錦織圭を語るに避けて通ることのできない試合があります。全米オープン2016QF、錦織対するマレー戦です。マイケル・チャンに言わせると2014年全米SFのジョコビッチ戦をベスト試合にあげています。このー戦はベストの試合ではないかもしれませんが錦織が覚醒以降、苦悩の中から、その先へ、可能性を感じさせる試合であったと今でも思っています。 2016年シーズンはジョコビッチの全盛期であり「一強時代」と言われていました。ジョコビッチは2015年シーズンに全豪、WB、全米をとりIW、マイアミ、モンテカルロ、ローマ、上海、パリをとり他を寄せ付けない強さを見せていました。そして2016年にはいってもその強さに揺るぎないものを感じさせていました。全豪をとり、IW、マイアミ、マドリードをとり遂には全仏をとりキャリアグランドスラムを達成したのでした。このままジョコビッチは2016年シーズンを駆け抜けてしまうものと誰もが疑いの余地を与えない目で受けとめていました。しかし、そのジョコビッチの背をじわりじわり追う選手がいました。アンディー・マレーです。全豪はジョコビッチにストレートで敗退するも準優勝、マドリードでもジョコビッチに敗退し準優勝としたもののローマで優勝、そして全仏では決勝でジョコビッチとまたしても対戦するも準優勝に終わりジョコビッチの壁をなかなか越えることが出来ずにいました。しかし、マレーはここから後半戦にかけて怒涛の追い上げを見せます。WBを優勝、リオ五輪ではSFで錦織に勝利し優勝しこの時点ではランキンギグ2位ながら事実上最強の選手と言われるまでになっていました。そんな中での全米QF、マレーが優位と言われたのも当然のことでした。 錦織のそこに至るまでの経歴です。錦織は2014年に覚醒しました。2014年全豪R16では敗はしたもののナダルに善戦します。バルセロナで優勝し更に、マドリード決勝ではそのナダルをマスターズ大会初制覇するあと一歩のところまで追い込みました。そして全米準優勝、東京、クアラルンプールで優勝、初のツアー・ファイナルズ出場としたのです。この時ランキンギグは5位でした。 2015年シーズンはMS・GS初制覇を世代交代を期待されました。ビッグ4超えです。しかし、錦織は研究されました。いわゆる錦織包囲網です。錦織のテニススタイルはベースラインをキープし前に出てライジング等により相手に時間を与えない創造性豊かな早い攻撃的なテニスです。この錦織の前に出るテニスを封鎖しようとボディを狙われます。また、錦織の2ndを叩かれます。錦織はこの包囲網を脱するのに1シーズンの時間を必要としました。この年、前年準優勝とした全米は初戦敗退となりました。 そして2016年シーズンに突入します。錦織の前に大きな壁が行方を阻みます。絶対王者であるジョコビッチです。このシーズンを象徴する試合が全豪QFです。錦織は攻撃的なテニスでジョコビッチに臨み善戦します。しかし、錦織はミスをします。この時、錦織は気付きます。ミスをしては勝てないことをです。その後も錦織の行く手をことごとくジョコビッチが阻みます。マイアミ決勝、マドリードSF、ローマSF、このローマで遂に錦織はUE数でジョコビッチに並びウイナー数で勝りました。1ポイントのみジョコビッチが勝り僅かに手が届きませんでした。錦織は近づいてきた様に思えました。忘れてはならないのが「筋肉が切れてもいいから闘う」と発したWB4回戦で脇腹を痛めて棄権したことです。カナダは出場さえ心配されました。それでも決勝まで勝ち上がりました。しかし、再びジョコビッチに完敗、続くリオ五輪SFでマレーに完敗。こうした中で、転機となった試合があります。リオ五輪3位決定戦のナダル戦です。この頃までは錦織に攻め急ぎが見られました。サービスからの3打目ミス、フォアハンドの逆クロスがサイドアウトするのです。しかし、このナダル戦ではUEを抑えました。自身のマインドを抑えることが、メンタルの強化を図ることができた様に感じました。そして、全米QFマレー戦を迎えるのです。 第2セットを錦織が奪った瞬間です。コート上では錦織が控え目に冷静に拳を縦に揺らします。 26歳となった錦織にとって勝負のシーズンと位置づけて応援してきました。しかも26歳最後のGSとあって錦織への応援マインドは絶頂に達していました。