「来年もまた実りある1年にできるよう頑張ります」 なんとも控えめな宣言でしょうか。自身のブログ(12/6)でのコメントです。 「実り」とは何か。陣営はカリフォルニアにて2週間に及ぶキャンプに突入しています。 新しいシーズンは既に始まってるいるのです。 11/19にフェデラー戦を終えオフシーズン。といっても多忙な日々。 ときにはテニスを忘れることも大切ではないかと思います。 シーズンを通じて全世界をハードに飛び回っているのであり、帰国が多少とも癒しになってくれればと思います。 2015年度シーズンは大きな期待を抱かせてのスタートでした。 それも、2014年度シーズンの覚醒にあります。 ランキング17位から、マイアミMS。ディミトロフ、フェレールを破り、QFでフェデラーに勝利。 バルセロナ優勝、続くマドリードMSで初制覇を確信するところまでナダルを追い詰めました。 そして全米準優勝。クアラルンプール、東京と連勝。初のツアーファイナルに出場。 目標としていたトップ10にはいり5位で終えます。 いつMS、GS初制覇してもおかしくないと思わせてくれたのです。 サーブも改善し、下位の取りこぼしも減りました。 しかし、トップ5という重圧が、錦織包囲網が襲いかかります。 ボディ、スピンボールによりリターンを封じます。 2ndサービスを叩く、マドリードMS、マレーの攻撃的テニスに完敗。 下がる、回り込みフォア、センターに返す。錦織も対応していきます。 GS、MS初制覇とはなりませんでしたが、来シーズン以降に繋がるものと期待されます。 そして、もう1つ。2015年度シーズンのテーマ。 新旧交替、ビッグ4に新鋭が、今や死語化しているyoung gunsがどこまで食い込めるかでした。 結果、ビッグ4は存在感を示し、更なる進化を示したのです。 その精神力、スピリットを感じさせられました。 さて、2016年度シーズン。陣営はどのような覚悟をもって臨んでいるのでしょうか。 目指すところは明らかだと思います。錦織自身もそこを目標にして、ここまでやってきました。 錦織はGSを、NO1を取れるか。 ビッグ4の力がおちたときにとの条件つき可能性についてのコメントが大勢です。自然な、適切な声でしょう。 それは2年後か3年後か、それとも2016年度シーズンなのかです。 当然に陣営はその覚悟を抱いてイメージしスキームをたてキャンプに臨んでいるはずなのです。 それでは、NO1、またはそれに準ずる地位を確立するにはですが。 まずは以下の2015年度ポイント獲得表を見て下さい。 (表を貼付けようと、相当頑張りましたが断念。イライライラです。) GSポイント計+MSポイント計+500/250ポイント計+ツアーファイナルポイント計、の順。 1.ジョコビッチ:7,200+7,200+885+1,300=16,585 2.マレー:3,300+4,370+1,075+200=8,945 3.フェデラー:2,850+2,470+1,945+1,000=8,265 4.ワウリンカ:3,800+1,375+1,290+400=6,865 5.ナダル:855+2,175+1,600+600=5,230 6.ベルディヒ:1,260+2,265+1,095+0=4,620 7.フェレール:630+1,350+2,325+0=4,305 8.錦織:775+1,350+1,910+200=4,235 ご覧の通り、NO1、またはそれに準ずる地位(トップ3とします)ではGS、MSポイント獲得が主となっています。 マレーは全豪で準優勝、MS2勝、MS準優勝2回。 フェデラーはWB、全米で準優勝、MS1勝、準優勝1回です。 錦織はGSで775、MSで1,350しか取れていません。 そこを目指すには、GS、MSとも3,000ポイントは欲しいところです。 GS決勝進出、MS勝利は必要と見るべきです。 それでは錦織が目指すべきポイントです。 まずはフィジカル面。トップの3人はシーズン通じて、ほぼ万全でした。 怪我をしてはアウトです。シーズン通じた好調な戦いが必須です。 当然、中尾公一トレーナーをはじめ陣営は万全を期するはずですが、 以下この論議は切り離します。 最も重要なのはサービスゲームと考えます。 記憶が新しいところでツアーファイナルのジョコビッチ、フェデラー、錦織を見てみます。 まずは、3人の2015年度シーズンのスタッツです。 1st確率、1stポイント獲得率、2ndポイント獲得率の順です。 ジョコビッチ:66%、74%、60% フェデラー:64%、80%、57% 錦織:60%、75%、55% トータル・サービスポイント獲得率(計算)は以下です。 ジョコビッチ:66% X 0.74+34% X 0.60=70% フェデラー:64% X 0.80+36% X 0.57=72% 錦織:60% X 0.75+40% X 0.55=67% 1st、2ndサービス率にそのポイント獲得率を乗じることになるわけです。 両方の数値を上げる必要があります。1stの獲得率が高いので1st率が当然課題となります。 合わせて2ndのポイント獲得率を上げなければなりません。 では、このトータルサービスポイント獲得率はどれ程が目安となるのか。 1ゲームで考えると、30ー20からとると4/6=67% ラブゲームやジュースになると上下しますがこの67%が目安と考えます。 3人ともシーズン平均ではこの数値を満たしています。 では、ツアーファイナルのスタッツを見てみます。 ジョコビッチVSフェデラーの第1戦、第2戦。 