上海マスターズの3回戦、錦織VSケビン・アンダーソンが行われました。2回戦の初戦では、若手で強力なサーブが武器のキリオス相手に第1セットを1-6で落としながらも、見事に挽回して勝利した錦織が、3回戦では2mを超えるビックサーバーのアンダーソンと対戦しました。                                            今季はシーズン序盤のメンフィスの決勝、さらに続くメキシコOPの準決勝で錦織はアンダーソンと対戦して、勝利をおさめています。                                           メンフィス(6-4 6-4) メキシコ(6-2 3-6 6-3)                                            このように、錦織がATPツアーで戦った2試合では、2勝をおさめています。 しかし、シーズン中盤前後から、アンダーソンは存在感を増していき、今季はマレー、ワウリンカなど、トップ選手にも勝利しています。ランキングも徐々にあげていき、29歳にして初めて、トップ10にも入っています。そういう好調な相手なので、錦織にとっては気を引き締めて戦わなければいけない強敵でした。                                           試合結果 第1セット 錦織6-7アンダーソン タイブレーク:10-12 第2セット 錦織6-7アンダーソン タイブレーク:3-7                                            ……と、2度のタイブレークをアンダーソンが制し、錦織は敗戦となってしまいました。                                              第1セットは互いにキープが続く展開から、タイブレークで錦織が何度かセットポイントを握るチャンスを得ました。しかし、そのピンチをしのいだアンダーソンが第1セットを取ります。                                             第2セットは、第9ゲームで先に錦織がアンダーソンにブレークを許す厳しい展開となります。しかし、第10ゲームは錦織が見事なリターンエースを決めるなどして、すぐにブレークバック。錦織に勢いがくる展開かなと思いましたが、この日のアンダーソンは安定感があって、ここぞという時に粘り強く対応していました。 結局、タイブレークではアンダーソンが5ポイントを先取する展開から制して、勝利をおさめました。                                              アンダーソンはメンタルに弱点があると言われた時期もありましたが、この試合では、集中力も高く、崩れることはありませんでした。今季はトップ選手と激闘を繰り広げていて、精神的にも強くなったようにも感じます。 また、強力なビックサーブは威力を発揮しており、セカンドサーブでも時に199キロ出すなど、大きな武器になっていました。そして、ウィナー数でも錦織の23に対し、アンダーソンが31と上回っていました。ストローク戦での早い展開からのフォアの強打も強力でしたし、ミスもあまり出ませんでした。さらに、時折見せるサーブ&ボレーも効果を発揮していました。                                              一方の錦織は、ここ最近では肩の力も抜けて、集中していたように感じました。ただ、1stサーブには波があり、安定しない状況となっています。また、対戦相手がストローク戦を避けて早い仕掛けでくることが多いので、錦織の得意なストローク戦からのリズムが作れない状況もあると思います。そして、ここぞという時の1本を奪いきれない、守りきれないなど、かつての粘り強さが見られない部分もあります。この試合では、惜しいところで、肩の力が入ってミスをする場面がありました。 このように、好調時に比べると、不調な面もあるように感じます。                                           錦織にとっては、残念ながら早い敗戦となってしまいましたが、次戦は、10月下旬からのスイス・インドアとなります。残りシーズンの大会もそれほど多くありませんし、錦織にとっては、踏ん張りどころだと思いますが、応援したいと思います!