直前の記事については皆さまから多くのご批判を頂きました。しかし、どうしても越えなければならないビッグ4の厚い壁、その為にはそれまでの錦織のテニスに変革が必要と考えたのです。 この1勝は単なる1勝ではないと思っています。キャリアに大きく影響を与える1勝となることを期待しています。この試合を何度も何度も観なおしました。おそらく錦織ファンの中で最も観戦していると自負できるくらいです。最後にこの試合を振り返らせて下さい。 いよいよ第1セット第1ゲームが始まりました。重要な立ち上がり錦織は理想の展開をしてくれました。強打ではなく振り切るフォアハンドを混じえ40ー0といきなりブレイクチャンスを握ります。しかし、ここから課題となるマインド制御をすることができなかったようです。ミスがでるなどしチャンスを活かすことができませんでした。続く第3ゲームのマレーのサービスゲーム、想定内の戦略、215km戦後のサービスを叩き込みサービスゲームをキープします。錦織にペースを譲らないことが重要。ここからマレーの思惑どおりのペースとなります。錦織はその後もミスがでてブレイクを許し第1セットは1ー6で落とします。 第2セットも錦織はブレイクを先取されます。第1セットを錦織は良いところなく奪われ、このまま最強の選手にさらわれてしまう危機感を感じました。しかし、錦織はここまでに培ってきた決して諦めない強いメンタルを感じさせてくれました。続く第4ゲーム、マレーのフォアハンド側に集めすぐさまブレイクバックします。雨による中断で開閉式の屋根が閉じられます。40ー30からの再開後はサービスゲームではポイントを与えることなくゲームカウント錦織の5ー4。その瞬間が近づいてきます。 マレーのサービスポイントで0ー15、ここから錦織のリターンが冴え渡ります。2ndサービスがベースライン上に位置する錦織のバックハンド側へ、錦織はストレートにサイドラインぎりぎりにリターン、マレーはこれをよくも錦織のセンターへ返球。錦織はこれをフォアハンド逆クロスへ、マレーはどうにかロブで返す。これを錦織がマレーのフォアハンド側へスマッシュ。しかし、マレーはまともや返球、錦織はこれをフォアハンドボレー、これもマレーは返し、最後はバックハンドボレーで決め15ー15。マレーのサービスポイントで15ー30。2ndサービスがベースライン上の錦織のバックハンド側へ、これを力みなくリターンエースで30ー30。デュースコートから1stワイドサービスを錦織はマレーのフォアハンド側へ深くリターン、錦織はマレーのセンター付近にフォアハンドを集めるラリーに(この展開が素晴らしい)マレーのフォアハンドがネットにかけて30ー40。気がつくとセットポイント。マレーの2nd、今度はベースラインより下がりリターン、ここから錦織は縦に縦にラリーを展開。マレーのバックハンドが虚しくネットにかかります。このセットを落とすことが出来ないという陣営の熱い想いと錦織のマインド制御による理想のテニスとが弾けます。よくも逆境より取り返しました。凄い。 1セットづつを取り合った両者の第3セットは駆け引きとペース争いが交錯するシーソーゲームとなります。第2セットをとり錦織のリズムあるテニスに雑さがみられ第1ゲームを奪われます。《 錦織のテニスは既に十分トップレベルにあります。課題は制御、メンタルサイドです。》しかし、直ぐにバックハンドの鋭角クロスでブレイクバックに成功します。(この攻防も見応えありました)ここから、マレーの真骨頂である心理的な戦術、ガッツポーズを錦織に掲げたり、声を発するなどし錦織に揺さぶりをかけます。そして、第7ゲームにブレイクを奪ったマレーは続く重要なサービスゲームを1st をきめるなど40ー0としますが、ここから巻き返した錦織は再びブレイクバックします。しかし、続く第9ゲームはバックハンドのジャックナイフが飛び出すものの制御が出来ずにミスがでるなどし落とした錦織はセットカウント1ー2とします。(このセットは5つのセットの内、錦織ファンとしては退屈なものであったかもしれませんが、互いにしのぎを削る、両陣営の顔の歪む興味深い内容であったと思います。) 第4セットは「爆音」と「蛾」です。 第3ゲーム、マレーがブレイクチャンスを握った際に場内に爆音が響きわたりリプレーとなります。