錦織選手が、これまで4戦全勝、一つ年上のアグートに負けました。 これで今年のウィンブルドンは3回戦敗退という事になりました。ポイント的には昨年脇腹を痛めながら戦い抜いた4回戦と比べ90ptマイナス、それほど大きなポイントではありませんが、GSですので、他のライバルが360、720、1,200、2,000というポイントを獲得していく事を考えると、やはり本人にも受け入れ難い結果でしょう。 一昨年全米1回戦、ペアに負けた時以上に、残念?というか虚無感の様なものに苛まれています。(気持ちをストレートに出し過ぎています。スミマセン) 今年のウィンブルドン、錦織選手の印象です。 まず1回戦はイタリアの102位、チェッキナート、グラスコートが初めてという選手、元々の実力差もあり一方的な試合で勝利しました。 この試合は勝敗よりも、左臀部の故障の状況や、心身のコンディションはどうかな?私の目から見て感じる事があるのかな? 解説の辻野さんが言う様に1stサーブを厚めにヒットし威力が増し、確率も上がっている様でした。コート面が滑り、高く跳ねない芝の特性を考え、意図的に少し変えて来ました。プロとしては基本的な対策なのかも知れませんが、やるべき事はキチンと準備して来ました。又、ジュースサイド・アドサイドからのワイドサーブを織り交ぜ、センター・ワイド両方でエースを記録し、効果的でした。 ストロークもクレーの様に大きなスィングから回転をかけるのではなく、ヒットポイントにラケットを合わせコンパクトに振って行く感じのストロークが多く、このショットが正確、確実にとらえ、確実にボールをコントロールして行きます。改めて技術の高いプレーヤーだなと感じます。言うは易しですが、この短い期間で、それまでと違う打ち方を精度高くこなすというのは、簡単な事ではありません。 2回戦、スタコウスキー戦、スミマセン、思うところがあったのですが、思い出せません。 スタコウスキーは、ウィンブルドンでフェデラーに勝った数少ないプレーヤーの1人というだけあって、ランキング以上のプレーだったと思います。 錦織選手はそのプレーヤーによく勝ちました。 少し感じたのは(最近よく書く事です。)ドロップショットもそうですが、浅めに入り低く跳ねるショット等を織り交ぜた、前後の揺さぶりと強弱のコンビネーション、それと逆を突くショットをもう少し狙っらどうかな?と感じます。 3回戦、確かにバウティスタアグートは素晴らしいプレーを見せました。昨年迄は錦織選手が負ける要素は殆どないと感じていました。安定したプレーをしますが、素直なプレーが多く、危険を感じないプレーヤーでした。それが、昨年の上海でツォンガ、ジョコビッチを倒しマスターズ1000ファイナル進出を決めました。あの辺りから危険な選手というイメージが付きましたか?しかし、錦織選手が実力を出し切れば、あのプレーを出されても勝てる相手だと思います。 プレー間の錦織選手の動きが気になります。体の調子が悪い訳ではないと思いますが、体力温存の為でしょうか?ゆっくり動くのは良いと思いますが、下を向き、表情も動きもだるそうに見えるプレー間の動きが気になります。 筋肉に与える影響すらあるのではないかと心配になります。ジャンプをしながら小刻みに体を揺すって筋肉をほぐす仕草を、もっと忠実に行っていなかったでしょうか。たまにしか見ませんでした。 そして、ミスをしたり、プレーが上手く行かなくなった時に、更に盛り下がる感じがします。 そしてとうとう第4セット、7ゲーム、ラケットをコートサイドのシートに向けて投げつけてしまいました。最初は芝生の上に投げつけようとして、思い留まり、改めてシートへ、、、 今日はこれで負けたかなぁ、ふと頭によぎりました。 錦織選手は、これをやって良い方には向かったためしがありません。 以前は、ルールで負けない以上、ラケット破壊がスポーツマンシップに反するかどうかと考える前に、真剣勝負をしている中、つい出てしまった事なら、それで勝利に繋がるなら、フラストレーション解消の為に利用できるなら批判はしない的な内容を書いた事がありました。 その当時の記事です。 しかし、錦織選手の場合はプラスに働くどころか、逆にしか作用しない気がします。錦織選手は、やるべきでは無いのでしょうね。 この試合、何度もラケットを投げつけようとする仕草を見せては留まっていました。 最近の錦織選手は、試合に臨んでいる時の精神状態が前とは違いますか? 以前はもっと一つ一つのプレーに集中し、もっと楽しみ、もっと挑戦的に、そして失敗しても次に向かっていた様な気がします。 そして、ツアーの中でも非常にマナーが良く、爽やかで、皆んなにワクワクするプレーを見せてくれていませんでしたか? 今日の錦織選手は、ツアー選手の中でも印象の良い方には見えませんでした。 スランプですかね、、。 試合後のコメントで敗因について、1stサーブや大事なポイントを取れなかった事等幾つか挙げた中に「気持ちの持ち方」が入っていました。そして「今年は大きな自信が持てない」と言っています。自身でも、精神面の問題を認識しているのですね。意識はしていても困難なことの様です。 昨年、トップ3を目前にしながら、故障などの問題で徐々に遠ざかって行き、若手の台頭も有り、焦りがあるのでしょう。 テニスをする目的が、ポイントを取る事取られない事、勝つ事負けない事だけになってしまっている様に見えます。 3年前のUSオープンSFジョコビッチ戦を思い出して欲しい。いっぱいミスをしています。去年のUSマレー戦もそうです。ここでそのチャンスボールをミスか、致命的なミスと思ってしまうミスを何度もしました。それでも勝ちました。2人とも不調な時では有りません。ジョコビッチは、絶好調ではなかったですが、NO.1プレーヤーで体調に問題を抱えていない状況、マレーは少々の疲労は残っていたでしょうが、ほぼ絶好調。錦織選手は心身の状態次第でこんなプレーヤー達に通用する能力を持っている筈なんです。 やはり〝マインド〝が全てな気がします。後、ここのブロガーのお一人が前に仰っていた〝頭〝。頭が疲れている。この点に絞られて来ると思います。 それが、プレーに影響し、体調に影響し、プレー間の表情にも動作にも、マナーにも影響し、と、全てに影響を及ぼしているのではないでしょうか? 遡って探って行くと、今のマインドに及ぼしている事は何か?ポイントを取りたい取られたくない、勝ちたい負けたくないだけに向かっている気持ちだとしたら、それが原因という事ですか。 テニスを楽しみましょう! 以前、ナダル・ジョコビッチは、命を懸けてテニスをしている。フェデラー・錦織は、ゲームとしてのテニスをとことん楽しむタイプ。簡単にいうとそんなことを書きました。しかし、どちらもテニスの為にやっている事は、スタイルこそ違え、極限まで努力している事に違いはありません。 究極まで、テニスを楽しみましょう! 挑戦心を持って、積極性を持って、闘争心を持って、ある時は思い切って、ある時は粘り、たくさん考えず、課題はたくさん持たずポイントをいくつかだけ絞り、後は自然なままの頭が発想する事、自然なままに動く身体に任せて、ゲームを楽しみましょう。マナーなんて考えなくても、自然と普通のマナーになります。 得意の夏の北米ハードコートシリーズも期待はしません。 錦織選手も、このシーズンでなんとかしよう等と思うのは止めませんか。楽しく、自分のマインドと頭が動きたがる方向に任せ、一つ一つのプレーを積み重ねて行きませんか!? きっと、あのウィンブルドンの自分は何だったんだ?と、笑って思い返せる時が来るでしょう。そんなに遠くない将来に