「なにが20位だ、時期尚早」というような声が聞こえてきそうな気がしますが、この目標は非現実的なものではありません。 杉田の躍進はバルセロナQF進出から始まりました。松岡修造、錦織圭に続く日本人3人目となるツアー初制覇という快挙をアンタルヤOPで果たしました。カナダMSでは初のマスターズ大会QF進出を果たし、その後もトップ選手としての力強さを一つ一つ装ってきました。そして、今季ランキング30位を現実のものとして目指す位置まで駆け上がってきたのです。もう既にお気づきとは思いますが、杉田は全豪、IW、マイアミ、マドリード、ローマに参戦していない中での1209ポイントなのです。チャレンジャー大会324ポイントがありますので、これを差し引くと885ポイントになります。現時点でのエントリーランキング20位のポイントは2010です。簡単に言いますと、バルセロナまでに1125ポイントを積み上げればよいことになります。そこまでに、GS1大会、MS5大会、250、500は4大会ほどあります。10大会とすると1大会あたり120ポイントを積み上げていけば達することになります。 そんな意味で重要なのがシード32であり、このシード32を杉田は目指しているのです。今季残すところパリMSのみとなりました。バーゼルの90ポイントが欲しいと思っていましたが、後を振り返っても仕方ありません。パリMSでのQF進出に意地でチャレンジして欲しいと思います。それでは、180ポイント獲得でシード32は可能かです。 30.Mズベレフ    :1292(バーゼル初戦敗退) 31.ガスケ      :1285(ウィーン2回戦進出) 32.フェレール    :1280(ウィーン初戦敗退) 33.ルブレフ     :1278(ウィーン初戦敗退) 34.コールシュライバー:1260(ウィーン2回戦進出) 35.F・ロペス    :1250(ウィーン初戦敗退) 36.ドルゴポロフ   :1231(バーゼル初戦敗退) 37.杉田       :1209(バーゼル初戦敗退) 38.クエバス     :1190(ウィーン初戦敗退) 39.ペール      :1145(バーゼル2回戦進出) 40.ベルダスコ    :1115(欠場) こうして見るとATP500と言えも初戦突破は簡単ではないことを感じさせます。この中で勝ち上がりはガスケ、コールシュライバーとペールのみです。最終ラインは何ポイントになるのでしょうか。 スイス・インドアの初戦、杉田はシャポバロフに6ー4、2ー6、6ー7で敗退しました。 第1セットはシャポバロフの攻撃をとめ、ミスを引き出しました。シャポバロフの弱点を攻めました。フォアハンドのクロスを打てるかと思っていましたが、ストレートに角度をつけない展開に持ち込みました。頷きました。ウイナー数とUE数はほぼ同数、サービスポイント13と杉田のサービスがよくFE数で勝りました。 第2セットはシャポバロフは杉田のボディとバックハンド側に球を集め杉田のフォアハンド側へのフォアハンドの逆クロスやDTLを決めます。サービスもよくサービスポイントはエース6を含む9と第1セットとは逆転しました。UE数は両者とも少なかったのですがウイナー数がシャポバロフ15に対して杉田の2でした。セット通じてこの流れを作ってはペースを引き込めません。第1セットのようにシャポバロフに打たせない展開とするリスクテイクが必要なのかなあと感じていました。 第3セットに入ってもシャポバロフの攻撃的なテニスは緩むことはなく、第4ゲームに先にブレイクを許しました。しかし、第7ゲームに杉田は渾身のブレイクバックとします。杉田の勝利への意地を感じました。杉田のフォアハンドクロスが巻きます。または浅くなる。錦織が全米マレー戦でみせたような振り切るクロス、攻めのクロス、ここが課題と思います。一方のシャポバロフのフォアハンドのロングが減ったイメージです。修正されています。スピンが効いているようです。 全米終了時点でレースランキングポイントは1000ポイントでした。その後6週連続の参戦を表明し、おそらくポイント獲得目標は500と設定していたのではないかと推測します。成都OP、東京、上海MS、ストックホルム、バーゼルとシード32を目指して5大会終了しました。この間の獲得ポイントは、90+90+0+45+10=235、です。カウントされなくなったポイントが26ポイントで1209となっています。500を目指すとすると、バーゼルで90が欲しかった、2回戦突破して欲しかった、本人も同様に思っていたに違いありません。成都OPのイストミン戦、東京のマナリノ戦を取りたかった、このレベルを確実に取ることにより、30がその上の20が見えてくるように感じます。ここからは他力本願を付け加えて、最後まで諦めずに全力を尽くすのみです。 頑張れ、杉田!