錦織圭とロジャー・フェデラーの注目の4回戦は、22日(日)のナイトセッションの第1試合、現地時間午後7時(日本時間午後5時)から、センターコートのロッド・レーバー アリーナで行われる。  ここまでの3試合、フェデラーがすべてセンターコートでプレーして来たのに対し、錦織は今大会初のセンター。今年はサーフェスの状態がコートによって違うと言われ、センターコートは球速が速いとの声もある。フェデラーは35歳、半年間の休養明けとはいえ、サーブが大きな武器だけに速いサーフェスは有利。トマーシュ・ベルディヒとの3回戦ではファーストサーブから95%の確率でポイントを獲得している。錦織は3回戦でのコートが「180度違うくらいに遅かった」と話しており、コートサーフェスの緩急のギャップが気になる。今大会は日によって寒暖の差が激しく、22日は最高気温30度まで上がる予報。試合が始まる午後7時はまだ陽も高く、暑さが残ることも気にかかるところだ。  この日は、午後1時半からマイケル・チャン、ダンテ・ボッティーニ、両コーチと約1時間の確認練習で汗を流した。フェデラーも、ニック・キリオスを倒したアンドレアス・セッピとの練習を早めに切り上げ、練習後にはコートサイドで20分ほど、大勢のファンのサインや写真撮影に応じるサービスで余裕を見せていた。ランキングでは自身が上回っているとはいえ、錦織はチャレンジの気持ちで臨むはず。最後まで戦う集中力維持がカギになる。  大会第6日は、第1週土曜日の昼の部としてはこれまでで最高の5万8355人の動員。注目カードは、第9シードで30歳のラファエル・ナダルと19歳のアレクサンダー・ズべレフによる新旧対決だ。  男子は3回戦に30歳台が16人も残り、1977年の19人以来の珍しい記録。長かったフェデラー、ナダルの2強時代が終盤を迎え、余力を残したベテラン選手の厚い層を物語っている。一方のズベレフは若手の代表格。昨秋、世界ランク20位まで上り詰め、20位に入った男子選手としては2006年のノバク・ジョコビッチに次ぐ若さだった。  ズベレフはドイツのハンブルク出身だが、両親はロシア人で、4回戦に勝ち進んだ兄のミーシャはロシア生まれ。198cmの長身と長い四肢を思い切り使って、立ち上がりからナダルを苦しめた。角度のあるサービスもさることながら、ナダルのよく弾むスピンボールを鞭のように叩きつけ、左右前後、コートいっぱいに使うフルパワーの攻撃。ナダルは、第1セットの第1ゲームをいきなりブレイクされてから反撃のチャンスをつかめず、そのまま先行された。  ズベレフは、ナダルの左利きフォアハンドのクロスにも対応し、フォアハンドからは強烈な逆クロスを叩き込める。しかし、ナダルの持ち味である集中力には衰えが感じられない。思い切りがいい裏表で、ズベレフにミスが目立ったのはやはり若さだろう。第3セットのタイブレイクを奪ってフルセットまで持ち込んだものの、セットが進むほどにミスが増え、大事な場面でのダブルフォルトもあった。4時間5分に及んだ長丁場、ファイナルセットには両脚が痙攣に襲われれば、ベテランは生き返る。5セットマッチが通算17勝8敗と強いナダルだが、このところは3連敗していた。復活を期した今大会、ここで若手ズベレフをフルセットで破った自信は大きいだろう。  その他では、第3シードのミロシュ・ラオニッチ、第6シードのガエル・モンフィス、第8シードのドミニク・ティームらに加え、2回戦でノバク・ジョコビッチを倒したデニス・イストミンが再びフルセット勝利で全豪では初の4回戦進出を決めている。女子では第2シード、セレナ・ウイリアムズが同じ米国のニコール・ギブズを一蹴し、第9シードのジョハナ・コンタはカロライン・ウォズニアッキを破った。 文:武田薫