2015年ツアー・ファイナルズ 錦織はどこまで健闘できるか!? 今シーズンを振り返ると……
11月15日に開幕するATPワールドツアー・ファイナルズまで、残すところあと数日となりました。
男子テニスの今シーズンの最終戦となるこの大会。今季は……
出場選手
1位:ノバク・ジョコビッチ
2位:ロジャー・フェデラー
3位:アンディ・マレー
4位:スタン・ワウリンカ
5位:ラファエル・ナダル
6位:トマシュ・ベルディヒ
7位:ダビド・フェレール
8位:錦織圭
…ということで、日本の錦織も出場を決めました。10月、11月はリシャール・ガスケに追い上げられましたが、序盤から中盤での好成績が活きました。ただ、パリ・マスターズのガスケ戦で痛めた脇腹がきになるところです。
ブリスベン国際から始まった今季の錦織を振り返ると、2月メンフィス、4月バルセロナ、8月シティ・オープンで優勝を成し遂げています。成績は49勝14敗でした。
特に序盤から中盤のヨーロッパでの大会では、好調ぶりが目立ちました。
錦織のトップレベルのストローク力、バックハンド、反応の良さ、修正力、対応力、そして粘り強い戦い方で、勝ち星を重ねました。時に20位台の選手にも、圧倒する試合もあって、四大大会、マスターズでも優勝のチャンスがあるのではないかと思えるほど、強さを発揮していました。
一方でフィジカル的に不利な面があるので、多くの試合で全力で戦う必要があり、メンタル、体力的にはタフだろうなとも感じました。逆に錦織の諦めない姿勢は、相手にとっても脅威にもなっていたとも思います。
ともかく、6月のゲリー・ウェバー・オープンでふくらはぎの筋膜炎で欠場するまで、錦織はとても良い感じで、勢いがありました。四大大会、マスターズで初勝利をあげようという意気込み、モチベーションがとても高かったように感じます。
そして、左足の負傷により、ゲリー・ウェバー・オープンの準決勝、ウィンブルドンの2回戦を途中棄権した錦織ですが、8月のシティ・オープンではグロス、チリッチ、イズナーというビックサーバー3連戦を制して、見事に優勝を遂げ、今シーズンのハイライトの一つとなりました。
さらに、優勝した勢いでのぞんだマスターズであるロジャース・カップ、準々決勝では初めてナダルに勝利をあげて、さらに勢いがつきました。しかし、準決勝で待っていたのは、アンディ・マレーでした。2015年シーズン、錦織はマスターズでは、マドリード、ロジャーズ・カップの2試合で、準決勝に進出しています。
そして、その2試合とも相手がマレーでした。
試合の方は……2試合とも敗戦。特にロジャーズ・カップでは、3-6、0-6と錦織は完膚なきまでに打ち負かされました。負傷もあったようですが、メンタル面も含め、今シーズンで唯一、大きく落ちてしまった試合でした。
偶然とは不思議なもので、マレーはこの2大会で、今シーズンのマスターズ優勝を成し遂げています。
このロジャーズ・カップ後の錦織は、明らかに不調となり、ブノワ・ペールに2連敗を喫するなど、負ける時に踏ん張りがきかない負け方がありました。
ロジャーズ・カップではリターン力がトップクラスのマレーが、錦織の2ndサーブで前に出て、叩いてリターンを決めてきました。
この試合後は、2ndサーブなどで、リターンで錦織が攻められて、苦戦する場面が目立ちました。また、得意とするラリーに持って行ける展開が減ったのも、苦戦する要因になっているように思います。
8月のロジャーズ・カップ後の錦織の成績
全米OP(1回戦敗退)VSB・ペール(20位)
楽天ジャパンOP(準決勝敗退)VSB・ペール(20位)
上海ロレックス・マスターズ(3回戦敗退)VSK・アンダーソン(12位)
パリ・マスターズ(3回戦敗退)VSR・ガスケ(9位)
…このように、成績を見ても、苦戦が見て取れます。ですので今はなかなか勝ちにくい、厳しい時期かもしれません。。
今はいかにストロークの展開に持って行けるか、サーブの改善、新たな試合展開の模索など、課題が出てきているように思います。ですが、錦織の持ち前の粘り強さが戻ってこれば、勝機も増えてくると思います。
ファイナルでいきなり状況が大きく改善することはないでしょうが、来シーズンにつながような、良い試合内容を期待したいと思います。
あとは、ファイナル後に結構イベントが多いように思いますが、なるべく少なくして、英気を養う期間に当てて、来シーズンにのぞんでほしいなと思います。