカではクエリーが優勝し、やはり今週のランキングを7つ上昇させて今年の1月以来となるトップ50に帰ってきました。モロッコでも当時世界ランク70位のラモスが優勝を狙いましたが決勝で敗れています(4ランクアップ)。コロンビアでは全米で3回戦まで進んだ遅咲きの34歳、エストレラが登場し見事優勝(10ランクアップ)。  今週はベルッチ、クエリー、エストレラが引き続き参戦して更なる順位上昇を狙うほか、2週間前のATPメス大会でツアー2勝目を飾った世界ランク31位のゴフィンが地元ベルギー・モンスの大会に出場します。  下部大会とは言っても優勝すれば大会のグレードによって80~125P入ります。オルレアンやモンスは一番上の125P大会なのでトップ選手が参戦してもしっかりポイントになるのです。そうなるとCH参戦者が相当数出るのは自然の流れなのかもしれません。しかしトップ100の選手達はたとえ下位の選手であろうとも皆高い実力は持っています、番狂わせだって起こるのです。今回の楽天OPのような大荒れの大会では、リスクを冒してまでアジアに来てくれた選手が報われる展開もあり得るのではないでしょうか