上海マスターズの2回戦が行われ、シード選手も登場。錦織はキリオスとの初戦となりました。この大会では、フェデラーが初戦で敗れる波乱も起きています。 準々決勝でフェデラーと当たる可能性があった錦織にとっては追い風になるかもしれませんが、厳しい対戦が続きそうなので、一戦一戦がタフな試合となります。                                              2回戦の対戦相手、20歳のニック・キリオス(32位)は若手の中では、クロアチアのコリッチと共に期待されている選手です。と同時に、審判への発言や問題行動などでの話題も多い選手であり、一癖もふた癖もある選手です。うまくいかなくなると試合中でも、声を張り上げるなど、気性が激しい選手でもあります。                                            試合結果 第1セット 錦織1-6キリオス 第2セット 錦織6-4キリオス 第3セット 錦織6-4キリオス 注目のスタッツ サービスエース数 キリオス=17 錦織=6 ウィナー数 錦織=33 キリオス=39 アンフォースドエラー 錦織=26 キリオス=35 第1セット 錦織のファーストサーブのポイント獲得%=67% 錦織のセカンドサーブのポイント獲得%=17% 第2セット 錦織のファーストサーブのポイント獲得%=93% 錦織のセカンドサーブのポイント獲得%=64% 試合全体 錦織のファーストサーブのポイント獲得%=83% 錦織のセカンドサーブのポイント獲得%=48%                                         ……となり、錦織が見事な逆転勝利をおさめています。 第1セットの錦織は、立ち上がりから5ゲームを連続で取られ、あやうく0-6とベーグルで取られる可能性があるほど、精彩を欠きました。ここまで悪いのは、今季だとロジャーズ・カップの準決勝で負けたマレー戦くらいだと思いますが、その後、本当によく盛り返したと思います。 第2ゲームで3本のダブルフォルトを出すなど、出だしではサーブの調子が悪かったです。その結果、キリオスに勢いづかせてしまいました。また、錦織のセカンドサーブでのポイントが、あまりにとれなさすぎたのも、第1セットの結果に出てしまいました。 一方のキリオスは波があるものの、最大の武器であるビックサーブが威力を発揮していました。キリオスの場合、セカンドでも200キロを超えるサーブで攻めてくることがあります。全体的に元気もなかった錦織に対し、キリオスのダイナミックなプレーが目立ちました。                                           第2セットになると、錦織が徐々に盛り返していきます。錦織の場合、初対戦の相手に入りで苦しむことがありますが、その後に適応して対処できるのがすごいところですが、そういった対応力の高さも出てきたのかもしれません。 取れなかったセカンドサーブからのポイントも取れるようになりました。安定しなかったストロークが徐々に良くなって、深く決まるようになり、サービスゲームも安定してきます。 一方のキリオスは徐々にミスも出て苛立ち、叫び声も出るようになり、審判に抗議する場面も……さらに、プレッシャーがかかる終盤に崩れ、錦織がブレークして第2ゲームを取りました。                                                       第3ゲームは、互いに持ち味を出しますが、経験に勝る錦織が競り勝ちました。 ドロップショットなど多彩なショットも出るようになり、サービスゲームも安定感が増しました。ストロークも伸びて深く入るようになり、キリオスが振り遅れる場面も出るようになります。このゲームも、勝負所の第10ゲームをブレークして、錦織が苦戦しながらも、勝利をおさめました。 キリオスはうまく行っている時は良いのですが、悪くなると荒い気性が出て、プレーが荒くなったり、雑になるところもあるように感じます。ですが、これから経験を積んで、どのような選手になるか注目したい選手でもあります。                                                                                   2回戦の対戦相手は、2mを超える長身のケビン・アンダーソン(10位)か、イタリアのフォニーニ(26位)のどちらかになります。 アンダーソンはビックサーバーで、ランキングも10位まで上げています。フォニーニは今季はナダルに勝つなど、実力ある選手です。今季の全米OPで初優勝して、その優勝インタビューで引退を発表したフラビア・ペンネッタの恋人としても有名な選手です(ペンネッタはその後、五輪まで続ける可能性を示唆しています…)。 どちらの選手が来ても、引き続きタフなマッチになりそうです。