スイス・インドアのSFで、第4シードのデルポトロが第2シードのチリッチを6ー4、6ー4のストレート勝利、第2試合では第1シードのフェデラーが第3シードのゴファンに6ー1、6ー2のストレート勝利とし、決勝のカードはフェデラーとデルポトロとの対戦となりました。 両者の対戦成績はフェデラーの17勝6敗、今季では3回の対戦でフェデラーの2勝1敗、1敗は全米QFです。フェデラーとしてはNO1への望みをかけた一戦であり、デルポトロとしてはツアー・ファイナルへ望みをかけた一戦であり、両者ともに負けられない闘いとなります。 フェデラーが勝利すれば9005ポイントとなり、10465ポイントのナダルに1460ポイント差となります。デルポトロが勝利すれば2615ポイントとなり、レースランキング9位のカレノブスタの2605ポイントを上回り2615ポイントとなりツアー・ファイナル出場可能性を現実的なものとします。(負けた場合は190ポイント差、前記事の170ポイント差は誤りでした。申し訳ございません)フェデラーに敗退したゴファンは2885ポイントとなりレースランキング9位で2605ポイントのカレノブスタに280ポイント差とし初のツアー・ファイナル出場(補欠除く)に大きく前進することになります。 デルポトロはチリッチとの対戦成績を11勝2敗とし2012年以降の8連連勝となります。この試合のウイナー数とUE数はデルポトロの12ー15、チリッチの21ー31でした。チリッチとしては早い攻撃により攻めかつ必要がありましたがミスがでます。デルポトロもミス誘発でチリッチのバックハンド側へとスライス等を集めます。チリッチはサービスゲームをキープしたいところですが1st確率は42%と低く、サービスポイントを決め、精度の高いフォアハンドを決めていく強い時のチリッチではありませんでした。 フェデラーはゴファンとの対戦成績を6戦全勝と伸ばしました。ゴファンは弱点らしい弱点はありませんが、このゴファンに対してフェデラーは時間を与えない攻撃と左右に振る早い攻撃的なテニスで圧倒します。ポイントの内訳(ウイナー数+相手のFE数+相手のUE数)は次の通りです。 フェデラー:20+37+ 9=66 ゴファン :10+18+11=39 フェデラーはウイナー数とFE数でポイントを上回っています。ゴファンはラリーを得意としていますが打ち負けています。テニススタイルが似ている錦織はフェデラーの軸を崩すことによりペースを握ることができますが、ゴファンはそれができていないようです。 エルステバンク・オープンのSFはプイユがエドモンドを6ー7、6ー4、6ー3で逆転勝利、第2試合ではツオンガがコールシュライバーを7ー6、7ー5のストレート勝利をしました。決勝のカードはプイユとツオンガのフランス勢対決となりました。両者の対戦成績はツオンガの2勝0敗です。 デルポトロとともに前大会(エステンバンクOP)で勝利し今大会に臨んだツオンガはツアー・ファイナルへの可能性を残しており今季5勝目としたいところです。 決勝相手の対戦成績からみると、デルポトロとツオンガではツオンガが有利に感じます。両者とも優勝すると2連続優勝でパリMSに突入することとなりツアー・ファイナル出場件争いは混沌としてきます。カレノブスタは全米でSF進出を果たして以降ティエム同様に元気がありません。北京、上海、クレムリンと初戦敗退、ウイーンも2回戦敗退です。 シード32争いはウイーンでSF進出したコールシュライバーが抜け出し、杉田のターゲットはM・ズベレフの1292ポイントとなります。1209ポイントの杉田との差は83ポイント差です。杉田としてはパリMSでQF以上の進出が必要となります。順当にいくと2回戦で上海で敗退したクエリー、3回戦ではバルセロナで勝利したカレノブスタとなります。今シーズンもいよいよ大詰めとなります。 29歳のデルポトロは怪我から復帰以降で最も充実しているのではないかと思います。ビッグ4につぐ実力者と言っても過言はありません。ビッグ4の強さは攻撃的なテニスにあわせて相手のテニスをさせないことと弱点をつきミスを誘発が可能なことです。デルポトロは同様なテニスが出来ます。デルポトロにとって勝負の1年だと思います。NO1へと駆け上がることも可能と思います。デルポトロとフェデラーの今季4度目の対戦、このカードは今最もホットなカードの一つと言って良いと思います。 上海MSのSF第2セット第6ゲーム、互いの戦略と駆け引きが凝縮した高度な攻防が繰り広げられました。この試合の勝負を分けたゲームと言ってよいでしょう。デルポトロは1stが重要であることは分かっていました。しかし、入りません。デルポトロの1stがネットに掛ける度に観衆がざわめきます。それに対して温厚なあのデルポトロが主審に熱く抗議します。一見なぜと思うほどの異様な感じを受けましたが、それほど両雄の駆け引きが交錯し繊細な集中力を要したのだと思います。観戦マナーの問題です。 まずは1stを入れることです。両者とも1st確率は70%としたいところでしょうか。上海ではフェデラーの72%に対してデルポトロは67%でした。1stポイント獲得率はフェデラーの87%に対してデルポトロの65%でした。ショートポイントとしたいところです。長くなると互いにリスクがあります。上海第1セットはデルポトロがサービス優位で、第2セット以降はフェデラー優位でした。デルポトロのデュースコートから得意とするワイドサービスはフェデラーに読まれます。クロスリターンかデルポトロの足元に返されます。センターへの出来やボディサービスを織り交ぜることが求められます。 24回目の対戦であり互いの手の内は分かっています。戦略と戦略が交錯するはずです。まずは相手に打たせません。両者ともフォアハンドを得意としますが簡単には打たせてくれません。デルポトロはフェデラーのバックハンド側ボディ付近に球を集めます。ここはフェデラーとしては攻撃的に打てずミスもでます。そしてフェデラーの軸を崩すフォアハンド側へと振ることです。デルポトロの戦略はここにあります。フェデラーはデルポトロのバックハンド側へ低いショットや足元に集めます。時にフォアハンド側ボディ付近もデルポトロはミスをします。デルポトロのバックハンドはスライスが多いのですが浮くとフェデラーのネットプレーが待っています。上海第3セットの入りはフェデラーはネットをとりました。スライス合戦はデルポトロが優位なのかフェデラーは多用しません。また、バックハンド側ボディ付近に球を集められますのでスライスでは打てなくなり、デルポトロとしてはストレートに打つことも効果的です。 どのような展開となるのか楽しみです。実力者同士の闘いであるからこそ高度な駆け引きを堪能できる貴重なカードです。展開は戦略は流れは変化に富むものと思います。両者にとって落とせない重要な一戦です。今季最高試合の一つとなることを期待します。