インディアンウエルズ(IW)、私がまず注目したいのは、4回戦、イスナー若くはペア戦です。デ杯のマレー戦の様に錦織選手はトッププレーヤーに対しては、すごくいいプレーを見せる能力があります。が、この10位台の相手に、錦織らしいプレーが出来ていない。特に、ビッグサーバー系の相手にです。しかし、冷静に考えれば、彼らに対し錦織選手の本来のプレーを見せれば、サービスゲームを落とす事は殆どありません。リターンゲームを取る事は確かに大変ですが、ブロックリターン等でも返球していき、ストローク戦に持ち込めば有利な展開に持ち込む事も出来ます。ビッグサーバーの多くはリターンゲームの獲得率20%以下(錦織は平均27%)です。錦織選手が相手となれば、さらにその確率は下がります。まずは先の事を考えず、4回戦をクリアする事に集中して欲しいです。QFナダル、SFジョコビッチはその後で考えれば十分です。 今期の錦織選手ならこの辺りの選手にも、無理なく対応出来ると思いますが、強い気持ちで臨んで、しっかりクリアして欲しいです。格の違いを見せて欲しいです。昨年のマイアミの様にキレキレのイスナーでない事を祈ります。まず、イスナーが来ると思いますが、もしペアが上がって来たら昨年の悪夢(全米1回戦と楽天オープン)を振り払い、コテンパンにやっつけて欲しい! これをクリアすれば、QFナダル、SFジョコビッチ、決勝(マレーかワウリンカ?)へと続きます。 ナダルはQF迄上がって来れるか?それさえも少し心配ですね。錦織との対戦が実現出来たとすれば、先ずはナダル次第という所でしょうか。今期のナダルのままであれば、錦織選手が以外と簡単に勝ちそうな感じがします。昨年のモントリオールかそれ以上に圧勝する可能性もありますね。錦織選手は今期の流れのまま臨んで行けば何も問題は無いでしょう。 SFジョコビッチ戦、ここからですね。 今の錦織選手の強みと言えば、ストローク戦、ラリーの展開力です。この面で言えば、錦織選手が現時点のNO.1では無いでしょうか。 今回デ杯マレー戦でもこの部分が素晴らしかったです。時折見せるマレーのバックバンドのアングルショットは凄まじいものが有りましたが、全体的に錦織選手が上回っていました。 また、全豪QFジョコビッチ戦、36、26、46、今日見返してみました。スコアは一方的にジョコビッチですが、ラリーは錦織選手の方が支配していました。 インディアンウェルズでの錦織選手の課題と言えば、 ①ラリーで勝り、追い込んだ後のトドメのショット。全豪ジョコビッチ戦は、改めてこんなにあったかなと思うくらい有りました。エンドラインをオーバー。しかし、デ杯マレー戦では、大きく改善されていました。昨年からDTLのショットがネット、アウトになりミスが多く、このショット 自体、あまり打たなくなっていました。打っても、スピード・威力をを落とした繋ぎのショットになる事も多かったです。松岡修造氏の話では、特にバックバンドのDTLが悪かったのが、マレー戦ではとても良かったという事でした。 ②サーブですね。1stサーブ、デ杯マレー戦では、第4セット、40%台だったにもかかわらず、61%。2ndでも、スピードは有りませんが、かなりいいコース、深い位置に打ち込んでいました。 先ほどのイスナー(ビッグサーバー)の様な相手には、特に、サービスゲームのキープが重要になって来ます。 ③スマッシュ! こんなに勝敗を左右する要素になるとは思いませんでした。全豪ジョコビッチ戦でのスマッシュミス、2本目もネットインにはなりましたが、ほぼミスでポイントも取られました。 デ杯マレー戦では、ここまで来ると、確実に克服して欲しい課題となりました。 この試合の事は前回も書きましたが、こんな内容でした。 第1セット、第4ゲーム、15-30からイージーなスマッシュをネット。(マレーの動きが目に入った?)15-40とし、2BPの2つ目で2ndサーブを前で叩かれゲームを落としました。 最終セット、第4ゲームも少しジャンプをしていましたが、錦織の運動神経を考えればイージーでした。サービスライン付近の左側からスマッシュ、右サイドラインをアウト。 第2セット、TB、6ー7のSPでも、錦織が追い込み、山なりに返って来たボール、エンドラインより前でスマッシュできる所を、安全にワンバウンドさせ、エンドラインより後ろで、さらにスマッシュではなくストローク、それも力無い返球でした。錦織がラリーで追い込んでいましたがこのショットで、一気に形勢が逆転しポイントを落とします。と同時にセットを落としました。 これらの3ポイントは全てブレーク、若しくは失セットに直結していました。このミスをした第1、第2、第5セットを結果的に落としました。 錦織選手も間違い無く、練習をしていますが、更に目を閉じても出来るくらい、自信を持てる様に励んで欲しいと願うばかりです。 