先日、錦織選手に2連勝を果たしたフランスのPaire選手の名前の表記について、緊急提言したいと思います。 おそらく、今後もことあるごとに話題に上ると思われますが、表記が混乱していると読んでいる方も混乱されるでしょうし、似たような名前の選手もおりますので、表記を統一するのが好ましいと思い、僭越ながら提言させていただきます。 まず、これまでどのような表記がなされてきたかと言いますと、一番多いのが「ペール」で、次に「ペア」という表記が多いと思います(ほぼ拮抗しています。) この表記には、どちらも一理ありまして、フランス語の発音規則に従って表記しているのが「ペール」、審判のコールを耳コピして表記している、もしくは英語的な読み方での表記が「ペア」だと思います。 他に、「ペイル」や「ペイア」、「ペヤ」などといった表記も見たことがありますが、フランス語の発音に慣れていない主審のコールの耳コピと思われ、あまり感心しません。 そもそもカタカナですべての発音は正確に表せませんので、どちらも間違いではないのですが、フランス語の発音規則を知っている人間からすると、「ペール」がおそらく一番しっくりくるのではないかと思いますので、私は「ペール」を押します。 以下、その根拠です。 フランス語の発音規則についてやや細かいことを書きますので、読み飛ばしてくださって結構です。 まず、フランス語では、二重母音はありません。 母音が二重に表記された場合、規則に従って1つの母音で発音します。 この場合、aiは日本語の「エ」に近い発音になります。 次に、単語の一番最後にeがくる場合、そのeは発音しません。 ですので、Paireの表記ですと、最後に発音されるのは、rの音になります。このrは母音を伴わない、子音単独の音として発音されます。ですから、常に母音とセットとなっているカタカナでは本来正確に表記できません。 しかも、フランス語のrは独特の巻き舌の音になるため、ますますカタカナでは表記できない音になります。 母音を伴わないため、音としては弱く、耳コピの場合、「ペーウ」もしくは「ペーア」という風に聞こえている方がほとんどだと思います。 しかし、rが発音されていることを示すには、やはり「ル」と表記するしかないと思います。 最後に、フランス語では母音を伸ばす、伸ばさないの区別は実はありません。 ですから、Paireを「ペル」と表記しても日本語を知るフランス人は違和感を持たないと思われます。 しかし、語感から、「エ」の音をやや伸ばし気味に言うため、日本人にとっては、最終的に「ペール」の表記が最もしっくりくると私は思います。 ご賛同いただける方には、今後ぜひ「ペール」と表記していただければ幸いです。 以上、緊急提言でした。