アーサー・アッシュ・スタジアムには開閉式の屋根が設置されたばかりであり、この試合中に2度炸裂しました。また、屋根が閉鎖されると観客の話声などが増幅されることについてマレーは提起していたと言います。これらが重なり集中力を欠いたとは言えそうですが条件は同じです。しかし、錦織にとっては厳しい局面でした。フォアハンドラリーで落とし、マレーのバックハンド側中央付近に切り替えてのラリーで落とし、マレーに振り回されて落とし、そのマレーペースのラリー中での爆音、ブレイクを奪えば勝利を大きく引き寄せることとなる場面、マレーの心情を察することもできます。原因は解明改善されたのでしょうか。第4ゲーム、マレーの前を蛾が舞い始めネットにかけます。このセット中蛾はネット付近をさ迷います。なぜ蛾はネットから脱出できないのでしょうか。マレーがこの蛾によって集中力を欠いたと言うわけではないのですが、それを象徴するかのように映りました。 それでも流石にマレーは錦織のフォアハンドラリーに打ち負けずに対応してきました。(各局面で求められる要素を把握出来ます)一方の錦織は粘り強く冷静な展開によりこのセットを6ー1としました。錦織のUE数は4でした。 奥様のキムさんはいつも献身的な応援をします。 シーズンを通じてマレーのコーチとして費やすジェイミー・デルガドコーチはマレーの大きな支えとなっています。逆境の場面では苛立ち?を隠せません。 いよいよ、勝負を決するファイナルセットに突入します。 錦織は前半はマレーのバックハンド側へ球を集めましたが後半は戦略を変更しました。マレーのフォアハンド側へ球を集めます。同時に角度をつけずにストレートに展開しようとします。その中で決めのショットがフォアハンドのクロス。しかもサービスラインの内側に入れ逃げていくショットです。このショットはトップスピンが必要であり錦織の強さの一つでもあります。マレーのサービスゲームから始まる第1ゲーム、このショットでウイナーを決めブレイクチャンスを握ります。マレーの1stをフォアハンド側へリターンします。そしてフォアハンドラリーに展開しマレーはネットにかけブレイクを奪います。 フォアハンドの打合いは錦織が勝っています。フォアハンドの展開についてはバックハンドラリーからバックハンドをストレートに放ちフォアハンドラリーへと切り替えます。このショットが見事に効果を上げます。 第2ゲーム、錦織のサーブ&ボレーが見事に決まりマイケル・チャンは満足そうな表情をみせます。 ここでまたもやマレーが声を発して錦織に心理的攻撃のジャブを放ち第4ゲームの錦織の1stサービスを待ちます。マレーのリターンに対して錦織のバックハンドがサイドアウトし「LET’S GO」で錦織を揺さぶり自身を鼓舞します。錦織はフォアハンドを3連続ロングしラケットを投げ捨てます。ゲームカウント2ー2です。 続く第5ゲーム、フォアハンド側への戦略を読まれているとみたのかバックハンドのラリーへ、これを錦織はネットにかけます。続いてマレーの1stをフォアハンド側へ錦織のフォアハンド側への球を錦織はストレートに強打。これがロング。錦織の悪いパターンです。錦織のミスが重なります。ここでまたマレーのフォアハンド側へのリターン。マレーは錦織のバックハンド側へ振りますが、バックハンドをストレートへ逆をつき返しをドロップショット。お見事、この状況で冷静です。今度はリターンをバックハンド側へ返しは錦織のバックハンド側へ、錦織はこれを回り込みフォアハンドのクロスを放つがサイドアウトし顔を歪めます。このアドコートからのフォアハンドクロスまたはストレートは改善しているものの錦織の課題です。 錦織の強さはキレのある創造性豊かな時間を奪うスピード感のあるテニスです。しかし、それを過ぎると、ポイントを奪ることに焦ると力みがでて軸やタイミングにズレがでる傾向があるものと見ています。これらを排除したときにトップがみえてくるのではないかと思います。 マレーの40ー15。ここからです。ワイドの1stを見事にリターンエース。ここでまた魅せます。ラリーよりバックハンドをストレートへ、返球をサービスラインの内側に入る鮮やかなフォアハンドのクロスウイナーとし40ー40。マレーのDF。そしてこの場面です。縦へのラリーよりマレーは錦織のバックハンドへ、そしてでます。錦織渾身のバックハンドDTLウイナー。 