錦織VSジョコビッチ、錦織VSフェデラーのスタッツです。 同様に1st率、1stP獲得率、2ndP獲得率、トータルP獲得率の順です。 1.ジョコビッチVSフェデラー第1戦(フェデラーの2−0) ジョコビッチ:72%、51%、67%、72%X0.51+28%X0.67=55% フェデラー:67%、75%、67%、67%X0.75+33%X0.67=72% ブレイクは第1セットフェデラーの1回。第2セットは、フェデラー3回、ジョコビッチ1回。 2.ジョコビッチVSフェデラー第2戦(ジョコビッチの2−0) ジョコビッチ:66%、62%、84%、66%X0.62+34%X0.84=69% フェデラー:64%、71%、43%、64%X0.71+36%X0.43=61% ブレイク:第1セット、ジョコビッチの2回。第2セット、ジョコビッチの1回。 3.錦織VSジョコビッチ(ジョコビッチの2−0) 錦織:53%、43%、44%、53%X0.43+47%X0.44=43% ジョコビッチ:72%、82%、64%、72%X0.82+28%X0.64=77% ブレイク:第1セット、ジョコビッチの2回。第2セット、ジョコビッチの3回。 4.錦織VSフェデラー(フェデラーの2−1) 錦織:57%、70%、41%、57%X0.70+43%X0.41=58% フェデラー:54%、84%、30%、54%X0.84+46%X0.30=59% ブレイク:第1セット、錦織の2回。フェデラーの3回。第2セット、錦織の2回、フェデラーの1回 第3セット、錦織の1回、フェデラーの2回。 ジョコビッチVSフェデラー第1戦の第1セットは1st両者とも73%です。 フェデラーは第9、11ゲームをラブゲームとして第12ゲームにブレイクを奪い第1セットをとります。 サービスゲームを短時間でとりペース、リズムをあげる戦略であると推測します。 第2セットにはいってもフェデラーがペースを握り、あのジョコビッチがミスを連発します。 第2戦はそうはいきませんでした。 1st、ジョコビッチの66%に対しフェデラーの64%。 2ndポイント獲得率、ジョコビッチは驚異的84%としました。 トータルサービスポイント獲得率、ジョコビッチの69%に対しフェデラーの61%。 これではフェデラーに勝機はありません。サービスゲームでペースをとることがフェデラーにとって鍵となるのです。 次に錦織のジョコビッチ戦です。 1stは錦織の53%に対しジョコビッチの72%。 トータルサービスポイント獲得率は錦織の43%に対しジョコビッチの77%。 この試合、決して錦織の調子が悪かったわけではありませんでした。ジョコビッチが良すぎたのです。 それでは、このようなジョコビッチに勝つことを放棄してよいのでしょうか。 答えはノーです。 フェデラー第1戦、サービスゲームを優位にすすめペースを握り、ジョコビッチに動揺を与えました。 2014年度ツアーファイナル、錦織の1−6、6−3、0−6。 第1セットはジョコビッチペースでしたが、第2セットは錦織ペースを握り展開しました。 2015年度ローマMS、錦織の3−6。6−3、1−6。 同じく第1セットはジョコビッチがとりしましたが、第2セットは錦織がとりジョコビッチに動揺を与えたのです。 この磐石なジョコビッチに勝つことに見切ってしまっては、目指すところに至ることはできません。 サービスゲームを落とさずペースを掴むことによりペースを奪うことは十分に可能なのです。 フェデラー戦です。 1st、錦織の57%に対し、フェデラー54%。 トータルサービスポイント獲得率、錦織の58%に対し、フェデラー59%。 両者とも67%に達していなく、いわゆるブレイク合戦となったのです。 この一戦の評価は高く、見応えのあるものとの声が多いようですが、サービスゲームの精度は高いものではありませんでした。 サービスゲームポイント獲得率を上げるにはサービス力だけではなくストローク、ラリー戦を勝ち切ることが重要なことは言うまでもありません。 ジョコビッチの強さは、その安定したストローク、深くて精度の高いステイトメント力により守りと攻めの一体化にあります。 決してエースを取りにいくわけではなく、確立の高いサービスでラリーを優位にすすめポイントを取りにいくのです。 後半の錦織はリターンをセンターに返すことを基本にしていたように思えました。 リスクを制御し確立を重視するスタイルかつ攻める。陣営もこのスタイルを基本に精度をあげていく戦略としていくのではないでしょうか。 ストロークについては、深く精度高いステイトメント。 バックのストレートは、やはり錦織の武器です。クロスも合わせて相手に意識させたいところです。 そして、ロブやスライスを交えたコンビネーション。 ビッグ4の経験とうまさに対抗するには試合運びも重要なファクターになるでしょう。 目指すところ、2年後、3年後ではなくビッグ4が健在な今でこそ、それを成し遂げることに意義があります。 ジョコビッチの磐石までの強さはは、まだまだ続くでしょう。 マレーはデビスカップ決勝後のコメントにて全豪優勝に闘志を燃やしていました。 35歳になるフェデラーは進化し続けています。 ナダルは好調時の姿に近づきつつあります。全仏はとりにいくでしょう。 12月29日、錦織は26歳となります。もう若くない。 錦織自身そのように感じているはずです。 1/3ブリスベンにて開幕、1/18全豪オープンです。 全豪、IW、マイアミで、まずは1勝を勝ち取って欲しいと思います。 勝負の年、2016年度シーズンは始まっています。