2017年シーズンは、ランキングNO1はマレー、2位はジョコビッチの2強にフェデラー、マレーが復帰した格好で始まりました。当初はおそらく2強がツアーを引き続き牽引していくものと思われました。全豪前哨戦であるカタールでは早速この2強が決勝で激突しました。しかし、全豪ではジョコビッチは2回戦でイストミンに敗退、マレーは4回戦でM・ズベレフに敗退するという展開になり、錦織にも初制覇に向け優位な状況とも言われました。しかし、4回戦でフェデラーと対戦し善戦はしたものの敗退。決勝はフェデラーとナダルの激闘を制したフェデラーが5年ぶりのGS優勝を果たし、フェデラーとナダルの復活を印象付けました。フェデラーは続くIW、マイアミも制し、ナダルはバルセロナ、モンテカルロ、マドリード、全仏を制して両者の完全復活を証明したのです。この頃からNO1への返り咲きが注目されるようになりました。WBではフェデラーがGS2勝目をあげ、全米を前にしてナダルがNO1返り咲きを果たし全米で今季GS2勝目とフェデラーとGSを2勝づつ分け合いました。 一方のマレーとジョコビッチは怪我等の不調により両者ともWBを最後に今季のツアーを離脱することになりました。今季ランキング3位始動のラオニッチは全豪QF、全仏4回戦、WBはQFでしたが東京を最後に離脱、ランキング4位のワウリンカは全豪SF、IW準優勝、ジュネーブ優勝、全仏準優勝とまずまずの内容でしたがジョコビッチとマレー同様にWBを最後にツアーを離脱、ランキング5位の錦織はカナダMSを最後に離脱、ランキング7位のモンフィスは全米を最後に離脱とトップ10選手の1位から5位、7位がツアーを離脱するという異常事態が発生したというのが今シーズンの大半を物語っています。その中でフェデラーとナダルが牽引、そしてA・ズベレフがローマ、カナダのマスターズ2大会を勝利、シンシナティをディミトロフ、パリをソックがマスターズ大会を勝利し、ビッグ4以外がマスターズ大会4大会を勝利するというのは2008年ビッグ4が結成されて以来初のことでした。(2005年以来)そんな中でNEXT GENの活躍がツアーにインパクトを与えました。ルブレフ、シャポバロフ、カチャノフ、チョン・ヒョン等です。NEXT GEN ATP FINALSでは全仏で錦織が苦戦したチョン・ヒョンが勝利しました。 忘れてはならないのがデルポトロの活躍です。手首の怪我により復調してきてランキング11位まで戻してきました。今季38位から始まったこともありジョコビッチと3回、マレーと1回、フェデラーと4回、ナダルと1回、ビッグ4と9回対戦し1勝のみ、特に前半戦はドロー運に恵まれず早期敗退が目立ちました。29歳になったデルポトロも来季は勝負の年となります。シード8を早めに確保したいところです。中堅ではシュワルツマンと杉田の因縁の相手マナリノの活躍もツアーにインパクトを与えてくれました。来季も期待できます。 日本選手では西岡の膝の怪我、錦織の手首の怪我による離脱は想定を超える反応がありました。日本におけるテニス人気が大きく後退したように受け止めています。スーパースターである錦織の存在が国内テニス人気を大きく牽引していたことに改めて感じさせられました。そんな中で杉田の躍動が救ってくれました。ランキング112位より36位までランキングをあげ飛躍の年となり日本テニス界の底上げを感じさせてくれました。高橋悠介や綿貫陽介、ダブルスでは内山靖崇・マクラクラン・ベン組が東京で見事勝利するという偉業を果たすなど今後の活躍に期待を持てます。 そして迎える今季最終戦ATPファイナルズ。 まずは現役選手の優勝回数です。数字は優勝したシーズンの最終ランキングです。 フェデラー :6回 ②①①①②③  ジョコビッチ:5回 ③①②①① マレー   :1回 ① ナダルは未だこのビッグタイトルを手にしていません。ナダルはランキング1位で3回終えていますがその*季のファイナルズ優勝はフェデラーが1回、ジョコビッチが2回です。最終ランキング1位が既に確定しているナダルとしては今季こそ初のタイトルを手中に収めたいところですが痛めている膝の状況が万全ではないようです。GS16回、MS30回もの優勝しているナダルがファイナルズ優勝をしていないことの方が不思議に思えますが、理由の一つにハードコートであることがありそうです。さらにサーフェイスが早いことも一因していそうです。過去のサーフェイスの状態は分かりませんが2016年マスターズ大会のCORT PACE INDEXをみます。 IW     :30.0 マイアミ   :33.1 モンテカルロ:23.7 マドリード :22.5 ローマ   :24.0 トロント  :35.2 シンシナティ:35.1 上海    :44.1 パリ    :39.1 ロンドン  :40.6 ご覧の通り上海の次に早いことになります。これは6回優勝のフェデラーにとっては有利と言えそうです。2012年に最後のGS勝利したフェデラーは今季GS2勝したように、2011年を最後にファイナルズ優勝したフェデラーは7勝目を目指していることでしょう。今季のファイナルズ組み合わせは次の通りです。 <グループ・ピート・サンプラス> ナダル ティエム ディミトロフ ゴファン <グループ・ボリス・ベッカー> フェデラー A・ズベレフ チリッチ ソック <対戦成績> ナダル    VS ティエム  :5ー2 ナダル    VS ディミトロフ:10ー1 ナダル    VS ゴファン  :2ー0 ティエム   VS ディミトロフ:2ー1 ティエム   VS ゴファン  :3ー6 ディミトロフ VS ゴファン  :3ー1 フェデラー  VS ズベレフ:2ー2 フェデラー  VS チリッチ:7ー1 フェデラー  VS ソック :3ー0 ズベレフ   VS チリッチ:3ー1 ズベレフ   VS ソック :1ー1 チリッチ   VS ソック :0ー2 対戦成績(勝率)からみたSFのカードは次の通りになります。 ナダル   VS ズベレフ  :3ー0 フェデラー VS ディミトロフ:6ー0 ※SF出場要件 ①勝利数 ②試合出場数 ③同位が2人の場合はその2人の対戦の勝者が上位 ④3人同位の場合は、セット獲得率の高いほう、ゲーム獲得率の高いほうが上位 対戦成績からみた決勝のカードは ナダル VS フェデラー:23ー15 となれば、優勝はナダルとなるわけですが、対戦成績を確認しただけです。ご参考に。 過去3年のファイナルズの注目*点です。 2014年:錦織が初出場を果たしSF進出したこと。 2015年:絶対王者ジョコビッチとフェデラーの激闘。 2016年:マレーとジョコビッチが最終戦でランキングNO1を決したこと。 今シーズンのファイナルズへの関心は個人的には過去3年で最も低いように感じます。理由は明確です。まずは錦織が出場していないこと。ジョコビッチ、マレー、ワウリンカ、ラオニッチ等の常連選手が怪我で欠場していること。ランキング1位が確定していることによります。あえて注目する点があるとすれば、決勝でフェデラーとナダルの対戦がみられるか、ナダルが優勝できるか、フェデラーが優勝しどこまでナダルとのポイント差をつめることができるか(1640P)、フェデラー以外の選手が優勝するとなると誰が初制覇を果たすのか、フェデラーとズベレフの今季3戦目の内容、初出場選手の活躍ぶりなどでしょうか、と考えていると意外とドラマが待っているかもしれません。しっかりと観戦したいと思います。 いよいよ2017年シーズン最後の大会です。同時に、このブログの最後の大会となります。