デビス杯1回戦、日本対英国。ラバー4の第2セット第3ゲーム。マレーはラケットをへし折ります。 第1セットは第3ゲームに錦織はブレイクを奪われますが第7ゲームにブレイクバック第12ゲームにDF2つするなどしマレーがこのセットをとります。第2セット第1ゲーム錦織はいきなりブレイクを奪います。続く第2ゲーム深いストロークからベースラインに入りこみフォアのウイナー。完全に錦織の形です。この錦織ペースのなか第3ゲーム15−15より錦織はスマッシュをネットに掛けるミスをおかします。15−30よりラリーをロングし15−40。続きラリーより錦織の甘いドロップボールをマレーはウイナーで返しサービスキープします。 そして第4ゲーム錦織のサービスゲームです。フリーポイントで15−0、2ndをマレーは強烈なリターンからネットをとり15−15。 あくまでも私の個人的な見解ではありますが、次のポイントがこの試合で大きな場面、悪い錦織がでたのだと思っています。これも推測ではありますが、マレーにとっても悪い流れ、錦織ペースから引き戻す大きな場面であったものと思いますし、錦織にとっても流れを渡させない場面でありました。ラリーより錦織のショットが浅くなります。私は直感的にネットに掛けると思いました。そしてその通りになりました。錦織の修正課題であった浅くはいる、ロングになる、ネットに掛ける、それがここにでたのだと見ています。 マレーは15−30より2ndを錦織のバック側に深く返し、返ってきたチャンスボールをボレーしますが僅かにアウトします。マレーは爪をかみます。 30−30よりラリーを錦織はロングしマレーはブレイクバックのチャンスです。続く錦織の1stをセンターに、マレーはコースをよみますが、リターンがネットにかかります。ここでマレーはラケットをへし折るのです。しかし、この後はラリーよりウイナーをきめブレイクバックをします。 第5セット第7ゲーム、マレーの4−2、デュースからデュースコートからのワイドのフリーポイント、続きセンターへの2ndサービス連続フリーポイントで5−2としました。全豪第1セット第9ゲームのジョコビッチの2ndエースを思い出させられました。流石にNO2です。マレーの意地を感じました。トップ選手の対応力、修正力、駆け引き、それでも最後はとっている何か、大きな差ではないかもしれないのですが、そこに大きな差があると思われる何かを感じました。 この試合、トップ選手同士の戦いを感じました。トップレベルのラリー。一つの甘いショットがポイントに繋がります。ミスが許されない深くコントロールされた精度の高い緊張したラリーが繰り広げられました。この試合は国別対抗戦であり背負うものがシングルに違いがあるのかもしれません。昨年度デビス杯初制覇したマレーにとって大きな責務を感じての負けられない戦いであったのでしょう。 マレーは全豪4度の準優勝で迎えた2016年全豪オープンに初制覇をかけて臨みました。しかし、またしてもジョコビッチにその夢を阻ばまれました。マレーにとってはこのデビス杯が今年度2大会目となります。錦織がトップを目指すと同様に今シーズンに掛ける熱い想いがあるはずです。 錦織は錦織らしい素晴らしい展開を見せてくれました。しかしラバー2ではエバンズに苦戦をしながらも勝ちました。よいテニスが出来ることもあれば、そうでないこともあります。しかし、内容ではなく如何にして勝つかが問題なのです。トップ選手はゲームの中で、試合毎に修正してきます。ジョコビッチも悪いときがあります。この試合マレーもしっかりと修正してきました。セットを2−0から2−2とされますが。第4セット5−2とされますが、ブレイクを返し最終セットへと繋ぎました。そして負けることはしませんでした。 錦織はこの試合、4時間54分手首の心配も感じさせずに戦い抜き、フイジカル的に問題ないことを確認できたのは大きいです。状態は良好と思われます。 錦織はここまで11勝4敗。トップ10相手に1勝2敗です。 全豪オープンでは初制覇に向け攻めのテニスを展開しました。特にネットプレーに磨きをかけたこと。サービス向上したことを感じとれました。ラブゲームキープが目立ちました。ここまでの1st確率を羅列します。 ブリスベン:66%、62% 全豪   :60%、68%、59%、60%、58%。 メンフィス:57%、59%、61%、63% アカプルコ:49%、44%。 デビス杯 :55%、60%。 今後シーズンの個人的期待値を65%としましたが厳しいです。2015年同様60%でよいでしょう。それを補うストロークに期待します。 ストロークで言えば、ジョコビッチ戦においてもバックにミスが目立ったことです。ティエムが今シーズンの2勝目をあげましたが、バックにミスがなく精度が高いことに、これを錦織に対して期待しました。錦織はこのティエムを見ていたのでしょうか。ジョコビッチ戦以降錦織はバックの精度が上がりました。ミスが減りました。課題とし修正したのだと思います。マレー戦でもそうでありますし、DTLもネットに掛けることなくウイナーをとっていました。エバンズ戦ではバックの精度は良かったのですがフォアハンドにミスがでていました。マレー戦においてはしっかりとここを修正できていました。錦織は進化し、トップ選手の要素を満たしてきているのではないでしょうか。ジョコビッチがそうであるのと同じく、課題の修正を素早く対応出来てきているように思えます。 マレー戦負けはしましたが素晴らしい内容でした。しかしながら、これはフラットにした方がよいと思います。よいテニスをしたのでこのままいける。とは思わない方がよいと思います。 いよいよ今シーズンのマスターズ大会が始まりました。このインディアンウェルズ、マイアミの2大会は前半戦の大きな山です。ここでも個人的な期待であるGS・MSで年間5回のファイナル進出。この2大会で是非ファイナル進出をして欲しいと思いますし、出来ると思います。その為にも今一度原点回帰し、ここまでの課題をしっかりと再確認して対応していって欲しいと思います。そして一戦一戦勝ち上がっていって欲しいと思います。 何かが起きそうな予感を感じます。