ゲームカウント錦織の4ー3で迎えた第8ゲーム、このサービスゲームをキープすることの重要性は明白であり錦織はサービスポイントなどで40ー0とします。しかし、勝利が見えてきたのか足が動かずネットにかけるミス、サービス&ボレーでミス。冷静さを欠き結局このセットを落としてしまいゲームカウントを4ー4とします。錦織はこの場面を「反省は試合の後にして、出来ることを頑張ろうと思った」と語っています。 マレーにとってはブレイクバック後の重要なサービスゲーム、錦織にとっては40ー0からサービスゲームを落とした後の気持ちを立て直すべく挑むリターンゲーム。ここから奪った者がこの試合に王手をかける落とせないゲームになります。慎重かつ積極性も求められる難しい局面に突入となります。ここで錦織はネットをとるなど攻撃的にでるもののマレーのサービスが要所できまりマレーはサービスゲームをキープしゲームカウントをマレーの5ー4とします。 錦織が先行し優位にすすめていたように思えましたが気づくとこのゲームを落とせばマレーが勝利することになり錦織に最大級の重圧がかかります。私はこの試合で最も注目し錦織の凄みを感じたゲームがこの第10ゲームにあり勝因であったのかもしれません。1stをバックハンド側へサービスポイント。ボディにサービスポイント。センター付近のリターンをドロップショット、返球を冷静にロブで決める。マレーがネットにかける。錦織は集中していました。なんとこの場面をラブゲームキープとしました。 第11ゲーム、マレーに緊張感を感じます。ラリーから錦織のフォアハンドクロスがサイドアウト0ー15。マレーのフォアハンド逆クロスがサイドアウト、15ー15。この局面、錦織はフォアハンド側ではなくマレーのバックハンド側ボディ付近に球を集めます。マレーがネットにかけます。錦織のフォアハンドがネットにかかった球をマレーはフォアハンド、返せません。30ー30。ここでマレーは痛恨のDF。マレーの2ndを錦織は叩きます。返球を錦織はドロップショット。返ってきた球を錦織のボレーが宙を舞いコート内に落ちます。マレーは球の軌道を見届けたあとラケットをネットに叩きつけます。 いよいよ錦織のサービングフォーザマッチ。最初のポイントが欲しい錦織の2ndワイドサービスはサイドラインを僅かにわりDF。マレーのバックハンドスライスがロングし15ー15。錦織のボディへの1stをマレーがネットにかけ30ー15。錦織の2ndをマレーが強打するもバックアウト。錦織のマッチポイント。時計の針は3:57。錦織の2ndをマレーがフォアハンド側へ強打。これを錦織は腕を使いクロスに返球。マレーは錦織のフォアハンド側へ、これを錦織はストレートに、マレーのバックハンドはこれをクロスとせずをストレートに、錦織はフォアハンドをクロスに、返球をフォアハンドクロスを鋭角に振り切り、マレーはどうにか返球、これを錦織はフォアハンドの逆クロス、マレーはネットにかけます。 2017年シーズンの錦織のベストマッチは意見は別れているようですが全豪4回戦のフェデラー戦をあげます。特に第4セット。第1セットは錦織が奪ったものの、第2セット、第3セットをフェデラーが奪り、しかも第3セットはゲームカウント1ー6と完全なるフェデラーペースであったところから奪い返したのです。第4ゲームの攻防は見応えがありました。このセットの錦織のUE数は3でした。ウイナー狙いではなくフェデラーの軸を崩し左右に振り、決して諦めないメンタルとマインド制御を可能とした見事な展開を見せてくれました。 この試合はマレー戦との共通性を感じます。マレー戦の第1セットはマレーが6ー1と奪い場内には最強の選手を前に錦織はなす術がないとの会場の雰囲気を感じました。しかし、ここから錦織はひっくり返した試合でした。フェデラーが2017年シーズンの飛躍について転機となる試合として錦織戦をあげています。左臀部あたりの負傷がなければ錦織は奪っていても何ら不思議ではなかったものと思います。確かにあの試合を落としていれば今季のフェデラーはなかったかもしれません。試合後の安堵に満ちたフェデラーの無邪気な喜びようは自然に表現されたものと感じました。 ナダルとフェデラーの復活とツアーの席巻が2017年シーズンを物語っていると思います。