第2セット、タイブレーク、セットポイントの場面で自信を持ってスマッシュに行ける様に。 その他にも打てるボールをスマッシュしなかった場面が何度かありました。 第1セット、第9ゲームでは、プレーヤーによってはスマッシュで行く様な所、山なりのボールが落ちてくる所をノーバンでフォアのストローク、決まりましたが、自信を持ってスマッシュで行ければ、更に確率が上がるでしょう。相手に準備する時間を出来るだけ与えず、スマッシュで高い打点から、それ程ライン際を狙わなくても決める事が出来ます。(この時は、マレーが走り出していたのを見て、フォアで逆を突いたショットを放っていましたので、その方が良かったかも知れません。でも、スマッシュに苦手意識を持たず躊躇無く決めて欲しいです。) また、第2セット、第4ゲーム、錦織リターンゲーム、15-15からネット近くでロブを少し後ろ向きにジャンプしながらのスマッシュですがイージーボール、これもネット。このスマッシュで流れが少し変わりました。次の錦織のサービスゲームに、マレーはここぞとばかりギアを上げ、すごい迫力で向かって来ました。そしてブレークバックされます。やはり、スマッシュミスは、チャンスボールが一転ポイントロスになる為、しまったという気持ちを突かれ、相手に流れを変えるキッカケを与える事にもなってしまいます。これチャンスとばかり相手は畳み掛けて来ます。 更に次のリターンゲームでも、15-0からスマッシュ練習の様なボールが返って来ます。これを左サイドに狙い、サイドアウト。マレーがボールが上がっている間に、ラケットでコートを叩き、カンカンという音を立てた為という事もあった様ですが、、、第1セットの時でしたが、修造氏が言っていました。「プロとして絶対してはいけない事」 知り合いの職人が言っていた事を思い出しました。親父さんから言われている事だそうですが、作品は何種類かあり、1つに付き3000個は作れ、技術はどんなに磨いても満足できる事は無い。しかし、3000も作れば、目を閉じても作れる様になる。その技術を基に、完璧を目指せばそこそこの物が出来る。(それだけやっても、そこそこなんですかね。)錦織選手も、目を閉じても出来る位に自分のものにし、試合で自信を持って打てる様にして欲しいです。デ杯の後、必ず猛練習していると思いますが。 特に現在、ラリーでは世界一とも思える錦織選手、ジョコビッチやマレーにだってラリーを支配し追い込んでいきます。この展開になると、相手は最後、なんとか食らいついて、ボールを高く上げて返して来るケースが多くなって来ます。既に現在、そんな返球が増えている事も事実です。その度にマレー戦の様な確立でミスが出てしまっては、勝てる試合も勝ち切る事は出来ないでしょう。お互いの実力にそれ程の差が有る訳ではありませんから、今のままでは、大きなハンディになりますね。克服して欲しいです! サーブについても徐々に良くはなって来ましたが、長年の課題(今も)でした。スマッシュも同じ様な体の動きですね。 なんとかモノにして欲しいです。 ①〜③の内、①トドメのショットは元々課題でも無く強みでした。マレー戦でもDTLも含めかなり改善されています。改善というより強みに変わってきました。 ②サーブも随分良くなって来ましたが、試合によっては、1stが悪い時が有ります。1stを安定させる事と、2ndになった時に如何にポイント出来るか。リターンを叩かれない様、2ndサーブを工夫し、ポイント獲得率を上げて行く事ですね。これもかなり出来ていました。 ですのでSFジョコビッチ戦は非常に楽しみです。全豪の時に比べ錦織選手のレベルは確実に上がっています。勝つ時かも知れません。いや、勝つ時が来たと思います。 そして、決勝マレー戦(ワウリンカでない事を祈ります)、今回は、勝ちますよ。デ杯を見ていた人は、皆頷くはずです。 これ迄の実績が示している様にマイアミの方が、錦織選手には可能性が高いのかなと、思っていました。また、IWでは過去に実績が出ていません。しかし、あのデ杯の勢いのまま、IWで成し遂げる事がベストに思えて来ました。1大会置く様な事をしたら、マイアミに勢いを引き継ぐ事ができなくなる様な気もします。 修造氏も言っていたゾーンに入れるか?という事も大きなポイントになるかも知れませんね。これをコントロール出来れば凄い事になります。 デ杯のジョコビッチは少し調子を落としていた様です。本当なら好調ジョコビッチとの試合を見たい所ですが、そういう事より、先ずはMSタイトルを取りに行きましょう! 本当に錦織選手は、もう一段階段を上へ上がって行きそうな気がします。 ジョコビッチ、マレーとの3つ巴をやりそうな、そんな雰囲気を感じます。今後、凄い歴史が出来ていく所を私達は見る事になるのでしょうか!