ATPファイナルズ、セミファイナル、フェデラーvsゴファン。今大会、この試合が最もセンセーショナル出来事でした。この試合のゴファンは、キレていました。膝の状態は、ほぼ問題無いと本人は言っていましたが、100%ではないと思っていました。しかし、、 第1セット、フェデラーが2ブレーク、6−2で取り、やはりこの対戦は一方的に終わるかなと思わせる内容でした。フェデラーのらしくないミスが少しありましたが、勝敗に影響するほどの事は無いと、、 ところが2セット以降のゴファンは、素晴らしかった。フェデラーの厳しいボールに対して、ゴファンの返球は甘く入ることがほとんど無く、相手コート深くにコントロールされたボールを返して行きます。フェデラーは、予想以上に厳しい相手のプレイスメントに手こずりました。そんなボールをネットにかけるシーンが何度となくありました。 第3セットでしたか、フェデラーがスライスでゴファンの左側に厳しいコースへ打ち込みネットに詰めますが、ゴファンはこれをギリギリのバックハンドでストレートにオンザライン!このショットも凄かった。今回のゴファンはこんな素晴らしいショットが何度もありました(感覚ですが)。ゴファンは、キレていました。フェデラーが相手という事もあり、緊張感や何かを変えようとする気持ちが極限までに達し、そんなプレーが出来たのでは無いでしょうか? 戦前は、フェデラーを相手にどうすればいいか分からないといった弱気な発言も出ていましたが、なんのなんの、あれよあれよと好プレーを続け、勝利してしまいました。 ブレーク数/ブレークポイント(BP)数 フェデラー:2/11 ゴファン :2/3 サービス/リターン ポイント率 フェデラー:68%/33% ゴファン :67%/32% トータルポイント率 フェデラー:49% ゴファン :51% サービスもリターンゲームもフェデラーの方がポイント率は高いのにトータルポイントはゴファンが上回るという、不思議な、僅差の試合でした。 BPの数が物語る様に全体的にはフェデラーが押しながら、大事なポイントを逃す機会が少し多く、ゴファンは、第2、第3セット、少ないチャンスをものにしたという内容だった様です。 ゴファンは、こんな試合展開の中、とうとう1ブレークアップでサービングフォーザセット(SFS)まで漕ぎつけ、マッチポイントを決めてしまいます。勝利を掴んだ時の表情!皆さんも見ましたよね。勝っちゃった、、。信じられない!そんな感じに見えました。テニス人生の大きなターニングポイントになるのでしょうか。 私にとって、ゴファンは、とても好きなプレーヤーです。しかし、今回はフェデラーに勝って欲しかった。今回の大会だけは、フェデラー以外のプレーヤーではなく、フェデラーにタイトルを取って欲しかったですね。ナダルでもなく他の6人の誰かがこのタイトルを取るというのは、私には受け入れ難い、という気持ちでいました。 しかし、ゴファンが勝ち、そのゴファンに接戦の末、勝利したデミトロフが、ナダルも手にしていない大きなタイトルを勝ち取りました。 錦織選手が持っていなMS・ATPファイナルズのタイトルホルダーになってしまいました。 2014年、錦織・ラオニッチらと共に次の世代を担う若手の1人としてトップ10入りを果たしました。しかしその後、デミトロフは下位に低迷し、錦織・ラオニッチがビッグ4+ワウリンカがいる中、GS・MSのファイナリスト、ランキング4位、ラオニッチは3位まで上げ奮闘して来ました。昨年までの3年間は、この7人がツアーのトップを形成して来ました。 この7人は満身創痍の中闘って来ました。そして昨年、先ずフェデラー・ナダルが離脱、今年はその2人が戻って来ましたが、残りの5人が離脱、今年復活した2人も最後の最後は故障や疲労を抱え万全でいる事は出来ない。そんな、状況の中での最終戦になりました。 この時期を逃すプレーヤーが何人もいる中、デミトロフは機を逃さず掴みとりました。 今のツアーの仕組みである以上、テニスは、全ての試合を勝ちに行く、全ての大会で優勝を目指すというスタイルで戦い抜く事は出来ません。 そんな中、たまたまかも知れませんが、今年の様なツアーのターニングポイントに満を持して結果を出したデミトロフを讃えるしかありません。デミトロフ、おめでとう! 錦織、ラオニッチにとっては、巡り合わせが悪かったという事ですが、これも現実です。ビッグ4より若い2人には、この様な状況がいつか来る(いつかは分からないが)事は分かっていた訳です。それが今年来ましたが、自分たちも同じ様に故障を発生させ、その機を逃してしまいました。両チーム共に今年の事は反省点となり、次に生かすポイントとしている事でしょう。 しかし来期は、ジョコビッチ、マレー、ワウリンカ達がコンディションを取り戻して出て来ます。それに下からの突き上げもさらに激しいものになり、今年以上にレベルの高い厳しいツアー状況になって行くでしょう。 悪循環??それとも、来期こそ彼らを乗り越えて行く年!錦織選手は既にラケットを握り乱打を始めています。動画を見る限り普通に見えますが、100%の力で打つ事は未だしていないでしょう。来期は12月31日のブリスベンからの参戦を決めていますが、手首の状態が100%まで戻るのか、途中で再発させる事が無いように祈るばかりです。