両雄は長期離脱から調整し今期に臨みました。この調整ですが、両雄ともあるイメージを抱いていたのだと思います。自身の100%のテニスであり勝つためのテニスです。来季は30歳のマレーとジョコビッチが戻ってきます。この二人もナダルとフェデラーと同様に調整してくるはずです。 ビッグ4には形があります。ナダルはヘビースピンのかかったショットの威力により相手のミスを誘い、粘り強く球を拾い隙あらばウイナーを叩き込むテニス。フェデラーは精度の高いサービスをきめ、早くリズムのある攻撃的なテニス。ジョコビッチは攻守一体となった精度と威力のあるストロークで相手を追い詰めるテニス。マレーは安定したフットワークからミスの少ない粘りのあるストロークで相手を追い詰め決して諦めないテニス。それでは錦織の目指すべきテニスとはどのようなものでしょうか。その答えが全米QFマレー戦にあると思うのです。 「ビッグ4にはまだ敵わない」とジョコビッチが言及したことが脳裏から離れませんでした。2014年シーズンの錦織覚醒したときのことであったと記憶しています。その予言は現実のものとなりました。2015年の錦織包囲網、2016年のミスからの脱却。しかし、彼らから「錦織は経験を積んできた。」というコメントを聞くことができるようになりました。錦織は進化してきたのです。ビッグ4も錦織の進化と実力を認めてきているのと同時に警戒をしてきているように感じます。この錦織の進化とはテニススタイルの変化ではないかと思うのです。 A・ズベレフ、ティエム、シャポバロフらには強打があります。この攻撃的なテニス、強みがなければトップには這い上がることはできないでしょう。しかし、その上となるとミスをしていては達成できません。このプロセスは錦織も同様です。錦織にはキレのあるフォアハンド、バックハンドのDTL、スピードと創造性豊かな展開力という武器があります。しかしミスがでます。錦織の全米QFマレー戦の第4セットのUE数は4です。全豪フェデラー戦第4セットのUE数はあれだけのラリーを繰り広げたにもかかわらずUE数は3でした。ウイナー数はそれぞれ7と8です。錦織の目指すべきテニスとは、イメージすべきテニスとはここにあると思うのです。 錦織の状況は分かりません。ブリスベンから再始動するのか、シドニーに出場するのかも分かりません。全豪に出場出来るかも分かりません。しかし、焦ってはなりません。100%の状態で戻ってきて欲しいと思います。「錦織の第3章」は最後のチャンスです。マイケル・チャンは「圭の時代がやってくる」と一度は言いのけました。おそらく陣営は変わらぬ想いを抱いているのだと思います。錦織がそこを目指すのであれば完全応援します。結果は問いません。MS優勝、GS優勝を果たせなくてもよいと思っています。そのときはその時に考えればよいと思います。半端ではなく後悔することなく完全燃焼して欲しい、目指すところを夢を諦めず最後まで追い続けて欲しい。ただそれだけを願っています。 2018年シーズンは31歳ナダルと36歳フェデラーは勢を継続できるのか、30歳のマレーとジョコビッチが復活できるのか、ディミトロフ、ズベレフ、ティエム、ゴファン、チリッチらは更なる進化を見せてくれるのか、シャポバロフ、ルブレフ、チョンヒョンら若手の更なる突き上げが見られるのか等、世代間闘争が絡みあい展開の予測がつかない要素と期待が交錯するように思えます。このような中、日本のテニス界をここまで底上げしてきた28歳となる錦織は大いなる期待を背負い、どのように立ち向かって行ってくれるのでしょうか。 「錦織の第3章」がはじまろうとしています。 スポーツナビ+(ブログ)が終了します。この横断的に読者と双方向で意見交換ができる素晴らしい場を提供頂いた事務局様には感謝致します。当初は終了撤回を提議しようとまで考えていましたが、時は流れます。至福のときはいつまでもそこにあるものではないことを分かっているつもりです。いつかは必ず卒業するときがきます。このブログにお付き合い頂いた皆様がた、ご支持頂いた皆様がた、ご意見を頂いた皆様がた、ご批判を頂いた皆様がた、ありがとうございました。心より感謝致します。これが私の最後の記事となります。しかし、ツアーは続きます。今後も錦織を、日本の選手たちを、全力で挑む選手たちを応援していきたいと思います。