Nitto ATP ファイナルズ決勝、ディミトロフがゴファンに7ー5、4ー6、6ー3で勝利し初制覇を飾りシンシナティMSを含めて今季4勝目をあげました。 両者の対戦成績はこれでディミトロフの5勝1敗となりました。今季5戦目でした。 RRではディミトロフは3戦3勝、SFはソックを逆転勝利し勝ち上がり、ゴファンはRRでディミトロフに敗退するもナダル、ティエムに勝利し決勝ラウンドに進出、SFではフェデラーを逆転勝利し決勝に進出してきました。 RRでは0ー6、2ー6の完敗であったゴファンがどのような戦略で臨むのかに注目していましたが、その戦略は明確でした。ディミトロフより先に仕掛ける攻撃的テニスです。一定のミスも許容しました。この戦略は立ち上がりから効果をあげます。ディミトロフからはじまるサービスゲーム、いきなりフォアハンドウイナーをとりディミトロフのミスも誘いブレイクを奪います。しかし、ディミトロフもこの攻撃的なテニスに応戦し続く第2ゲームにブレイクバックします。ゴファンにミスがでます。しかし、第3ゲームに再度ブレイクしますが、第12ゲーム、ゴファンのアドバンテージから、1st が入らずDFに続き、やや無理のある回り込みフォアハンドによるミス2つでブレイクされゴファンは第1セットを落とします。 第1セットの1st 確率と1st ポイント獲得率と2ndポイント獲得率です。 ディミトロフ:69ー70ー25 ゴファン :42ー79ー31 ご覧の通り両者とも2ndでポイントが取れずに1st が重要となりました。よって2ndの場面では緊張感が漂います。第11ゲームではディミトロフが2つのDFをだすもディミトロフが凌ぎ、逆に言えばゴファンが取りきれず、第12ゲームにゴファンは1st が入らずに落とした形です。 この流れは第2セットにも流れをひきます。ゴファンのサービスにキレがでてきます。サービスエースは毎回の7つとし1st ポイント獲得率は93%、サービスもショットも冴えてウイナー数は16UE数は6(第1セットは20)一方のディミトロフは第7ゲームにまたしてもDFを2つ出し、今度はブレイクを奪われてワンセットオールとします。 第3セット、ゴファンのチャンスと敗因があるとすれば2つです。 第2セットのゴファンペースの流れで、ディミトロフのサービスゲームから始まる第1ゲーム、ディミトロフのDF、ゴファンのリターンエース等で40ー15のブレイクチャンスが訪れます。この後ディミトロフのサービスポイントもあり5度のディユースとなりましたがゴファンの雑さがややでてミスがでて取りきれなかったこと。 もう一つはゴファンの今季3度目の悲劇です。 第6ゲーム、ゴファンの30ー0で問題の場面がおこります。ゴファンがサービスに入る際に観客から声がでます。この影響があったのかゴファンはDFとしこのゲームをブレイクされます。そして、ゴファンの次のサービスゲームである第8ゲーム、ゴファンがサービスに入る際に、またしても観客から声がでます。今季最終戦に相応しい攻防が繰り広げられる中、大変残念です。思いだすと怒りを抑えられなくなります。それでもゴファンは紳士的に振る舞います。ゴファンにはあの疑惑の判定ほどの渾身の怒りの表情をだすこともなく試合に集中していました。 ファイナルセットはこのブレイクを守りきったディミトロフがとり見事にファイナルズ初制覇を果たしました。 繰り返しになりますが、ファイナルズ決勝に相応しい内容のある試合でした。観戦していて面白いと言える緊張感のある内容でした。 勝敗を分けた要因は、わずかな集中力と精度の差であったと思います。セット毎のポイント内訳です。ウイナー数+相手のFE数+相手のUE数です。第3セットは手集計なので参考にして下さい。 〈第1セット〉 ディミトロフ: 6+18+20=44 ゴファン :14+12+14=40 〈第2セット〉 ディミトロフ: 7+10+6=23 ゴファン :16+ 6+9=31 〈第3セット〉 ディミトロフ:6+17+18=41 ゴファン :8+17+ 6=31 ご覧の通り、ディミトロフのUE数はセット毎に14 → 9 → 6と減少しています。この試合特に重要であった1st 確率はゴファンの50%に対してディミトロフの65%でした。 これでディミトロフはシンシナティMS勝利に続き、ナダルも取ったことのないビッグタイトルを手中に収めました。しかも、全勝の1500ポイントを獲得し、5150ポイントとなりました。後半戦の2500ポイントは大きく、来季前半戦の活躍如何によっては更に上を期待できます。5月に27歳となるディミトロフにとっては勝負をかけた闘いとなるでしょう。ゴファンも3775ポイントとなりワウリンカを抜きランキング7位となります。 これで今季のツアーは終了しました。GSはフェデラーとナダルが2タイトルを分け合い、ナダルがランキング1位、フェデラーがランキング2位と復活劇からツアーを牽引しました。 マスターズ大会はフェデラーが、IWとマイアミと上海の3勝、ナダルがモンテカルロとマドリードの2勝、ズベレフがローマとカナダの2勝、ソックがパリ1勝、ディミトロフがシンシナティとファイナルズの2勝でした。ファイナルズを含めたマスターズ10大会のうちビッグ4以外の選手が半分の5大会を勝利したことになりました。 マレー、ジョコビッチ、ワウリンカ、錦織、ラオニッチ、モンフィス達の離脱によりツアーに焦燥感も感じましたが、2強に加えて ズベレフ、シャポバロフ、ルブレフ達のNEXT GENの活躍、シュワルツマンやマナリノ達の中堅選手の活躍もインパクトを与えました。 日本勢では西岡と錦織の長期離脱という、とんでもない衝撃の中、杉田の躍動が日本テニス界を救ってくれました。杉田は背中の腫瘍摘出手術は無事終了したとの報告もありましたし、西岡と錦織の練習を再開する映像も見ることができ、来季はこの3選手が揃って躍動する姿を期待したいと思います。 改めてテニスは素晴らしいです。デ杯決勝は残るものの、1シーズンをかけて全力でテニスに打ち込んできた選手の皆さん、お疲れ様でした。可能なかぎり身体を休めて欲しいと思います。 観戦してきたテニスファンの皆様もお疲れ様でした。来季と言っても直ぐそこです。来季こそは期待が夢が現実になるよう、引き続き応援していきたいと思います。