上海マスターズは佳境に入り、準決勝の2試合が行われました。 第1試合はナダル(7位)VSツォンガ(15位)、第2試合はジョコビッチ(1位)VSマレー(2位)という、両カードとも注目の試合になりました。                                           第1試合はナダルが、4-6、6-0、5-7と惜しくも敗戦。今季は2004年以来の4大大会での優勝がない年となり、年齢的にも衰えが心配される状況にあります。そのような中で、最近の中国での2大会では、存在感を示してくれて、まだまだ、やれるというところを見せてくれました。 この試合でも、フォアの逆クロスが決まるようになってから、ナダルにも勝機があったと思いますが、最後はツォンガの勝利への意欲、集中力が勝ったように感じます。                                           そして、注目のジョコビッチVSマレーの試合ですが、こちらは、思った以上に、ジョコビッチの強さが際立ちました。今季は生涯グランドスラムを狙う全仏OPまで、すさまじい強さだったのがジョコビッチでした。しかし、全仏OPの決勝でワウリンカに負けて、その後のモチベーションはどうかなと思っていました。それでも、ウィンブルドンも制するなど、強さが光りました。 しかし、その後のロジャーズ・カップ、ウェスタン・サザン・オープンというマスターズ2連戦では、若干、モチベーションが落ちたようにも見え、ややプレーに元気がない場面もあったように思います。ジョコビッチは今季5敗しかしていませんが、マレー、フェデラーに、それぞれの大会の決勝で敗れています。 しかし、そこから全米OPで優勝すると、再び、勢いが出て、中国での大会では絶好調ぶりを見せています。序盤の手の付けられないジョコビッチが戻ってきている印象で、チャイナOP、上海マスターズの準決勝までストレートで勝ち上がってきています。                                               このジョコビッチに挑むのが、ランキングも10月に2位に上げ、2番手となったマレーということになります。数少ないジョコビッチに対抗できそうな選手だと思いますが、最近ではロジャーズ・カップで8連敗を止めて勝利した試合が、印象に残っています。 しかし、この試合では……                                            第1セット ジョコビッチ6-1マレー 第2セット ジョコビッチ6-3マレー                                                ……と数字が示すように、ジョコビッチが圧倒しました。 これがランキング1位と2位の対戦なのだろうかと思うほど、ジョコビッチの強さが際立ちました。 一つ歯車がおかしくなると、ここまで差がついてしまう……そういう、テニスの難しさ、厳しさが出たゲームでもありました。                                              第1セットは、2ndサーブのポイント獲得率が、ジョコビッチは100%と驚異的数字を叩きだしました。一方のマレーは8%……この数値だけ見ても、いかにジョコビッチが好調であり、圧倒していたかがわかると思います。                                           試合を通じて、マレーはウィナーが9本、ダブル・フォルトを6本、アンフォースドエラーは30、1stサーブのポイント獲得率は59%でした。 一方のジョコビッチは、ウィナーが17本、ダブル・フォルト0、アンフォースドエラーは7、1stサーブのポイント獲得率は82%でした。                                              数字が示すようにジョコビッチは安定感抜群であり、ミスもしない、相手にとっては無慈悲ともいえる、抜群の展開力を持つラリーも見せました。隙もなく、サーブも好調。そのため、マレーの強みであるリターンからの攻撃も出させず、試合を通じて、ほぼ主導権を握る展開となりました。繰り出すショットの精度や質も高く、ドロップショット、ネットプレーも効果的に使っていました。2位のマレーであっても、打開できない完ぺきさでした。 マレーは第1セットの序盤から主導権を握られて、守勢に回ってしまい、リズムも失った印象があります。                                              このように強さが光ったジョコビッチですが、決勝戦では、過去に2度のマスターズ制覇の経験があるツォンガとの対戦となります。ツォンガにとっては、積極的に攻める姿勢が重要だと思いますが、どのような決勝になるのか、注目したいと思います。 また、ジョコビッチにとては、今季5度目のマスターズ優勝がかかることになります。